三島会社のなかでJR九州だけが黒字の理由…JR北海道・四国が生き残る現実的な方策を考察

「JR北海道、JR四国の鉄道事業を黒字に転換させることは非常に困難です。JR九州は上場前までは鉄道事業の営業収支が悪く、営業利益を出したことはありませんでしたが、徹底的な経費削減によって成し遂げました。とはいっても、上場前も毎年あと一歩で営業利益が出るという状況でしたから、JR北海道やJR四国に同じことを求めるのは非現実的です。営業費の削減に効果があるのは、利用者の少ない路線の廃止ですが、そう簡単にはいかないでしょう。

 JR北海道、JR四国の営業エリアとも、一部の都市を除けば沿線の人口が今後大きく増える見込みはないといえます。そうなりますと、少ない利用者数で営業収益を増やすためには運賃・料金の値上げしか残されていません。しかし、24年度の旅客1人当たりの営業収益は利用者数が3億3182万人であったJR九州が503円であったのに対し、1億2591万人のJR北海道は721円、4004万人のJR四国は760円とすでにJR九州よりも高くなっています。これ以上の値上げは相当な割高感と旅客には受け止められ、利用が大きく減る恐れがあります。両社が鉄道事業で営業利益を計上するには、利用者の少ない路線の廃止を進めつつ、小幅な値上げを行うしか方策はないと考えます」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=梅原淳/鉄道ジャーナリスト)