転生女神さまは異世界に現代を持ち込みたいようです。 〜ポンコツ女神の現代布教活動〜

れおぽん

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女神、現代を布教したい編

女神「発泡ウレタン(DIYで隙間埋めるスプレー)送ったわ〜」→海賊「【船を喰らい尽くす白き海魔】が産まれたぞぉぉぉ!!」

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「あー、海だー。夏じゃん。アゲじゃん」

わたしは雲の上から、下界の荒れ狂う海を眺めていた。 こないだの『数取器』で皇帝が過労死しかけた件は、まあドンマイってことで。切り替え大事だし。

で、今日の下界チェック。 なんかボロボロの海賊船が、嵐の中でピンチっぽい。

「うわ、船底に穴空いてんじゃん。水漏れまくりで沈没寸前とか、マジうけるんですけど」 
「でも、せっかくのクルージングが台無しなのは可哀想だよね~」

穴があるなら、埋めればいいじゃない? 現代には、シュッてやるだけでモコモコ膨らんで、どんな隙間も埋めちゃう神アイテムがあるんだから!

そこでこれ!

【プロ用・超膨張式発泡ウレタンスプレー(特大缶)】

スプレーすると、クリームみたいなのが出てきて、空気に触れるとカチカチに固まる補修材。 断熱材とかにもなるし、これ一本で浸水なんてイチコロよ。

「これで穴ふさいで、快適な船旅を取り戻してね~!」 
「モコモコ体験、プレゼント!」

はい、救世主の泡、転送~!

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

──魔の海域・海賊船ブラック・サーペント号──

「お頭! もう駄目です! 浸水が止まりやせん!」

嵐の中、甲板長が絶叫した。 伝説の海賊船長バルバロスは、歯噛みしながら浸水する船倉を睨みつけた。 クラーケンの襲撃を受け、船底には大穴が空いている。

「ええい、諦めるな! 俺たちは海の王者だ! こんなところで魚の餌になってたまるかよ!」

その時だ。 浸水した汚水の上に、白い筒状の遺物が、天から降ってきた。

「なんだぁ? こいつは……」

バルバロスがそれを拾い上げる。 奇妙なノズルがついた、冷たい金属の筒。 側面には、見たこともない言語で『激・膨張』と書かれた(ように見える)赤い刻印がある。

「古代の遺物か……? 神が俺たちに、これで生き延びろと言ってるのか?」

「お頭、水が腰まできました! 何か手を!」

「くそっ、わかった! いちかばちかだ!」

バルバロスは、その筒のノズルを、船底の大穴に向けた。 そして、引き金を力いっぱい押し込んだ。

プシューーーッ……

間の抜けた音と共に、ノズルの先から「白い液体」が噴き出した。

「なんだこりゃ? ミルクか?」

「お頭、何も起きねえぞ! ただの汁じゃねえか!」

部下たちが落胆した、その直後だった。

ボコッ……ボコボコボコッ……!

穴に付着した液体が、突如として脈打ち始めた。 いや、違う。 膨張している。 異常な速度で、空気を吸い込みながら、白く、ブヨブヨとした肉塊へと変貌していく。

「う、うわああ!? なんだこれ!? 膨らんでやがる!」

「生きているのか!? 白い肉が増殖しているぞ!」

発泡ウレタンの膨張率は、元の体積の数十倍にも及ぶ。 しかも、今回は『特大缶』であり、異世界の湿気と魔力に過剰反応していた。

メリメリメリメリッ!

「ひぃぃぃ! 穴が塞がった! いや、塞がりすぎて壁まで圧迫してやがる!」

「逃げろ! こいつ、止まらねえぞ!」

白い魔物は、穴を埋め尽くしても飽き足らず、船倉全体へと溢れ出した。 まるで意思を持ったアメーバのように、樽を飲み込み、柱を飲み込み、逃げ遅れた船員の足に絡みつく。

「ぎゃああああ! 喰われる! 足が! 足が白き沼にィィィ!」

「助けろ! ……だ、駄目だ! 固まってやがる! 石のように硬い!」

「こいつは泡じゃねえ! 『白亜の捕食生物(ホワイト・イーター)』だ!!」

バルバロスは腰を抜かした。 船底から、白い悪魔がモコモコと這い上がってくる。 階段を埋め尽くし、甲板へと溢れ出し、マストさえも白く塗り替えていく。

「船が……俺たちの船が……侵食されていく……」

「お頭! もう船として機能しません! 舵も固定されました!」

「総員退船だァァァ!! 海に飛び込めェェェ!!」

「この船はもう、奴の胃袋の中だァァァ!!」

屈強な海賊たちが、我先にと嵐の海へ飛び込む。 振り返れば、かつてブラック・サーペント号と呼ばれた船は、巨大な白い繭(まゆ)のような、異形の浮遊物体へと変わり果てていた。

「見ろ……。全てを飲み込んで、海に浮いている……」

「なんという執念……。獲物を逃すまいと、船ごと石化させたのか……」

海賊たちは恐怖に震えながら、その白い怪物が波間に漂う様を見つめ続けた。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

「は?」

え、ちょ、なんで捨ててんの? せっかく穴ふさがったじゃん。

「てか、膨らみすぎじゃない?」

あんな勢いでモコモコする予定じゃなかったんだけど。 船、真っ白な塊になってるし。 芸術作品みたいになってるし。

「『捕食生物』って何よ」 
「ただの断熱材だから! 無害だから! カッターで切れるから!」

せっかく沈まないようにしてあげたのに、全員海に飛び込んじゃって……。 サメ来るよ? 大丈夫?

女神「なんでそうなるのーーー!?」
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