すでに実践している人も多いのが、宛先に関係者を入れる、だ。たとえば、相手の上司、取引先、別部署などを入れるのである。
「情報共有で」
という口実がいいだろう。私が以前働いていた外資系ではFYI(For Your Information)の3文字で関係者を入れるメールが飛び交っていた。
なめてくる相手の心理として「自分は攻撃したいが、ふるまいは他人に見られたくない」がある。
人は他人の目がある場面では、だれしも攻撃性を著しく抑制するのだ。
メールや議事録などの記録は、たんに抑止力として機能するだけでなく、いざというときに攻撃の一手にもなる。
とくに相手が社内で権力を持っている場合、表向きの態度と裏での言動に乖離があるケースも多い。同じ部署メンバーに当たりが強くても、取引先や別部署、社長や人事にはいい顔をする人も少なくないだろう。
そんなとき、あなたが事実ベースの記録を持っていれば、上司への報告や異動交渉、場合によっては法的対処のときにも、強力な武器になるのだ。