転生女神さまは異世界に現代を持ち込みたいようです。 〜ポンコツ女神の現代布教活動〜

れおぽん

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異世界スパルタ義務教育化計画

女神「給食当番セット(白衣・三角巾)送ったわ〜」 →料理長「【黄泉へ誘う白き死装束の晩餐会】が始まった……!」

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「あー、前回の笛、耳キーンなったわ……」

わたしは天界のソファで、耳のマッサージをしていた。 そこへ、柱の陰からオドオドした視線を感じる。

「……あ、あの……女神センパイ……?」

「ん? 誰? あ、新入りの!」

そこにいたのは、ボサボサの黒髪で目が隠れがちな、小柄な女の子。 事務方(記録係)の新人、ミオちゃんだ。

「どしたの? そんなとこ隠れてないでこっち来なよ~」

「ひぃっ……! い、いえ、私なんかは陰でジメジメしてるのがお似合いなので……」 「ただ、その……センパイの『教育計画』のデータ整理が終わったので……報告を……」

ミオちゃんは震える手でタブレットを差し出す。 声ちっさ。かわいいかよ。

「ありがと~! ミオちゃん仕事早すぎ! マジ神!」

「そ、そんな……! 私なんてミジンコ以下の存在ですぅ……」 「で、でも……センパイのやり方、すごいです……。毎回カオスなのに、結果的に解決してて……そ、尊敬してます……(ボソッ)」

「え、マジ? 褒められた? やっぱウチ天才?」

テンション上がったわたしは、ミオちゃんの肩をバンバン叩いた。

「よーし、じゃあ今日はミオちゃんも見学してきなよ!」 「次はお腹も心も満たす『食育』の時間だから!」

「えっ……い、いいんですか? 私なんかが……」 「いいのいいの! ほら、これ送るから!」

【給食当番パーフェクトセット(白衣・帽子・三角巾・おたま・配膳台)】

衛生管理の基本、真っ白なユニフォーム。 そして、みんなに均等に食事を配るための神器、おたま。

「これ着て配膳すれば、清潔だし『奉仕の心』も育つっしょ!」 「みんなで仲良く『いただきまーす』ってね!」

おいしい給食、転送ポチー!

「あわわ……ボ、ボタン押す指がお綺麗ですぅ……」

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


──戦場の最前線・野営地「炊事場」──

「……食料が尽きかけている」

料理長のガストンは、薄まったスープの鍋を前に絶望していた。 長引く戦い。兵士たちの腹は減り、不満が溜まっている。 このままでは暴動が起き、共食いすら始まりかねない。

「どうすれば……。どうすれば少ない食料で、全員を納得させられる……?」

その時。 炊事場の机の上に、真っ白に畳まれた『布の山』と、銀色に輝く『鉄の柄杓(ひしゃく)』が出現した。

「なんだ? 死に装束か?」

ガストンが布を広げる。 潔癖なまでに白い上着。 そして、頭に巻くための白い三角形の布。

「……三角の布。これは……」

その場にいた料理人たちが息を呑む。 この世界において、頭に白い三角の布をつけるのは──『幽霊』か『死人』だけだ。

「わかったぞ……。これは神からの『最期の慈悲』だ」

ガストンが静かに告げる。 「この食事が、兵士たちにとっての『最後の晩餐』になるということだ」 「我々は『黄泉(よみ)の料理番』となり、彼らを死の世界へ送り出す儀式を行えと……」

「そ、そんな……!」 「嫌だ! 俺はまだ死にたくない!」

「黙れ! 神命だ!」 ガストンは白衣を羽織り、頭に三角巾をつけた。 その姿は、まさしく日本のお化け屋敷に出てくる幽霊そのものだったが、彼らの目には『死を告げる白き処刑人』に映った。

「着ろ。そして、この『銀の裁き杓(さばきじゃく)』を持て」

料理人たちが泣きながら白装束を纏う。 薄暗い炊事場に、白い服を着た集団がゆらりと並ぶ。

「配膳だ……。一人たりとも残すな。平等に、死を分け与えるのだ……」

***

食堂テントに、兵士たちが集まっていた。 そこへ、ガラガラと音を立てて、白い服の集団(給食当番)が入ってきた。

「……え?」 「なんだあの格好は……?」

全員が頭に「死人の三角巾」をつけている。 目には光がなく(※緊張しているだけ)、無言で銀色の柄杓を構えている。

「ひぃっ!? し、死神だ!」 「迎えに来たんだ! このスープを飲んだら死ぬんだ!」

ガストンが一歩前に出る。 「……並べ。静かに並べ」

ドスの効いた声。 兵士たちは震え上がり、一列に整列した。

「皿を出せ」

ガストンがおたまですくったのは、具の少ない薄いスープ。 だが、彼はそれを慎重に、一滴もこぼさずに注いだ。

「……均等だ。誰一人として、多くも少なくもない」 「これが『命の計量』だ」

兵士が震える手で皿を受け取る。 「た、助けて……」

「残すなよ」 ガストンの目が光る。 「一粒でも残せば……わかっているな?(※食材を粗末にするなという意味)」

「ヒィィィッ! 残せば地獄行きだぁぁぁ!」

「いただきます! 死ぬ気でいただきますぅぅぅ!」

兵士たちは泣きながら、猛烈な勢いでスープを流し込んだ。 嫌いな野菜が入っていようが、味が薄かろうが関係ない。 残せば「白き死神」に魂を持っていかれるのだ。

「うまい……うまいですぅ……(号泣)」 「俺、これ食べ終わったら、故郷の母ちゃんに……うっ、うぅっ!」

結果、野営地の食事マナーは劇的に向上した。 皿は舐めたように綺麗になり、フードロスはゼロ。 全員が「今日が最後かもしれない」という緊張感で食事をするため、感謝の祈りが絶えなくなった。

「見ろ……。彼らの食欲を」 ガストンは三角巾を直しながら呟いた。 「これが『生への執着』か……。我々の儀式は成功したようだな」

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


「……こっわ」

わたしはポテチの手を止めて、ドン引きしていた。 横にいるミオちゃんも、タブレットを抱きしめてガタガタ震えている。

「あ、あの……センパイ……」 「なんで『いただきます』が、あんなに絶望的な響きになるんですか……?」 「あと、あの三角巾……やっぱり向こうの世界だと『アレ』に見えるんですね……」

「いや、知らなかったし!」 「ただの衛生用品だから! 幽霊コスプレじゃないから!」

でも、画面の中の兵士たち、めちゃくちゃ行儀よく食べてる。 お皿ピカピカじゃん。

「……ま、いっか!」 「結果的に好き嫌いなくなったし? 食材も無駄にしてないし?」

「ね? ミオちゃん、これがわたしの教育方針!」 「『恐怖』と『満腹』は紙一重ってことよ!」

「は、はい……! 勉強になります……!(メモメモ)」 「(センパイの思考回路、深すぎて怖い……けど、すごいですぅ……!)」

ミオちゃんの尊敬の眼差し(と若干の恐怖)を受けながら、わたしは次のページをめくった。

「よーし、お腹もいっぱいになったことだし!」 「次は腹ごなしに『体育』の時間といきましょうか!」

「運動不足のあいつらに、チームワークとルールの厳しさを教えてやるわ!」 「ボールは友達! ……になれるかな?」
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