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文明進化(?)編
女神「タイプライター(アンティーク調)送ったわ〜」 →宮廷記録官「【神の神託を無作為に叩き出す混沌の打鍵機】だ……!」
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「……あー、もう。字が汚い! 読めない!」
わたしは天界のデスクで、下界から届いた(と勝手に思っている)感謝状代わりの羊皮紙を解読しようとしていた。 前回の電話機の件、王様たちが受話器を頭にガムテで固定してる姿はアレだったけど、一応文明は進んだはず。
「でもさ、この手書きの文字、ミミズがのたうち回ったみたいじゃん?」 「解読に時間かかるとか、タイパ最悪なんですけど」
あいつら、羽ペンでサラサラ書くことに酔ってるけど、可読性が低すぎるのよ。 情報は誰が読んでも同じように伝わらなきゃ意味がない。 つまり、文字の規格統一! 活字化こそが正義!
そこでこれ!
【ヴィンテージ・タイプライター(英字配列・インクリボン付き)】
キーを叩くと、アームがバチン!と動いて紙にインクを叩きつける、レトロで重厚な機械式筆記具。 電源不要。カシャン、カシャン、チーン!という音が心地よい。
「これなら誰が打っても綺麗な文字になるし!」 「キーを叩くだけで文章ができるとか、魔法みたいで絶対ウケるっしょ!」
「ほら、これで『読める報告書』送ってよ! 期待してるからね!」
(──よしよし、これでわたしのストレスも減るし、文明度も爆上がり! 一石二鳥~!)
文字の革命、転送ポチー!
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
──王宮・大記録室「賢者の書斎」──
「……読めん。過去の記録が読めん」
記録官長ゼノンは、カビの生えた古文書を前に嘆いていた。 数百年前に書かれた預言書だが、癖字が酷すぎて「魔王が来る」のか「魔王と食う」のか判別できない。
「文字とは、かくも不確かなものか……」
その時、書斎の机に、ズシンと重い『鉄の箱』が出現した。
「なんだ? 精巧な細工箱か?」
黒光りする金属ボディ。 階段状に並んだ、無数の丸いボタン。 そして、紙を巻き込むための黒い筒(プラテン)。
「ボタンに……見たこともない記号が刻まれている」 「『Q』『W』『E』『R』『T』『Y』……? 古代ルーン文字か?」
ゼノンは直感した。 これは人間が使う文字ではない。 神の言語、あるいは星の配列を模した『運命の打鍵盤』であると。
「……押せば、わかるか」
彼は震える指で、『A』と書かれたキーを強く押し込んだ。
バチンッ!!
「うわっ!?」
乾いた破裂音と共に、鉄のアームが紙に叩きつけられる。 そこには、くっきりと黒い『a』の文字が刻まれていた。
「刻印された……! インク壺もなしに!」 「見ろ、この完璧な形状! 人の手では描けぬ、神の筆跡だ!」
部下たちが集まってくる。 「長官! これはもしや、押したボタンに対応した『事象』を世界に刻み込む装置では?」
「その通りだ。……だが、配列が奇妙だ」 「なぜ『A』の隣が『S』なのだ? 秩序がない」
「わかりました! これは『混沌(カオス)』です!」 「意味のある文章を綴るものではなく、無作為に神託を降ろすための『ランダム・オラクル・マシーン』なのです!」
「なるほど……! ならば、我々の意思で選んではならん!」 「無心で! ただ天啓に従い、指が動くままにキーを叩くのだ!」
彼らはタイプライターを囲み、目を閉じて祈りを捧げながら、デタラメにキーを叩き始めた。
バチン! カシャン! バチン! バチン!
「降りてきた! 神の言葉が!」 「次は『K』だ! いや『L』か!?」
紙には『jhgfd sa oiuyt re wq』といった、意味不明な文字列が羅列されていく。 だが、彼らはその羅列に、勝手な解釈を与えていく。
「見ろ! 『j』の次に『h』が来た!」 「これは『邪悪(J)な破壊(H)』の予兆だ!」 「なんという不吉な! すぐに王へ報告せねば!」
そして、行の端まで来た時。
チーン!!
「!?!?!?」
軽やかなベルの音が室内に響き渡る。
「鐘だ! 終わりの鐘が鳴った!」 「この行の予言はここで確定したという合図だ!」
ゼノンはガシャンとキャリッジ(改行レバー)を戻し、次の行へ進む。
「恐ろしい……。この機械は、世界の運命を一行ずつ決定している……」 「我々がキーを叩くたびに、どこかで何かが起きているのだ!」
「長官! 『Delete』キーがありません! 訂正不可能です!」 「当然だ! 神の予言に訂正など許されん!」
「叩け! 打ち続けろ!」 「次の歴史を紡ぐのは、我々の指先だぁぁぁ!」
記録室には、意味のないアルファベットの羅列を「絶対予言書」として崇め、目を閉じてキーボードを乱打し続ける、狂気のピアニストたちの打鍵音だけが響き渡った。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「……はぁ?」
わたしはモニターの前で、カウチポテトをキメながら固まっていた。
「読めないんだけど」
送られてきた(というか覗き見た)紙。 『asdfghjkl』とか『qwertyuiop』とか。 ただの配列順じゃん。
「『邪悪な破壊』って何?」 「ただの『J』と『H』だから! 頭文字で勝手に解釈しないで!」
(──ねぇ、待って。もしかして……)
ふと、嫌な予感が過った。 あいつら、タイプライターの使い方が分からないんじゃない。 そもそも……。
「『アルファベット』を知らない……?」
いや、まさかね。 異世界言語翻訳(オートトランスレート)かかってるから会話は通じるけど。 文字の読み書きのレベル、もしかして幼稚園児以下……?
「……え、嘘でしょ?」 「わたし、ずっと『猫に小判』ならぬ『原始人にPC』状態だったってこと?」
道具がすごくても、使う側に「知識」がなきゃ、ただのオモチャじゃん。 これ、仕事の効率化とか以前の問題なんじゃ……?
「いやいや、まさかね! 偶然だよね!?」 「次はもっと分かりやすい、誰でも使えるやつ送れば判明するはず……!」
「頼むから、最低限の勉強くらいしておいてよーーーっ!?」
わたしは天界のデスクで、下界から届いた(と勝手に思っている)感謝状代わりの羊皮紙を解読しようとしていた。 前回の電話機の件、王様たちが受話器を頭にガムテで固定してる姿はアレだったけど、一応文明は進んだはず。
「でもさ、この手書きの文字、ミミズがのたうち回ったみたいじゃん?」 「解読に時間かかるとか、タイパ最悪なんですけど」
あいつら、羽ペンでサラサラ書くことに酔ってるけど、可読性が低すぎるのよ。 情報は誰が読んでも同じように伝わらなきゃ意味がない。 つまり、文字の規格統一! 活字化こそが正義!
そこでこれ!
【ヴィンテージ・タイプライター(英字配列・インクリボン付き)】
キーを叩くと、アームがバチン!と動いて紙にインクを叩きつける、レトロで重厚な機械式筆記具。 電源不要。カシャン、カシャン、チーン!という音が心地よい。
「これなら誰が打っても綺麗な文字になるし!」 「キーを叩くだけで文章ができるとか、魔法みたいで絶対ウケるっしょ!」
「ほら、これで『読める報告書』送ってよ! 期待してるからね!」
(──よしよし、これでわたしのストレスも減るし、文明度も爆上がり! 一石二鳥~!)
文字の革命、転送ポチー!
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
──王宮・大記録室「賢者の書斎」──
「……読めん。過去の記録が読めん」
記録官長ゼノンは、カビの生えた古文書を前に嘆いていた。 数百年前に書かれた預言書だが、癖字が酷すぎて「魔王が来る」のか「魔王と食う」のか判別できない。
「文字とは、かくも不確かなものか……」
その時、書斎の机に、ズシンと重い『鉄の箱』が出現した。
「なんだ? 精巧な細工箱か?」
黒光りする金属ボディ。 階段状に並んだ、無数の丸いボタン。 そして、紙を巻き込むための黒い筒(プラテン)。
「ボタンに……見たこともない記号が刻まれている」 「『Q』『W』『E』『R』『T』『Y』……? 古代ルーン文字か?」
ゼノンは直感した。 これは人間が使う文字ではない。 神の言語、あるいは星の配列を模した『運命の打鍵盤』であると。
「……押せば、わかるか」
彼は震える指で、『A』と書かれたキーを強く押し込んだ。
バチンッ!!
「うわっ!?」
乾いた破裂音と共に、鉄のアームが紙に叩きつけられる。 そこには、くっきりと黒い『a』の文字が刻まれていた。
「刻印された……! インク壺もなしに!」 「見ろ、この完璧な形状! 人の手では描けぬ、神の筆跡だ!」
部下たちが集まってくる。 「長官! これはもしや、押したボタンに対応した『事象』を世界に刻み込む装置では?」
「その通りだ。……だが、配列が奇妙だ」 「なぜ『A』の隣が『S』なのだ? 秩序がない」
「わかりました! これは『混沌(カオス)』です!」 「意味のある文章を綴るものではなく、無作為に神託を降ろすための『ランダム・オラクル・マシーン』なのです!」
「なるほど……! ならば、我々の意思で選んではならん!」 「無心で! ただ天啓に従い、指が動くままにキーを叩くのだ!」
彼らはタイプライターを囲み、目を閉じて祈りを捧げながら、デタラメにキーを叩き始めた。
バチン! カシャン! バチン! バチン!
「降りてきた! 神の言葉が!」 「次は『K』だ! いや『L』か!?」
紙には『jhgfd sa oiuyt re wq』といった、意味不明な文字列が羅列されていく。 だが、彼らはその羅列に、勝手な解釈を与えていく。
「見ろ! 『j』の次に『h』が来た!」 「これは『邪悪(J)な破壊(H)』の予兆だ!」 「なんという不吉な! すぐに王へ報告せねば!」
そして、行の端まで来た時。
チーン!!
「!?!?!?」
軽やかなベルの音が室内に響き渡る。
「鐘だ! 終わりの鐘が鳴った!」 「この行の予言はここで確定したという合図だ!」
ゼノンはガシャンとキャリッジ(改行レバー)を戻し、次の行へ進む。
「恐ろしい……。この機械は、世界の運命を一行ずつ決定している……」 「我々がキーを叩くたびに、どこかで何かが起きているのだ!」
「長官! 『Delete』キーがありません! 訂正不可能です!」 「当然だ! 神の予言に訂正など許されん!」
「叩け! 打ち続けろ!」 「次の歴史を紡ぐのは、我々の指先だぁぁぁ!」
記録室には、意味のないアルファベットの羅列を「絶対予言書」として崇め、目を閉じてキーボードを乱打し続ける、狂気のピアニストたちの打鍵音だけが響き渡った。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「……はぁ?」
わたしはモニターの前で、カウチポテトをキメながら固まっていた。
「読めないんだけど」
送られてきた(というか覗き見た)紙。 『asdfghjkl』とか『qwertyuiop』とか。 ただの配列順じゃん。
「『邪悪な破壊』って何?」 「ただの『J』と『H』だから! 頭文字で勝手に解釈しないで!」
(──ねぇ、待って。もしかして……)
ふと、嫌な予感が過った。 あいつら、タイプライターの使い方が分からないんじゃない。 そもそも……。
「『アルファベット』を知らない……?」
いや、まさかね。 異世界言語翻訳(オートトランスレート)かかってるから会話は通じるけど。 文字の読み書きのレベル、もしかして幼稚園児以下……?
「……え、嘘でしょ?」 「わたし、ずっと『猫に小判』ならぬ『原始人にPC』状態だったってこと?」
道具がすごくても、使う側に「知識」がなきゃ、ただのオモチャじゃん。 これ、仕事の効率化とか以前の問題なんじゃ……?
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