テスラのマスクCEO、日本での販売が期待外れだったと認める…年間5千台

 また、EVではなくレシプロエンジンを搭載した中古車の場合に置き換えると、同じように保証期間も切れた8年落ちの車両が、エンジンの不具合で故障することは普通にありえますし、その際の修理代は50万円で済む場合もあれば、150万円以上するケースもあります。少し高級な輸入車ですと、300万円以上することもあります。こういった従来の自動車に比べると、EVは部品点数も少なく、故障頻度も少ないといわれています。

 テスラの場合は保証期間も長いわけですから、万が一バッテリー交換で230万円かかったとしても、新車時価格に照らし合わせるとけっして高額過ぎるということはないでしょう。テスラ「モデルS」と同価格帯のメルセデス・ベンツがエンジンの故障に見舞われた時、保証が切れていれば修理代が250万円といわれても、オーナーは受け入れられるでしょう。EVだから修理が高くつく、といった偏見は捨てるべきでしょうね。

――このほかに、テスラ車を購入する際に押さえておくべき注意点などはあるか。

桑野氏 テスラに限らず、EVはまだユーザーの理解が及ばないことがたくさんあります。レシプロエンジンの自動車とは動力が違うわけですから、上手な走らせ方にも独特なコツがいりますし、ガソリンスタンドで気軽に給油できるわけもなく、電欠トラブルのリスクが常にあります。ただし、そういった特性を理解して慣れていけば、経済性だけでないEVならではのメリットもあるわけです。リスクを抑えるためには、テスラを専門的に扱っているお店で購入することや、認定中古車に絞り込んで探すという選び方を一考すべきでしょう。

――日本メーカーのEVを購入する際に、押さえておくべき、ガソリン車と違う注意点などはあるか。

桑野氏 前述のとおり、最大の留意点は充電に関するリスクです。ガソリンスタンドのように、どこにでも充電ステーションがあるわけではなく、常に走行可能距離を把握して、電欠にならないドライブマネジメントが必要となります。また、中古車のEVを買う場合は、走行距離や年式よりも、現車の内外装のコンディションとともに、バッテリーの残量を示す航続距離計の残量数値をチェックしましょう。テスラの場合、標準値、定格値、パーセンテージという3種類の数値で判断できますが、テスラの優れているところは、バッテリーの劣化度合いをソフトウェアで定量化できているところなので、標準値が新車当時の基準値に対してどれくらい劣化しているか確認することが有益です。

 日産「リーフ」の場合はセグメント欠けを確認すべきです。セグメントとは、「リーフ」のバッテリー劣化度合いを表す数値で、メーターに目盛りで表示され、劣化すると目盛りが欠けていきます。これが俗にいわれるセグ欠けという状態で、半分程度まで欠けている中古車も多く見られます。ここまでバッテリーが劣化すると日常使いではかなり不便になってきますので、そういう中古車は避けるべきでしょう。

(文=Business Journal編集部)