少額短期の地震保険に救われた…単独で加入可能、保険料が手ごろ、支払い迅速

 マンションでは築年数が浅いと、管理組合の修繕積立金もそれほど貯まっておらず、住民が拠出しなければならない事態になるというのは、被害を受けてみて実感することかもしれない。

地震の被害で予想外に出費がかかるケースも

 それにしても、他の地震保険に加入していても、この保険に加入する必要はあるのだろうか。一般的に地震保険は、建物と家財のそれぞれに加入する。地震保険に加入していても、どちらか一方だけ加入している方や、保険料の兼ね合いから保険金設定を低く設定している場合もある。

 Cさんの実例を伝えたい。損保の地震保険以外にこの地震補償保険に加入していて、契約1年目で東日本大震災の全壊被害に遭った。大規模な震災の時は、業者を手配して着手してもらうにも時間がかかる。Cさん宅の工事が完了したのは7カ月後だった。その間の仮住いや家財などの調達費用で、予想以上に出費がかかったという。

「Cさんから、『地震保険に加入していても、それだけでは住宅再建は不可能でした。この保険から全壊認定の保険金を受け取れたことで、住宅を新築で建築し、元の生活に戻ることができ、大変助かりました』とのコメントをいただきました」(同)

 ちなみに、SBIいきいき少短の地震補償保険は保険金の支払いを受け、被害に遭った場所で自宅を再建しても、保険料は値上がりすることなく、契約者は所有者名で更新できる。これまで紹介した事例に限らず、地震の被害で予想外に出費がかかったという声は多く聞く。

 なかには、勤務先が全壊した影響で職を失ったという例もある。被害に遭って、住宅再建以外にどれほどの出費がかかるのか、誰も予測はできない。地震保険に加入していても最大で50%しか補償されない以上、被害などの額が大きければ大きいほど、貯金などから住宅再建に充てられる金額も厳しくなるということは覚えておきたいものだ。

(文=鬼塚眞子/一般社団法人日本保険ジャーナリスト協会代表、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表)

●鬼塚眞子/一般社団法人日本保険ジャーナリスト協会代表、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

出版社勤務後、出産を機に専業主婦に。10年間のブランク後、保険会社のカスタマーサービス職員になるも、両足のケガを機に退職。保険業界紙の記者に転職。その後、保険ジャーナリスト・ファイナンシャルプランナーとして独立。両親の遠距離介護をきっかけに(社)介護相続コンシェルジュ協会を設立。企業の従業員の生活や人生にかかるセミナーや相談業務を担当。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などでも活躍。実家が阪神淡路大震災で被災したことをきっかけに、自然災害の取材を精力的に続けている。