東京ヤクルトスワローズ 髙津流マネジメント2025

いよいよ開幕した交流戦――
ここから浮上のきっかけを掴み取る!

躍動する若手選手たちに期待すること

――さて、交流戦序盤では若手選手の活躍が目立ちました。6日のホークス戦初戦では「この期間に人生を変える」と公言した武岡龍世選手のプロ初となるサヨナラホームランで劇的な勝利を飾りました。

髙津 タケね……、本当に人生を変えてほしいんですけどね(笑)。成長のペースというのは人それぞれですけど、彼は彼で少しずつ成長しながらここまで進んでいると思います。他の選手にはないいい部分もあるので、そこは期待して見ています。だけど、本当の意味でのレギュラーになろうと思ったら、できることをどんどん増やしていくこと、できないことをどんどん克服していくこと。それがないと、やっぱりプロ野球の世界でレギュラーはなかなかなれないですよね。

――伊藤琉偉選手は、ライオンズ戦でプロ初ホームランを放ち、この試合では澤井廉選手も待望の今季1号を記録。伊藤選手は、続くホークス3連戦でも初戦で2号、3戦目で3号を放つ活躍を見せています。

髙津 当日の試合後のコメントでも言いましたけど、伊藤のプロ初ホームランは大松尚逸打撃チーフコーチが泣いていましたよ(笑)。ああやって初球から思い切ってスイングしていく積極性はみんなにも見習ってほしい。あの姿勢こそ、今のチームにすごく大切なものだと、改めて感じましたね。4回に3点目を取った時に2点の壁を破ったという意味も込めて大松が泣いていたと言っていたので、伊藤のホームランで泣いていたという意味とは少し違うんですが…

――その一方で、前回も話題に出た岩田幸宏選手ですが、ライオンズ戦、ホークス戦と続けてバントに失敗。その直後の途中交代もありました。それでも、チャンスを与え続けています。こうした点についてはどのようにお考えですか?

髙津 以前も話したと思いますが、岩田を含め若い選手、経験の浅い選手は分からないことや知らないことが多いです。これは時間が解決してくれる時もあれば、失敗をくり返し理解することもたくさんあります。謙虚に全力で1軍選手になる努力が必要です。ただ、バントに関しては、やっぱり練習量だと思うんです。バントと守備は練習すればするほどうまくなると思っています。例えば「打て」といっても、そう簡単に打てるものじゃない。例えば「150キロを投げろ」って言ったって、持って生まれた天性のものもあるから、そこは難しいかもしれない。だけど、バントと守備に関してはもうとことん練習するしかない。あとはメンタルかな、自信ですね。自信を持ってやらないと、できるものもできなくなりますから。

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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