突然YouTubeやグーグルのアカウントBAN問題…不明確な基準の実態

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サイト「グーグル」より

 チャンネル登録者数130万人以上を誇るYouTubeチャンネルを運営していたイラストレーター・さいとうなおき氏。そんな彼のYouTubeチャンネルに突如異変が起こったのは今年3月のことだった。同月22日、Google(グーグル)からの一方的な通告でYouTubeチャンネルが削除、いわゆるBANされてしまったのだ。さいとう氏は動画内で、露出度の高い少女のイラストなども添削する企画も行っていたが、これまでグーグルからの警告などはなかったという。

 さいとう氏は今回のBAN理由を、視聴者からイラストの添削依頼を請け負う人気企画「気まぐれ添削」用に、視聴者からイラストをGoogleドライブに送ってもらっていたが、そこに送られたイラストが「不適切なもの」と認識されたのではないかと予想している。だが、それが本当のBANの原因かは定かになっていない。

 グーグルから突然BANされる事例はまれに起きる。グーグルのクラウドデータ保存サービスであるGoogleフォトに子どもとお風呂やプールに入っている写真を保存していたところ、突然「YouTube, Gmail, Googleドライブ全て利用停止」という措置を食らったといった報告もSNS上ではみられる。

 そこで今回はITジャーナリストの三上洋氏に、グーグルが運営する各種サービスはどういった仕組みでBANの判断を下しているのかを解説してもらった。

事前警告がある場合もあるが、問答無用の「1発BAN」もある

 グーグルのサービスにおけるBANとはどういう状態なのか。

「グーグルアカウントが削除されたことを指します。サッカーでいうところのレッドカード状態で、そのアカウントを使うGmail、Googleドキュメント、Googleドライブ、Googleカレンダーなど、グーグルが提供しているサービスの大半が使えなくなってしまう状態です。

 ちなみに、これはいわゆる1発BANの場合で、その前段階ともいえる『アカウントが無効』という状態になるケースのほうが大半です。この場合は、グーグルアカウントにログインし、再審査請求を開始することで復活できることもあります」(三上氏)

 ただし、グーグルサービスのなかで、YouTubeのBAN事情はほかとは少し事情が異なるようだ。

「YouTubeの場合は、運営側が定めたコミュニティのガイドラインに違反すると、まずは事前警告が届きます。この事前警告は、ユーザーが意図的ではなくポリシーに違反してしまった場合に備えた措置で、基本的に1回だけ。内容も警告のみとなっています。

 しかしこの事前警告も無視して再度ポリシーに違反した場合は、違反警告という状態になり、YouTube側からメールが送られてきます。このメールでは、違反により削除されてしまった動画の報告や、違反したポリシーはなんなのか、チャンネルにどんな影響が出るのか、そして復旧審査への応募方法などが記載されています。そして、この違反警告は3アウト制になっており、1アウトで動画投稿などが1週間使えなくなります。1アウトから90日以内に同じことをすると2アウトとなり、2週間投稿などができなくなります。2アウトから90日以内に再び違反をすると3アウト。ここでチャンネルBANとなってしまうのです。

 ですが、このような対YouTubeとのやりとりでBANになる以外にも、前述のグーグルアカウント削除経由でYouTubeチャンネルが削除になるケースもあります。これはYouTubeのアカウントもグーグルアカウントと紐づいているためです。このケースの場合は、YouTubeの収益化サービスであるGoogle AdSenseの利用もできなくなるので、別のアカウントをつくって再起を図ることすら不可能になります」(同)