「池袋サンシャイン60通り店」は雑居ビルの2階と3階に店を構えており、2階はホビー系商材売場、3階が書籍売場という構造だ。2階では数千円台のフィギュアや、高い物で数万円単位のトレカを販売。3階よりも2階の方が人で賑わっている。他の店舗も同様、書籍よりもホビー系商材が主力である。カード対戦用の「デュエルスペース」を構える店舗もある。
ちなみに同社におけるアパレル販売の比率は10%強に留まり、変化していない。2018年には古着販売店「東京古着」の事業を譲渡するなど、古着事業の開拓はうまくいっていないようだ。
コメ兵は戦後、名古屋の古着店として創業し、60年代以降は家電やカメラに手を広げた。91年のバブル崩壊後、高級品の買取需要が伸びたことで宝飾・ブランド品に注力するようになった。名古屋を中心に展開していたが、2000年代から関東での展開を強化する。
主力商材は「宝石・貴金属」「腕時計」「バッグ」「衣料品・ファション小物」の4種類。商材は自社店舗で個人から買い取るほか、法人から仕入れている。販売ルートは自社店舗での小売と法人への卸売で、25年3月期は小売が48.5%、法人販売が51.5%である。そのため、後述のように店舗は小売店より買取専門店の方が多い。銀座の小売店では数百万円単位のアクセサリー類を販売する。昔ながらの質屋とは違い、ブランドショップのような店構えだ。
コメ兵も他社と同様、近年における中古品需要の拡大が業績を牽引した。売上高は19年度の575億円から、24年度には1590億円と5年間で約1000億円増えた。25年3月期末時点で買取専門店209店舗・買取併設販売店54店舗を含む国内273店舗を展開。買取専門店は22年3月期末時点で69店舗しかなく、3年間で3倍増えている。ルミネなどの庶民的な商業施設に出店し、最近では松坂屋や大丸などの百貨店にも店舗を構えた。
また、年間1社のペースでM&Aを展開しており、19年には金沢地盤のブランド品買取販売店「ブランドオフ」を取得し、24年には同業のアールケイエンタープライズを子会社化した。仕入れルートとノウハウを強化する姿勢が窺える。海外ECに強い事業者も取得しており、今後は海外市場も強化する方針だ。
以上のように、ゲオ、ブックオフ、コメ兵はそれぞれの得意分野で中古品の買取販売を展開し、中古市場の拡大に伴って各社とも業績が伸びた。Apple社は23年以降、初期不良品を整備した商品を「認定整備済製品」として販売している。公式さえも中古品を販売する時代だ。新たな商品が生まれるとともに、その中古品も出回ることになるだろう。今後どんな商材が流通するのか、中古品市場の変化に目が離せない。