2023ヤクルト髙津流 躍動の燕マネジメント

「徹底的に鍛え直す」
来季に向けた髙津監督の決意――

2022年、盤石といえる強さでセ・リーグ2制覇を果たした髙津ヤクルト。主力、ベテラン、若手がそれぞれの役割を果たし、まさにチーム一丸となって勝利をもぎとった。
追われる立場の今シーズン、髙津監督はどんなビジョンを持ち、ここからどのようにチームを進化させていくのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、髙津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。

(インタビュアー:長谷川晶一)

――2023年のペナントレースを5位で終え、宮崎ではフェニックスリーグがスタートしています。改めて、現在の心境を教えてください。

髙津 球団史上初の3連覇を目指して臨んだシーズンでしたけど、ずっと「こんなはずじゃない」と思いながら戦っていました。もう何から何まで「足りないな」と思うことばかりでした。足りないことは一つや二つじゃないけど、特に感じたのは「143試合を戦える身体を作らなきゃいけないな」ということです。心身の強さだと思いました。それはピッチャーも、野手も、もう全員です。「この人が抜けました、あの人が抜けました」となると、スワローズは本当に苦しくなる。でも、それではいけないという思いを強く感じました。

――故障者が多く、ベストメンバーが組めなかったというのは事実ではありますけれど、その点も含めてさらに対策を講じる必要があると。

髙津 今年は大きな目標として3連覇はもちろんですけど、「怪我人を出さないこと」ということを、声を大にしてスタートしました。それなのに、例年以上に怪我人が出てしまった。トレーナーさん、トレーニングコーチ、我々首脳陣、そして選手自身は当然として、みんなが「どうやったら、1年間戦える体力がつくのだろうか、どうやったら故障を未然に防げるのだろうか、どうやったら怪我したときに早く復帰できるのだろうか?」をもっともっと真剣に考えなければいけない。それは2024年も引き続き、我々の大きなテーマです。

――フェニックスリーグ、あるいは秋季練習において、「徹底的に鍛え直す」と発言しています。改めて、その真意をお聞かせ下さい。

髙津 さっきも言ったように、連覇による疲労の蓄積もあったのかもしれないけど、怪我人が続出したことは今季の大きな反省です。スワローズのユニファームを着ている以上、我々は《強さ》を求めていかなければいけない。そのためにはしっかりと身体を作り直す必要があります。もちろん、伸び盛りの若手と実績のある中堅、ベテラン選手を同列に語ることはできないけれど、それでも全員が一度リフレッシュした上で、しっかり身体を動かし、しっかり汗をかいて一日を終えるようにしてもらいたい。その思いは強く持っています。

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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