乾燥時間が3分の1に短縮…ガス衣類乾燥機「乾太くん」絶賛呼ぶも普及しない理由

「社会環境の変化が大きいと思います。共働きの増加で、洗濯を夜にしたり、週末にまとめてするようになるなど、家事に対する時短を重視する生活スタイルが一般的になってきました。また、PM2.5など大気汚染の問題で洗濯物を屋外に干したくないという需要もあり、短時間で清潔にふっくらと乾かすことができるガス衣類乾燥機のメリットが評価されていったのだと思います」(同)

販売増への取り組み

 SNSなどでも「“くん”づけではなく、『乾太さま』と呼びたい」などと絶賛する声が広がり、ここ数年は前年比3割増と売上を伸ばし続け、23年7月に累計販売台数100万台に達した。さらなる販売増を目指すため、リンナイはさまざまな施策に取り組んでいるという。

「販売に関して、ガス事業者や設置施工業者との連携強化は継続していますが、近年は住宅販売会社やマンションのデベロッパーなどと協力して、最初からガス衣類乾燥機を設置、もしくは設置しやすいように設計した物件を開発するということにも取り組んでいます。また排湿の問題を改善する新しい製品開発にも着手していきたいです」(同)

 リンナイのガス衣類乾燥機は以前から海外への輸出・販売なども行っており、今後は世界的な普及も目指しているという。

「私がリンナイに入社した駆け出しの頃にガス衣類乾燥機の担当になり、会社の隅のほうで上司の方々に教わりながら、衣類乾燥の評価試験をやっていました。それから30年経って、まさかこれほどの需要のある商品に育つなんて、私自身が驚いています。社会環境、生活環境の変化もありますが、内藤前会長の先見の明に感服しております」(同)

 実力派の「乾太くん」は、大器晩成型。さらなる普及を果たすのは、まさにこれからのようだ。

(文=清談社)