話しやすい人になれば人生が変わる

嫌われる人が「無自覚にやっている」ヤバい話し方・聞き方

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話しやすい人になれば、人づきあいも、仕事も、初対面も、出会いも、家族も、すべてがうまくいくようになります。しかも、ちょっとしたコツを押さえるだけで大丈夫。だれでも、いますぐ、カンタンに、話しやすい人になれます。人の輪が広がり、情報が集まり、仕事がスムーズに進み、人生が楽しくなる――こうした話しやすい人が得ているメリットを手に入れ、人生を前向きに変えましょう!
この連載をまとめ、加筆・改稿したビジネス書『話しやすい人になれば人生が変わる』(村本篤信)が、アルファポリスより好評発売中です。

アドバイスをするのは、相手から求められたときだけ

アドバイスを求められたときに、気をつけるべきことを考えてみましょう。
アドバイスに関して、ぜひ心にとめておいていただきたいのが、「望まれてもいないのにアドバイスをしない」「上から目線でアドバイスをしない」ということです。
ほとんどの人は、良かれと思ってアドバイスをしているつもりであり、自分が上から目線でアドバイスをしているという意識はまったくないでしょう。しかし、何か問題や悩みを抱えて困っている最中の人にとって、他者からの言葉は「今、そうした悩みを抱えていない、お気楽で恵まれた人たちからの無責任で偉そうな言葉」に聞こえてしまいやすいのです。

ですから、相手がどんなに悩み苦しんでいても、「どうしたらいいと思う?」などと訊かれないかぎり、まずは話を聞くことに徹すること。
そして、アドバイスを求められたときには、「今、自分が言おうとしていることは、相手はとっくに知っている」「今、自分が言おうとしていることは、誰にとってもあてはまる正解ではない」ということを頭の片隅に留めておくだけで、言葉の選び方や伝え方が、少し変わってくるかもしれません。

たとえば、単に「~すればいいじゃん」と言うのではなく、「とっくに知っているかもしれないけど」「とっくに試したかもしれないけど」といった前置きを入れたり、「私だったら~するかもしれない」「正解はわからないけど、私は~するといい気がする」といった言い方をすれば、相手が受ける印象はかなり違うはずです。

ただ、ごくたまに、アドバイスを求めながらも、何か言われるとすぐ拒絶・否定するわがままな人や、どんなに言葉を選んでアドバイスをしても「上から目線」としかとらえられない、被害者意識の強い人がいます。それは、相手が悪かった、相性が悪かったと思って忘れましょう。

物事を決めつけないほうが、話しやすいと思われやすい

なお、相手から意見を求められたとき、私が気をつけているのが、できるだけ物事を決めつけないことです。
たまに、話し方について書かれた文章などに、「物事ははっきり言ったほうがいい」「『私は~だと思う』『~の可能性が高い』『~のほうがいいのでは?』といったあいまいな表現は使わないほうがいい」と書かれているのを目にすることがあります。
たしかに、断定的な物言いをしたほうが、話した内容が聞き手に伝わりやすく、印象に残りやすく、「この人は頼りになる」と思われやすいでしょう。特に、スピーチやプレゼンをするとき、なんらかの商品やサービスを売らなければいけないとき、経営者やカリスマを目指す人などは、断定的な物言いをしたほうが効果的です。逆に、あいまいな物言いをすると「何が言いたいの?」と思われやすく、責任を回避している、逃げ道を作っている、自信がない、と判断されがちでしょう。

しかし、私は、特に人から悩みを相談されたとき、意見を求められたときなどに、「絶対に~したほうがいい」「絶対に~だ」と言うことはめったにありません。
「どちらかといえば、こうしたほうがいいと思う」「いろいろな意見があるけれど、私はこう思う」といった言い方をするようにしています。
クイズや試験問題ならともかく、人々の抱える悩みや世の中の問題に、100%完璧な解決策など、そうはありません。たとえその時点では「いい」とされていても、数年後にはまったく評価が変わってしまうということもしばしばあります。
また、人それぞれ性格も価値観も立場も違いますし、同じ出来事を見ても、感じ方、とらえ方は人によって異なります。
予知能力や透視能力、テレパシーなどを持ち合わせているなら話は別ですが、私が知りえることなどたかが知れています。そう思うと、とても断言はできないのです。

そして、おそらく多くの人は、物事を決めつける人より、そうでない人を話しやすいと感じるのではないかと思います。
たとえば、今の仕事や職場、あるいはパートナーが自分に合わない……と悩みながら、

「転職したところで、次の仕事が自分に合っているかどうかわからない」
「会社を辞めて、食べていけるかどうか不安」
「この人と別れたら、もう新たな恋ができないのではないだろうか」
「この人にも、いいところはあるし」

といった迷いを抱いているとき、相談した相手から

「絶対に会社を辞めたほうがいい」
「絶対に辞めないほうがいい」
「絶対に別れたほうがいい」
「絶対に別れないほうがいい」

などと言われたらどうでしょう。
たまたま自分の選択と同じであれば元気づけられ、背中を押されるかもしれませんが、たいていは、「どうしてそう言いきれるのか」と反発したくなるのではないでしょうか。
断定的な物言いをする人に対し、上から目線で偉そうと感じることもあるでしょう。

逆に、「いろいろな可能性や選択肢、考え方がある」という前提で話を聞き、考え、その人なりの意見を言ってくれる人には、なんでも受け入れてくれそうという印象を抱きやすいのではないかと思います。
なお、正解のない事柄に関して、迷うことなく「絶対に~だ」「絶対に~したほうがいい」と言いきってしまえる人は、実際には「絶対」ではないことをわかったうえで相手をそちらの方向に誘導しようとしている可能性もあるので注意しましょう。

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プロフィール

村本篤信
村本篤信

1972年大阪府生まれ。都立国立高校、一橋大学社会学部卒業。大日本印刷に入社後、フリーのライター、編集者に転身。 『3000円投資生活』シリーズ(アスコム/横山光昭)をはじめ、累計250万部以上 の書籍を手がけたほか、取材記事、社史などのライティングを行い、2021年には『ロジカルメモ』(アスコム)を刊行。 2012年に「テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞」優秀賞を受賞して以降は、ドラマや舞台の脚本も執筆。 一方で、90年代よりホラー系ドラァグクイーン「エスムラルダ」として、各種イベント、メディア、舞台公演などに出演し、2018年からは及川眠子・中崎英也のプロデュースにより、ディーヴァ・ユニット「八方不美人」を結成。エスムラルダ名義でのコラムや書籍のライティングも行っている。

著書

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村本篤信 /
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