ベンチャー企業、就職前にブラック度を知るには「厚生年金の事務所検索」が有効との説

 ほかにも情報の少ない企業を見極める方法はないのか。

「求人サイトで常に募集している企業は、恒常的に人手不足が続いている会社ということ。特に業績がアップしている会社でもなければ、人材の流動が激しいだけかもしれないので、もしかしたら過酷な労働環境で人が離れている可能性もあります。また仮に業績好調とうたっていても、業務委託契約を多くして業績を上げているケースもあるため、採用されたとしても業務委託という不安定な雇用形態で働くこともあり得るでしょう。

 ほかにも公式サイト上で代表や従業員の熱意、意識の高さを執拗にアピールしてくる文言が目立つ会社も要注意。企業の公式サイトでは、基本的に企業にとって都合のいいことしか書かれておらず、客観的に判断することが難しいからです。『やりがい搾取』的にサービス残業や休日出勤、ハラスメントが起こっていたという事案は少なくはないので、公式サイトの情報だけを鵜呑みにするのは厳禁。

 実際の労働環境や給与体系、また福利厚生がない場合など、肝心な内容が公式サイトや求人サイトに書かれていないことは多いです。えてして企業情報というのは、信用力を得るために記載しているものですので、求職者側が本当に知りたい労働環境や福利厚生、給与の実態に関しては詳しく記載されていません」(同)

 では限られた情報しか掲載されていない企業の良し悪しは、どうやって見極めるべきなのだろうか。

「情報が少ない企業は、社員の口コミが書かれている会員制の転職サイトなどで片っ端から検索をかけてみましょう。こうした転職サイトでは、主にその企業を辞めた人間が書き込んでいることが多く、給与体系や昇進、社内環境について事細かく書かれていることもあります。

 そうした転職サイトは、たとえば『○○(企業名) 評判』と検索すれば、その会社の口コミをまとめたサイトがいくつもヒットします。その企業の実情がひどければ、残業やハラスメントに関する情報も出てくると思いますし、有益な情報を得られるかもしれないので、ブラックかどうかを見極めるひとつの手になるでしょう。

 とりわけ重視して調べるべきなのが、その会社の給与の実態。どれだけ過酷な労働を強いられてもそれ相応の給与があれば納得はできる人もいると思いますが、そうではないと身体的・精神的にも参ってしまいます。ですから基本給や昇給の頻度、それによってどれくらい給与がアップするのかなどを中心に疑問を解消していけば、納得いく就職・転職先に一歩近づけるでしょう」(同)

 志望している会社がベンチャー企業の場合、公開情報が少なく、判断に迷うという場合もあるだろう。後悔しない就職・転職のためにも、公式サイトや求人サイトに記載されている情報だけをチェックするのではなく、自身でできる限りのリサーチをしたほうが賢明だろう。

(取材・文=文月/A4studio、協力=木村政美/FP事務所「きむらオフィス」代表)