「家族」というチームのつくり方

妻の機嫌がみるみるよくなる“雑談力”──家庭円満は会話のひと工夫で決まる

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奥さんの機嫌がよくなる雑談技術⑤
旦那さんが機嫌よくいる

奥さんの機嫌がよくなる雑談技術の最後は、「旦那さん自身がニコニコと機嫌よくいること」です。

皆さんは、奥さんと雑談するとき、ニコニコと機嫌よく話せていますか?
とはいえ、何か嫌なことがあれば、人間だれしも不機嫌になってしまうものです。仕事であれば、無理にでも笑顔でいられるかもしれませんが、家庭でそれを維持しなければならないというのはなかなかつらいものがあるでしょう。

「不機嫌は最大の罪」とゲーテは言いましたが、不機嫌の与える影響は、思いのほか大きいものです。上機嫌な人のところに人は集まってきますが、不機嫌な人のもとからは人が去っていきます。
そうしたことは今さら指摘しなくても、多くの人がわかっていると思います。それにもかかわらず、やはりいつも上機嫌でいることは簡単ではありません。
ちなみに、私自身もその難しさを実感し、自分が立ち上げた会社の行動指針の1つに「毎日上機嫌」というものを掲げています。どんなときにも不機嫌にならずに上機嫌でいようと心がけているのです。

では、そうした無理をしてまで上機嫌でいることにはどんなリターンあるでしょうか。
朝起きて「おはよう」を言うときも、ごはんを食べる「いただきます」のときも、仕事に出かける「いってきます」のときも、家に帰って「ただいま」のときも、子どもが寝たあとの雑談も、家庭内でパパがニコニコ上機嫌だったら、どうなるでしょうか?

その答えが、次のエピソードにあります。
経営者のセミナーで聞いた話なのですが、とある方が、すごい保育園があると聞きつけて、見学に行ったそうです。何がすごいかというと、保育園児たちがほぼ全員、自分の夢を持っていることで有名なのだそうです。まだ3歳とか4歳とか5歳の子供たちに、「夢がある人?」と質問すると、全員が「はーい!」と手を挙げるのです。
で、「その夢は何か」と聞くと、それは「野球選手」とか「サッカー選手」とか「歌手」とか、そういうことを言う子もいるのですが、中には、「ティッシュ配りをしたい」とか、「スーパーのレジをしたい」と言う子もいるらしいのです。
一般的に、ティッシュ配りやスーパーのレジ打ちは、子どもたちが憧れる仕事ではないでしょう。ところが、その保育園児たちは、憧れる職業として、そういったお仕事を夢だと言うのです。
その経営者が、「どうしてティッシュ配りやスーパーのレジ打ちに憧れるんですか」と質問したら、その園長はこう答えたそうです。
「子どもたちは、楽しそうに働く大人に憧れるんです。きっとティッシュ配りの人やスーパーのレジの人が、楽しそうに働いているように見えたんでしょうね」と。
そして続けて「だから大人は、楽しそうに働く姿を、子どもたちに見せてあげるべきなんだ」と、その園長は言うそうです。

さあ、私たちは、子どもたちに、楽しそうに働く姿を見せられているでしょうか。
子どもが「パパのようになりたい」とパパの仕事に興味を持ち、パパに憧れてくれるかどうかは、じつは、パパ自身が楽しそうに働いているかどうかなのだそうです。
家に帰ってくるなり、「あーしんど。今日も疲れた~。やってらんないよ」と仕事の愚痴をこぼそうものなら、子どもの憧れは遠のいていくでしょう。毎日上機嫌で、「今日もいい仕事したな」とか、「こんな素晴らしいことがあった」と仕事のことをイキイキと楽しそうに語る親に、子どもは憧れるのです。
これは、子どもだけでなく、大人も同じです。皆さんの周りに、毎日上機嫌で、楽しく働く大人はいますか? そんな人がいたら、好きになるでしょうし、憧れや尊敬の念を抱くのではないでしょうか。

またこれは、奥さんに対しても同じです。毎日上機嫌で、ニコニコいきいきしていることが、奥さんとの関係を構築するうえで、重要な要素なのです。
では、どうすれば上機嫌でいられるのか。まずは、雑談を楽しむこと。これに尽きます。雑談力とは、突き詰めれば、雑談をどうでもよいことと思うのではなく、その話そのものを楽しむことです。雑談こそ、人生の彩を豊かにする、大切なものなのだと思い、向き合っていく。目いっぱい楽しむ。この姿勢が重要なのです。

奥さんの機嫌がよくなる雑談技術まとめ

まずは、自分にとって小さいことを大切にする。
そのうえで、相手の好きなことに関心を持ち、調べたり、質問して教えてもらったりして盛り上げる。
そして、奥さんの困りごとは、火種が小さいうちに消す。
自分の困りごとを、火種が小さいうちに聞いてもらう。
最後に、毎日ニコニコ上機嫌で雑談そのものを楽しむ。

これらができれば、奥さんとの雑談が盛り上がり、奥さんの機嫌がよくなり、自分の精神状態も良くなり、人生を豊かで彩のあるものにしてゆくことができるでしょう。

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
2020年よりYouTubeチャンネル『タカ社長のチームD大学』を開設。2023年6月現在、チャンネル登録者約3万5000人、総再生回数380万回。
2021年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「上司1年目は“仕組み”を使え!」をスタート。改題・改稿を経て、このたび出版化。
著書に『その仕事、部下に任せなさい。』(アルファポリス)がある。

著書

チームづくりの教科書

高野俊一 /
成績が振るわない。メンバーが互いに無関心で、いっさい協力し合わない。仕事を...

その仕事、部下に任せなさい。

高野俊一 /
通算100万PVオーバーを記録した、アルファポリス・ビジネスのビジネスWeb連載の...
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