奥さんの機嫌がよくなる雑談技術の最後は、「旦那さん自身がニコニコと機嫌よくいること」です。
皆さんは、奥さんと雑談するとき、ニコニコと機嫌よく話せていますか?
とはいえ、何か嫌なことがあれば、人間だれしも不機嫌になってしまうものです。仕事であれば、無理にでも笑顔でいられるかもしれませんが、家庭でそれを維持しなければならないというのはなかなかつらいものがあるでしょう。
「不機嫌は最大の罪」とゲーテは言いましたが、不機嫌の与える影響は、思いのほか大きいものです。上機嫌な人のところに人は集まってきますが、不機嫌な人のもとからは人が去っていきます。
そうしたことは今さら指摘しなくても、多くの人がわかっていると思います。それにもかかわらず、やはりいつも上機嫌でいることは簡単ではありません。
ちなみに、私自身もその難しさを実感し、自分が立ち上げた会社の行動指針の1つに「毎日上機嫌」というものを掲げています。どんなときにも不機嫌にならずに上機嫌でいようと心がけているのです。
では、そうした無理をしてまで上機嫌でいることにはどんなリターンあるでしょうか。
朝起きて「おはよう」を言うときも、ごはんを食べる「いただきます」のときも、仕事に出かける「いってきます」のときも、家に帰って「ただいま」のときも、子どもが寝たあとの雑談も、家庭内でパパがニコニコ上機嫌だったら、どうなるでしょうか?
その答えが、次のエピソードにあります。
経営者のセミナーで聞いた話なのですが、とある方が、すごい保育園があると聞きつけて、見学に行ったそうです。何がすごいかというと、保育園児たちがほぼ全員、自分の夢を持っていることで有名なのだそうです。まだ3歳とか4歳とか5歳の子供たちに、「夢がある人?」と質問すると、全員が「はーい!」と手を挙げるのです。
で、「その夢は何か」と聞くと、それは「野球選手」とか「サッカー選手」とか「歌手」とか、そういうことを言う子もいるのですが、中には、「ティッシュ配りをしたい」とか、「スーパーのレジをしたい」と言う子もいるらしいのです。
一般的に、ティッシュ配りやスーパーのレジ打ちは、子どもたちが憧れる仕事ではないでしょう。ところが、その保育園児たちは、憧れる職業として、そういったお仕事を夢だと言うのです。
その経営者が、「どうしてティッシュ配りやスーパーのレジ打ちに憧れるんですか」と質問したら、その園長はこう答えたそうです。
「子どもたちは、楽しそうに働く大人に憧れるんです。きっとティッシュ配りの人やスーパーのレジの人が、楽しそうに働いているように見えたんでしょうね」と。
そして続けて「だから大人は、楽しそうに働く姿を、子どもたちに見せてあげるべきなんだ」と、その園長は言うそうです。
さあ、私たちは、子どもたちに、楽しそうに働く姿を見せられているでしょうか。
子どもが「パパのようになりたい」とパパの仕事に興味を持ち、パパに憧れてくれるかどうかは、じつは、パパ自身が楽しそうに働いているかどうかなのだそうです。
家に帰ってくるなり、「あーしんど。今日も疲れた~。やってらんないよ」と仕事の愚痴をこぼそうものなら、子どもの憧れは遠のいていくでしょう。毎日上機嫌で、「今日もいい仕事したな」とか、「こんな素晴らしいことがあった」と仕事のことをイキイキと楽しそうに語る親に、子どもは憧れるのです。
これは、子どもだけでなく、大人も同じです。皆さんの周りに、毎日上機嫌で、楽しく働く大人はいますか? そんな人がいたら、好きになるでしょうし、憧れや尊敬の念を抱くのではないでしょうか。
またこれは、奥さんに対しても同じです。毎日上機嫌で、ニコニコいきいきしていることが、奥さんとの関係を構築するうえで、重要な要素なのです。
では、どうすれば上機嫌でいられるのか。まずは、雑談を楽しむこと。これに尽きます。雑談力とは、突き詰めれば、雑談をどうでもよいことと思うのではなく、その話そのものを楽しむことです。雑談こそ、人生の彩を豊かにする、大切なものなのだと思い、向き合っていく。目いっぱい楽しむ。この姿勢が重要なのです。
まずは、自分にとって小さいことを大切にする。
そのうえで、相手の好きなことに関心を持ち、調べたり、質問して教えてもらったりして盛り上げる。
そして、奥さんの困りごとは、火種が小さいうちに消す。
自分の困りごとを、火種が小さいうちに聞いてもらう。
最後に、毎日ニコニコ上機嫌で雑談そのものを楽しむ。
これらができれば、奥さんとの雑談が盛り上がり、奥さんの機嫌がよくなり、自分の精神状態も良くなり、人生を豊かで彩のあるものにしてゆくことができるでしょう。