転生女神さまは異世界に現代を持ち込みたいようです。 〜ポンコツ女神の現代布教活動〜

れおぽん

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女神、現代を布教したい編

女神「数取器(野鳥の会が使うカチカチするやつ)送ったわ〜」 → 皇帝「【貴様の罪の数をカウントする断罪の銀時計】が回ったぞぉぉぉ!

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「はぁ~、マジしんど。」

わたしは雲の上で、ポテチ(のり塩)をバリボリ食べながら溜息をついた。 こないだ送った『プチプチ』の件で、また上司のジジイに呼び出されたんだよね。

「『梱包材を聖遺物として崇めさせるな』とか言われたけど、意味不じゃない?」 「あれの良さがわかんないとか、天界のセンス終わってるわ~」

ま、わたしはメンタル鬼強いからノーダメだけどね! 切り替えてこー!

で、今日の下界チェック。 帝国の皇帝さんが、なんかめっちゃイライラしてる。

「部下の報告書とか読みながら、貧乏ゆすり止まんないじゃん」 「ストレス溜まってるわ~。カルシウム足りてないわ~」

ああいう時は、無心になれる作業が必要なんだよ。 指先を動かして、リズムを刻めば、心も落ち着くってのがライフハック!

そこでこれ!

【業務用・ステンレス製 4桁・数取器(ハンディカウンター)】

親指でカチカチ押すと、数字が増えていくだけのシンプルな機械。 交通量調査とか、野鳥の数を数える時に使うアレね。

「これ、押した時の『カチッ』って感触と音が、マジでASMRだから」 「数字が揃っていくのを見てると、チルい気分になれるし!」

皇帝さんも、これで国民の数とか数えて、リラックスしちゃってよ! 今回こそ、平和な癒やしを提供しちゃうから!

それじゃ、レッツ・カウントダウン! 転送ポチー!

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

──帝都・玉座の間「静寂の刻」──

「……嘘だ。どいつもこいつも、余を欺こうとしている」

皇帝レグルスは、暗い玉座で独りごちた。 猜疑心(さいぎしん)の塊となった彼の目には、忠実な家臣さえも、首を狙う暗殺者に見えていた。

「誰が裏切り者だ……。誰が、余の命を……」

その時である。 天井の闇から、金属の輝きを放つ『銀色の円盤』が、レグルスの膝元に落ちてきた。

「む……? 何だ、これは」

レグルスは警戒しつつ、その冷たい物体を手に取った。 掌にすっぽりと収まる、美しい流線型。 そして中央には、ガラス窓の中に『0000』という数字が刻まれている。

「魔導具……か? いや、魔力は感じぬ」

上部には、押しやすそうな突起(ボタン)が一つ。 レグルスは誘われるように、親指でそれを押し込んだ。

カチッ。

乾いた、しかし重厚な金属音が、静寂の玉座の間に響き渡る。 ガラス窓の数字が動いた。

『0001』

「……増えた」

レグルスは眉をひそめた。 これは何だ? ただ数字を刻むだけの装置か? 否。神が、このタイミングで余に授けたのだ。意味などあるに決まっている。

「1……。1とは、何だ?」

その時、重厚な扉が開き、宰相が姿を現した。

「陛下、昨今の税収についてご報告が……」

「宰相か」

レグルスは無意識に、宰相の方を見ながら、再びボタンを押した。

カチッ。

『0002』

レグルスの背筋に、冷ややかな戦慄が走った。

「……そうか」

彼は理解した。 いや、理解したと思い込んだ。

「宰相よ。貴様……『2つ』だな?」

「は? 陛下、何のお話で……?」

「とぼけるな。この『断罪の銀時計』は誤魔化せぬぞ」

レグルスは歪んだ笑みを浮かべた。 この数字は、目の前の人間が犯した**『大罪の数』を示しているのだと。 あるいは、国家に対する『反逆心の濃度』**か。

「1から2へ上がった。貴様が部屋に入った瞬間にな」

「へ、陛下!? お待ちください、私は何も……!」

「試してみるか」

レグルスは宰相に歩み寄り、至近距離でボタンを連打した。

カチッ。カチッ。カチッ。

『0005』

「おお……! 見ろ! 上がっていく! 貴様の罪業が積み重なっていくぞ!!」

「ヒィッ! あ、あの音を聞くたびに、心臓が締め付けられるようです!」

「図星だからだろう! 衛兵! この男を捕らえろ! 罪数レベル5だ!」

宰相が引きずり出される。 入れ替わりに、武装した近衛兵長が入室してきた。

「陛下、ご乱心召されるな!」

「近衛兵長か。貴様はどうだ?」

レグルスは血走った目で、兵長に銀色の銃口(カウンター)を向けた。

カチッ。

『0006』

「……貴様ッ!!」

レグルスが絶叫した。 宰相よりも、数値が高い。 つまり、こいつの方がより深く反逆を企てていたということだ!

「なんという伏魔殿だ……! 余の周りは、数字持ち(トレイター)ばかりか!」

「へ、陛下? それはただの……」

カチッカチッカチッカチッ!!

『0010』

「黙れ! 喋るな! 喋るたびに数字が跳ね上がるぞ!」 「貴様の吐く息すらも、この国を汚す罪なのだ!」

「くっ……! 陛下は『銀の邪神』に心を乗っ取られたか!」

兵長が剣を抜こうとした瞬間、レグルスは狂ったようにボタンを押し込んだ。

カチッ。

その音は、まるで処刑の合図のように響いた。 兵長が怯んだ隙に、別の衛兵が彼を取り押さえる。

「全員だ……! 全員並べ!!」

レグルスの狂気は加速する。 城中の家臣、侍女、兵士が集められた。 彼らは震えながら、玉座の前に跪く。

「一人ずつ、余の前へ来い。この『銀時計』が貴様らの魂を計量する」

「ひぃぃ……お助けを……」

一人目のメイドが前に出る。

カチッ。

『0012』

「有罪」 「ギャァァァァァ!!」

次の兵士が出る。

カチッ。

『0013』

「有罪」 「ご慈悲をぉぉぉぉ!!」

数字は増え続ける。 当然だ。これは加算式のカウンターなのだから。 だが、レグルスにはそれが**『城内の汚染度が限界突破している』**ようにしか見えなかった。

「汚れている……! どいつもこいつも、数字がデカすぎる!」

『0099』

「あと一つで100だ……。100を超えれば、帝国は滅ぶに違いない」

最後の家臣、忠義の老将軍が涙ながらに訴える。

「陛下……目を覚ましてください……! そこには何も映っておりませぬ!」

「黙れ! 貴様がラスボスか!!」

レグルスは両手でカウンターを握りしめ、渾身の力で押し込んだ。

カチッ。

『0100』

桁が上がった。 その瞬間、レグルスの中で何かが弾けた。

「あ……ああ……」

「超えてしまった……。ラインを超えてしまった……」

「余は……失敗したのか? 罪人を裁ききれなかったのか?」

絶望するレグルス。 だが、彼は気づく。 ボタンはまだ押せる。 そして、この数字には『限界』があるはずだ。

「そうか……! 回し切ればいいのだ!」

「この世の全ての罪(カウント)を出し切り、ゼロに戻せば、世界は浄化される!」

レグルスの目に、怪しい光が宿る。 彼は玉座に座り直し、虚空を見つめながら、猛烈な勢いで指を動かし始めた。

カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ!!

「消えろ! 消えろ! 罪よ! 悪意よ!」

「陛下……?」

カチカチカチカチカチカチカチカチ!!

「9000まで回すぞ! 余の指が折れるのが先か、貴様らの魂が尽きるのが先か、勝負だぁぁぁ!!」

玉座の間には、狂気の打鍵音だけが、永遠に響き渡っていた。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

「……ねぇ」

わたしは、モニターの前で固まっていた。 ポテチの手が止まってる。

「なんで指から血ぃ流しながら連打してんの?」

画面の中の皇帝さん、親指の爪割れてるじゃん。 腱鞘炎になる勢いでカチカチしてるじゃん。 周りの人たち、ドン引きして誰も近寄らないじゃん。

「それ、ただの数えるやつだから!」 「罪とか測れないから! 野鳥しか数えられないから!」

しかも、なんか9999まで行ったら世界がリセットされるとか信じ込んでるし。 あと8000回くらいあるよ? 指、もげちゃうよ?

「癒やしグッズのつもりだったのに、なんで自傷行為になってんの……?」 「意図は良かったじゃん? リズム刻んで欲しかっただけじゃん?」

女神「なんでそうなるのーーー!?」
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