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番外編を集めてる^_^ ねこネコ(=^ェ^=)
番外編:ひな祭り2
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《ちい(パパ)視点》※この時、まだ双子の結と紬はまだいません。
今日は久しぶりに祖父の清影の別荘に来ている。
うちの一族は、グランディアでも旧暦のひな祭りを祝う。
普通三の月にお祝いするそうだが、その時期は寒い。
だから約1ヶ月後の暖かい時期に集まって過ごす。
グランディアから移住した際に、移してきた樹木や草花はほとんどがこの地に根付いた。
無理だったものは鉢植えやプランター植えにしてそこかしこに置かれて世話されている。
俺は知らないが、ほぼグランディアの風景に近いのだそうだ。
この時期は梅や桃は当然もう散っていて、山桜や吉野桜という5枚の花弁の桜は散り始め、遅咲きの八重桜が咲き始める時期に家族が集まり花見をするのだ。
家族というのは祖父母や父の弟妹、それぞれの子供たちにその親族という錚々たるメンバー。
忙しい祖父は普段騎士の館内にある寮にすんでいるが、この日ばかりは前後二日間休みを取り、ひな祭りの準備をする。
食べ飲むだけじゃなく、しまいこんでいたグランディアの食器や酒器を出したり、グランディアの食べ物を朝から作り、重箱に詰めて庭にござを広げるのだ。
まぁ、桜が地面に直接植えられているのはここだけだ。
他の地域は鉢に植えてある。
祖母の弟でありカズール伯爵である俺の師匠は、キチンとカズールのチェニア宮にも一応部屋を準備していたのだが、曾祖父がある時出ていけとキレた。
曾祖父は祖父が嫌いで追い出したわけではなく、祖母がありとあらゆるものを破壊し続けるので、曾祖母の遺品を守るためにそうしたらしい。
そして、曾祖父が持っていた東方のラディリア領の広大な土地と屋敷を譲ってもらい、その領地の南西部に祖母専用のジム兼遊び場を作り、反対側の屋敷は祖父の趣味の趣味のためのグランディア風家屋を建てた。
ここは壊れてはいけないので結界石を緻密に張り巡らせ、定期的に警備が巡回する徹底ぶりである。
普段は仕事に忙しい祖父の代わりに、ちょうど隣に住むエッシェンドルフ公爵家の先代とその孫である俺の元上司のセラス先輩が定期的に出入りしている。
セラス先輩は騎士団に所属しているけれど、最近はグランディアの研究もしたいらしく、時間を作っては学院の講義やじいさまのこの屋敷の手入れをしつつ、祖父の持ち込んだグランディアの書物から宝物、化石、鉱物を熱心に眺めているようだ。
その合間に、騎士の館のレイノルド先生も同じく研究者の奥方と訪れている。
曾祖父もしょっちゅうこちらに出入りしているらしく、時々エディじいさまが迎えに行っている。
曾祖父は何かを言いつけておかないと引きこもりになるそうだ。
特に曾祖母を亡くしてから、仕事に集中させる以外方法がないくらいダメ人間と化したらしい。
まぁ、多分日向夏がいないと俺もそうなると思う。
逆に祖父も、祖母の世話と騎士の館の仕事を奪うと同じようになるだろうなと思う。
まぁ、ここ育ちの俺にとってもグランディアは一言で言って不思議の国だ。
この国は術があり、ドラゴンがいて、広大な土地にさまざまな種族が住む。
混在する。
逆にグランディアは閉塞感と狭さ、圧迫感。
家族はその中で生活し、そしてこちらに戻ってきた。
住みにくかっただろう。
そして開放感から驕ったりすることなく、今の生活に満足しているところが、俺は嬉しい。
……まぁ、もう家族に加わることのない存在は、逆に異質だったのかもしれない。
「おっきいじいじ、だっこ♪」
これから騎士の館のメンテナンスもあるため長期休暇に入った祖父。
孫の彩映にそう声をかけられデレっとして、今日はかなりご機嫌のようだ。
いそいそと手を伸ばしてひ孫を抱きしめている。
普段は無表情というか、年齢未詳の黒髪の白皙の美男子というか……まぁ、この地域にいそうでいないタイプの見た目の人だが……
「彩映! 幸矢! お前たちは、いつもいつもかわいいね~!」
あ、酔っ払ってる。
満面の笑みで彩映ごとハグされている幸矢兄、大変そうだ。
でも、珍しいな……
「そうそう、萬葉が帰ってくるんだよ~! どれだけ大きくなったんだろうね~! それに、お前たちにも久しぶりに会えて嬉しい!」
うわぁ……めちゃくちゃご機嫌だ。
ウワバミだの酒豪だの言われる祖母に比べ、酒は楽しむものという祖父。
でも、今回はペースが早いようだ。
可愛いひ孫の彩映を膝の上に乗せ、その上に隣には幸矢兄を……おいっ! 何で幸矢兄を女装させる必要がある?
誰だ!
おいおい……ちゃっかり真正面に陣取ってる義姉さん(兄嫁)と月姉がやり切った感満載で、顔を見合わせて親指立てて、うまくいったって喜んでる。
止めようにも俺の膝には風深がいて、おい、レク……孫を膝に抱いてにやけ顔やめろ!
「いいじゃないか~今日はじいじと遊ぼうね? 凛音」
「じいじ……いっぱいじいじ、いましゅが、みんなじいじでいいんでしゅか?」
ちなみに凛音は、レクの孫。
俺とも少し遠いが血縁関係である。
凛音の祖母である六槻姉様の母の清泉おばさんがうちの父の従妹になるらしい。
幼い時に両親と別れた叔母は、曾祖父に引き取られうちの父の妹のように育ったそうだ。
凛音は清泉おばさんや六槻姉様に似ている。
髪の色や瞳の色は父親の色で淡い金色で明るい青色だが、顔立ちは幼く可愛い母方だ。
そして、凛音はかなり賢い。
まぁ、うちの彩映の方が賢いがな!
まだうちの風深とほぼ変わらない年だが、風深よりは勉強スピードが速いらしい。
女の子はませているのだろうか?
「しょうでしゅ! フィアじいじとシエラじいじとよんでまちゅが、レクじいじはじいちゃまとよびましゅ。えいじいじはおじいしゃま、ヴィクターじいじはおおじいじでしゅ」
「嬉しいな。あ、じいちゃまのお父さんのルードじいじはどうするの?」
「ルードじいちゃまでしゅよ。エディじいちゃまもよびましゅ。エリファシュじいは、じいでしゅ。しょうしょふとかこうしょふとか、めんどうなんでしゅよ。じいちゃま、じいじでわかりまちゅとも!」
と、眉を寄せ言い切る凛音……おい、その年で高祖父とか曽祖父って、本気で理解できてるのか?
祖父の意味わかってるのか?
そう思っていたら、
「本当に遅くなりました!」
と言いながら、片手で那智の手をひき、メオを抱っこしたラファ兄が登場。
「ラファ兄、那智。待ってたよ! メオもよく来たね!」
「こ、こ、こにちは! おしょくなりまちた!」
「遅くないよ~。よく来たね。それより、こっちおいでよ」
呼ぶと、三人は近づいてくる。
「はい。こっちが三人の席。それより大丈夫? 日向夏に聞いたんだけど那智、体調良くないんだって? 調子悪いようなら、うちに避難しておいで」
「は、はい……えっと……」
モジモジしている那智の横に座り、ラファ兄が照れくさそうに、
「那智のお腹に赤ん坊ができたんだ。メオの妹か弟。まだ安定期に入っていないけど、今日は調子良さそうだから」
「ちょっと待った!」
月姉が慌てて駆けつけると、コンコンと言い聞かせる。
「そんなとこ座っちゃダメ! 身体冷やすもんじゃありません! 誰か、クッション! ストール! 膝掛け!」
「大丈夫なのよ? 月ちゃん。しっかり防寒対策したの」
「ダメです! 絶対とかないんだから! 過剰なくらい準備しなきゃ。しっかり対策するんだよ! 本当に一人の身体じゃないんだから! ほら! メオも言って! 可愛い妹か弟とママのために!」
「えっと……ママ、メオがそばにいて守るね? 僕お兄ちゃん」
テレテレと頬を赤くして母親に抱きつくメオに、那智もラファ兄も頬を緩ませる。
メオはラファ兄を父親だと思ってるんだろうな……。
「それに、ママに似た女の子がいいなぁ……。いっぱいかわいいっていうの」
「メオくんやラファ様に似ていても、可愛いと思うのだけれど……」
「ううん! ママに似ててほしいの! だって、ママ可愛いもん!」
「うーん、俺も那智に似た女の子がいいなぁ……」
嫁ラブの会メンバーだけに、ラファ兄はデレデレである。
まぁ、自分そっくりのメオもいるし、愛妻そっくりの娘が欲しいと思っているのかもしれない。
俺も可愛い妹である那智そっくりの姪も楽しみである。
「はい、メオ。ジュース」
少し離れて、幼馴染たちとお話ししていた千夏がコップを持ってきてくれた。
うん、よくできた息子である。
「ありがとごじゃます。ちなにい」
「うん、お母さんがお菓子持ってくるって。なっちゃんもゆず茶飲むでしょ?」
「ありがとう、千夏ちゃん」
那智とうちの奥さんは歳の離れた姉妹。
千夏は那智のことをなっちゃん呼びなのも、小さい頃からである。
メオは、ラファ兄にサポートしてもらいつつ、心配性の月姉が持ってきた膝掛けを母の膝にかけたりしている。
仲良しの親子にほっこりとする。
この間まで、ラファ兄の実家であるレイズ・マルムスティーン邸本館に滞在していたのだが、最近はラファ兄の家……というかラファ兄の部屋を置いている別棟で過ごすことが増えたそうだ。
ちなみに本館別館と言っても、本来はラファ兄の今住む棟が元々は本館だったらしい。
先代……現在は隠居してカズール領の別荘で悠々自適の生活を送っているラファ兄のおじいさまに当たる方が、元々すんでいたそうだが、その長男であるウィリアム卿が自分の趣味全振りのものを集めに集め、最愛の奥方のための部屋を用意するためだけに作った別棟を離れたくないからという理由で、父親が譲るという旧本邸を息子のどちらか……長男のラファ兄と次男のリー(本名はリーダイル)に譲るといったのだが、リーは、
「俺、そんなのいらね~。仕事するし、滅多に戻ってこねーもん。権利も主張しないから、全部兄貴にやる」
と言い、困惑するラファ兄に、
「まぁ、時々帰省したら客室でいいから寝るとこだけ貸してくんね?」
「他にも必要なものあるだろ?」
「うーん? あるか? ないだろ?」
という感じだったようだ。
その後、リーが本格的に継承権放棄や財産も放棄する手続きをしようとしたのに父親と兄は慌てて、最低限の財産や何かあったときの屋敷の権利、爵位などは手続きを行ったらしい。
一応、リーがいらないというものの、リーには妻子である妻の星蘭と次男がいて、その妻子にも権利があるのだから放棄させてはいけないのだと特にラファ兄は言い聞かせたようだ。
まぁ、ラファ兄の妻である那智とリーの妻の星蘭は姉妹である。
姉妹で義理とはいえ兄弟に嫁いでいるのだから、きちんとしておきたいと思ったらしい。
ラファ兄は、リーにあれこれ言うよりもほぼ最後まで黙ったまま手続きをすすめておいたようだ。
そして、最終的に手続きが終わったことをリーにではなく、星蘭の両親や姉である日向夏の夫の俺に伝えてきた。
月姉の夫であるバカなエルドヴァーンに書類一つ送らなかったのは、面倒臭かったからだそうだ。
月姉は時々帰省するし、何かあったらうちに来るので伝えておいてくれと言っていたラファ兄の細やかな心遣いには頭が下がる。
一応確認すると、なんだかんだ言いながら鉱山だの高級住宅地の土地や、親族経営の店舗の権利、株や債券などもあるらしかった。
一緒に星蘭の財産の管理も行なっていることや、メオの財産は別にあることも記載されていて、さすが世界でもトップクラスの金持ち一族の御曹司だと感心したのだが、ラファ兄に、
「お前もそう変わらない財産があるだろ」
と突っ込まれた。
いや、俺はない。
まぁ、あったとしてもデザイン関係のものや、兄貴がほぼ興味のない部分だけ。
まぁ、兄貴は実務的な資料が欲しいと言い、兄貴の言う雑務……細々しいもの、芸術系のものは俺が引き継ぐ羽目になっている。
親父が歴史資料の修復や発掘品のレプリカ作成の技術を俺に教えてきたのもそれかららしい。
まぁ、義姉さんが服飾系のプロだけに古い服飾系の修復は手伝ってくれるので助かっている。
「パパ。大丈夫?」
色々考えていたら風深に心配された。
いや、疲れていないとも……疲れているのは酔っぱらいのじいさまを宥めつつ、いつ女装を解消できるか考えている幸矢兄だろう。
まぁ、久しぶりに一族総出で過ごすのもいい。
俺たちは髪の色が違おうと瞳の色が違おうと、言葉が、姓が変わろうとも、家族で兄弟である。
それはきっと変わらない。
いつか死が俺たちを分けようとも、どこかに旅立ったとしても思いが重なる時があればいいのだ。
だから……元気でいろ。
愚かな元兄妹だったアイツ……の本質が変わらなくても、元は一緒に母のお腹の中で育った存在……。
許したくないのは本心……でも許したいと思うのもこれも本心……。
それは情けないけど俺の弱さなのかもしれない。
「なにしてんだ? ちぃ。ちょっと上を広げてくれ、できたから持ってきた」
「あ、兄貴。久しぶり! ……また何作ってたんだ?」
なぜかグランディアのエプロンをつけた兄が、大きめの皿をテーブルに置き、乱暴に三角巾を外しながら俺の隣に座る。
「魚を捌いてた。川魚は臭みがあるというが、エッシェンドルフ領の魚はとても身が美しいし、新鮮でいいものだったぞ。刺身でもいいと思ったので、寄生虫を確認して、いなかったから作っておいた。食べてみろ」
「……時々思うが、兄貴は料理人になっても良かったんじゃないか?」
「……負けず嫌いな自分が憎い……うちの嫁に掌の上で転がされているようだ」
「……言えてるかも」
暴走気質の兄嫁はよく爆弾のように何かを口にする。
「ねえねえ。~って見たよ~」
という程度だが、勝負されているわけではないというのに、兄は、なぜか、
「勝負か! 受けて立ったらぁ!」
というように奮起し、練習してできるようになるらしい。
いいコンビだ。
庭で遊び回っているのは兄貴の孫たち。
うん、俺より18も上の兄貴にはもうすでに孫がいる。
走り回る孫が飛び込んできたのを易々と受け止めている。
「じいちゃん!」
「なんだ?」
「かけっこ勝った!」
「すごいじゃないか! じゃぁ、じいちゃんの作ったご飯食べるか?」
食べさせる姿は様になっている。
「……そっか、兄貴もじいちゃんなのか……」
「何を当たり前な……父さんが忙しいし、母さんは療養してた時は、俺がお前たちをおんぶにだっこ、両手に引いて歩いてたんだからな」
「まぁ、いつもお世話になってます」
「ふふ……それが楽しかったからな。最初はずっと寝ててふにゃふにゃ言ってたのに、段々目をぱっちりさせて起きてる時間ができて、いつのまにかこんなになるんだもんな~。身長抜かれた時はショックだった!」
「あー、落ち込んでる兄貴見た時どうしようと思った」
苦笑する。
いつのまにか伸びていたし、あの時には動揺した。
そうすると、師匠が放った言葉に兄貴は絶句してくれた。
「でも、シエラおじさんに、『あぁぁ~急激な成長って成長痛がキツいし、夜寝てると痛いらしいよ。ついでにデカくなると体のバランスが崩れるから、今までやってた訓練の見直しもしなくちゃ。ちぃって痩せてるから速い動きの剣を教えてきたけど、今度から軸のブレに注意した剣を教えなくちゃ』って言われた時、大変だと思った」
「兄貴が忙しいのに、時々差し入れだって送ってくれる食事が美味しかった」
「それくらいしかできないしな」
「それくらいじゃないだろ? 兄貴や父さんたちやふぅちゃん、家族がいるから俺は生まれて、大きくなって結婚して、子供が産まれて……生きてる。感謝だよ。まぁ、これから歳とって兄貴みたいにじいちゃんになって……っていうのも楽しみだけどな。ん? 風深……寝てたのか」
腕の中で重くなった次男を抱き直し、笑いかける。
膝掛けはかけておいたから、大丈夫だろうと思いつつテーブルの上の料理に手を伸ばす。
今日はゆっくり過ごそう……家族とこの幻想的な桜の花吹雪の中で……。
本当はほぼ2年前に出来上がっていましたが、周辺の状況も鑑みて非公開としていました。
桜の時期ですのでところどころ修正して、公開させていただきます。
今日は久しぶりに祖父の清影の別荘に来ている。
うちの一族は、グランディアでも旧暦のひな祭りを祝う。
普通三の月にお祝いするそうだが、その時期は寒い。
だから約1ヶ月後の暖かい時期に集まって過ごす。
グランディアから移住した際に、移してきた樹木や草花はほとんどがこの地に根付いた。
無理だったものは鉢植えやプランター植えにしてそこかしこに置かれて世話されている。
俺は知らないが、ほぼグランディアの風景に近いのだそうだ。
この時期は梅や桃は当然もう散っていて、山桜や吉野桜という5枚の花弁の桜は散り始め、遅咲きの八重桜が咲き始める時期に家族が集まり花見をするのだ。
家族というのは祖父母や父の弟妹、それぞれの子供たちにその親族という錚々たるメンバー。
忙しい祖父は普段騎士の館内にある寮にすんでいるが、この日ばかりは前後二日間休みを取り、ひな祭りの準備をする。
食べ飲むだけじゃなく、しまいこんでいたグランディアの食器や酒器を出したり、グランディアの食べ物を朝から作り、重箱に詰めて庭にござを広げるのだ。
まぁ、桜が地面に直接植えられているのはここだけだ。
他の地域は鉢に植えてある。
祖母の弟でありカズール伯爵である俺の師匠は、キチンとカズールのチェニア宮にも一応部屋を準備していたのだが、曾祖父がある時出ていけとキレた。
曾祖父は祖父が嫌いで追い出したわけではなく、祖母がありとあらゆるものを破壊し続けるので、曾祖母の遺品を守るためにそうしたらしい。
そして、曾祖父が持っていた東方のラディリア領の広大な土地と屋敷を譲ってもらい、その領地の南西部に祖母専用のジム兼遊び場を作り、反対側の屋敷は祖父の趣味の趣味のためのグランディア風家屋を建てた。
ここは壊れてはいけないので結界石を緻密に張り巡らせ、定期的に警備が巡回する徹底ぶりである。
普段は仕事に忙しい祖父の代わりに、ちょうど隣に住むエッシェンドルフ公爵家の先代とその孫である俺の元上司のセラス先輩が定期的に出入りしている。
セラス先輩は騎士団に所属しているけれど、最近はグランディアの研究もしたいらしく、時間を作っては学院の講義やじいさまのこの屋敷の手入れをしつつ、祖父の持ち込んだグランディアの書物から宝物、化石、鉱物を熱心に眺めているようだ。
その合間に、騎士の館のレイノルド先生も同じく研究者の奥方と訪れている。
曾祖父もしょっちゅうこちらに出入りしているらしく、時々エディじいさまが迎えに行っている。
曾祖父は何かを言いつけておかないと引きこもりになるそうだ。
特に曾祖母を亡くしてから、仕事に集中させる以外方法がないくらいダメ人間と化したらしい。
まぁ、多分日向夏がいないと俺もそうなると思う。
逆に祖父も、祖母の世話と騎士の館の仕事を奪うと同じようになるだろうなと思う。
まぁ、ここ育ちの俺にとってもグランディアは一言で言って不思議の国だ。
この国は術があり、ドラゴンがいて、広大な土地にさまざまな種族が住む。
混在する。
逆にグランディアは閉塞感と狭さ、圧迫感。
家族はその中で生活し、そしてこちらに戻ってきた。
住みにくかっただろう。
そして開放感から驕ったりすることなく、今の生活に満足しているところが、俺は嬉しい。
……まぁ、もう家族に加わることのない存在は、逆に異質だったのかもしれない。
「おっきいじいじ、だっこ♪」
これから騎士の館のメンテナンスもあるため長期休暇に入った祖父。
孫の彩映にそう声をかけられデレっとして、今日はかなりご機嫌のようだ。
いそいそと手を伸ばしてひ孫を抱きしめている。
普段は無表情というか、年齢未詳の黒髪の白皙の美男子というか……まぁ、この地域にいそうでいないタイプの見た目の人だが……
「彩映! 幸矢! お前たちは、いつもいつもかわいいね~!」
あ、酔っ払ってる。
満面の笑みで彩映ごとハグされている幸矢兄、大変そうだ。
でも、珍しいな……
「そうそう、萬葉が帰ってくるんだよ~! どれだけ大きくなったんだろうね~! それに、お前たちにも久しぶりに会えて嬉しい!」
うわぁ……めちゃくちゃご機嫌だ。
ウワバミだの酒豪だの言われる祖母に比べ、酒は楽しむものという祖父。
でも、今回はペースが早いようだ。
可愛いひ孫の彩映を膝の上に乗せ、その上に隣には幸矢兄を……おいっ! 何で幸矢兄を女装させる必要がある?
誰だ!
おいおい……ちゃっかり真正面に陣取ってる義姉さん(兄嫁)と月姉がやり切った感満載で、顔を見合わせて親指立てて、うまくいったって喜んでる。
止めようにも俺の膝には風深がいて、おい、レク……孫を膝に抱いてにやけ顔やめろ!
「いいじゃないか~今日はじいじと遊ぼうね? 凛音」
「じいじ……いっぱいじいじ、いましゅが、みんなじいじでいいんでしゅか?」
ちなみに凛音は、レクの孫。
俺とも少し遠いが血縁関係である。
凛音の祖母である六槻姉様の母の清泉おばさんがうちの父の従妹になるらしい。
幼い時に両親と別れた叔母は、曾祖父に引き取られうちの父の妹のように育ったそうだ。
凛音は清泉おばさんや六槻姉様に似ている。
髪の色や瞳の色は父親の色で淡い金色で明るい青色だが、顔立ちは幼く可愛い母方だ。
そして、凛音はかなり賢い。
まぁ、うちの彩映の方が賢いがな!
まだうちの風深とほぼ変わらない年だが、風深よりは勉強スピードが速いらしい。
女の子はませているのだろうか?
「しょうでしゅ! フィアじいじとシエラじいじとよんでまちゅが、レクじいじはじいちゃまとよびましゅ。えいじいじはおじいしゃま、ヴィクターじいじはおおじいじでしゅ」
「嬉しいな。あ、じいちゃまのお父さんのルードじいじはどうするの?」
「ルードじいちゃまでしゅよ。エディじいちゃまもよびましゅ。エリファシュじいは、じいでしゅ。しょうしょふとかこうしょふとか、めんどうなんでしゅよ。じいちゃま、じいじでわかりまちゅとも!」
と、眉を寄せ言い切る凛音……おい、その年で高祖父とか曽祖父って、本気で理解できてるのか?
祖父の意味わかってるのか?
そう思っていたら、
「本当に遅くなりました!」
と言いながら、片手で那智の手をひき、メオを抱っこしたラファ兄が登場。
「ラファ兄、那智。待ってたよ! メオもよく来たね!」
「こ、こ、こにちは! おしょくなりまちた!」
「遅くないよ~。よく来たね。それより、こっちおいでよ」
呼ぶと、三人は近づいてくる。
「はい。こっちが三人の席。それより大丈夫? 日向夏に聞いたんだけど那智、体調良くないんだって? 調子悪いようなら、うちに避難しておいで」
「は、はい……えっと……」
モジモジしている那智の横に座り、ラファ兄が照れくさそうに、
「那智のお腹に赤ん坊ができたんだ。メオの妹か弟。まだ安定期に入っていないけど、今日は調子良さそうだから」
「ちょっと待った!」
月姉が慌てて駆けつけると、コンコンと言い聞かせる。
「そんなとこ座っちゃダメ! 身体冷やすもんじゃありません! 誰か、クッション! ストール! 膝掛け!」
「大丈夫なのよ? 月ちゃん。しっかり防寒対策したの」
「ダメです! 絶対とかないんだから! 過剰なくらい準備しなきゃ。しっかり対策するんだよ! 本当に一人の身体じゃないんだから! ほら! メオも言って! 可愛い妹か弟とママのために!」
「えっと……ママ、メオがそばにいて守るね? 僕お兄ちゃん」
テレテレと頬を赤くして母親に抱きつくメオに、那智もラファ兄も頬を緩ませる。
メオはラファ兄を父親だと思ってるんだろうな……。
「それに、ママに似た女の子がいいなぁ……。いっぱいかわいいっていうの」
「メオくんやラファ様に似ていても、可愛いと思うのだけれど……」
「ううん! ママに似ててほしいの! だって、ママ可愛いもん!」
「うーん、俺も那智に似た女の子がいいなぁ……」
嫁ラブの会メンバーだけに、ラファ兄はデレデレである。
まぁ、自分そっくりのメオもいるし、愛妻そっくりの娘が欲しいと思っているのかもしれない。
俺も可愛い妹である那智そっくりの姪も楽しみである。
「はい、メオ。ジュース」
少し離れて、幼馴染たちとお話ししていた千夏がコップを持ってきてくれた。
うん、よくできた息子である。
「ありがとごじゃます。ちなにい」
「うん、お母さんがお菓子持ってくるって。なっちゃんもゆず茶飲むでしょ?」
「ありがとう、千夏ちゃん」
那智とうちの奥さんは歳の離れた姉妹。
千夏は那智のことをなっちゃん呼びなのも、小さい頃からである。
メオは、ラファ兄にサポートしてもらいつつ、心配性の月姉が持ってきた膝掛けを母の膝にかけたりしている。
仲良しの親子にほっこりとする。
この間まで、ラファ兄の実家であるレイズ・マルムスティーン邸本館に滞在していたのだが、最近はラファ兄の家……というかラファ兄の部屋を置いている別棟で過ごすことが増えたそうだ。
ちなみに本館別館と言っても、本来はラファ兄の今住む棟が元々は本館だったらしい。
先代……現在は隠居してカズール領の別荘で悠々自適の生活を送っているラファ兄のおじいさまに当たる方が、元々すんでいたそうだが、その長男であるウィリアム卿が自分の趣味全振りのものを集めに集め、最愛の奥方のための部屋を用意するためだけに作った別棟を離れたくないからという理由で、父親が譲るという旧本邸を息子のどちらか……長男のラファ兄と次男のリー(本名はリーダイル)に譲るといったのだが、リーは、
「俺、そんなのいらね~。仕事するし、滅多に戻ってこねーもん。権利も主張しないから、全部兄貴にやる」
と言い、困惑するラファ兄に、
「まぁ、時々帰省したら客室でいいから寝るとこだけ貸してくんね?」
「他にも必要なものあるだろ?」
「うーん? あるか? ないだろ?」
という感じだったようだ。
その後、リーが本格的に継承権放棄や財産も放棄する手続きをしようとしたのに父親と兄は慌てて、最低限の財産や何かあったときの屋敷の権利、爵位などは手続きを行ったらしい。
一応、リーがいらないというものの、リーには妻子である妻の星蘭と次男がいて、その妻子にも権利があるのだから放棄させてはいけないのだと特にラファ兄は言い聞かせたようだ。
まぁ、ラファ兄の妻である那智とリーの妻の星蘭は姉妹である。
姉妹で義理とはいえ兄弟に嫁いでいるのだから、きちんとしておきたいと思ったらしい。
ラファ兄は、リーにあれこれ言うよりもほぼ最後まで黙ったまま手続きをすすめておいたようだ。
そして、最終的に手続きが終わったことをリーにではなく、星蘭の両親や姉である日向夏の夫の俺に伝えてきた。
月姉の夫であるバカなエルドヴァーンに書類一つ送らなかったのは、面倒臭かったからだそうだ。
月姉は時々帰省するし、何かあったらうちに来るので伝えておいてくれと言っていたラファ兄の細やかな心遣いには頭が下がる。
一応確認すると、なんだかんだ言いながら鉱山だの高級住宅地の土地や、親族経営の店舗の権利、株や債券などもあるらしかった。
一緒に星蘭の財産の管理も行なっていることや、メオの財産は別にあることも記載されていて、さすが世界でもトップクラスの金持ち一族の御曹司だと感心したのだが、ラファ兄に、
「お前もそう変わらない財産があるだろ」
と突っ込まれた。
いや、俺はない。
まぁ、あったとしてもデザイン関係のものや、兄貴がほぼ興味のない部分だけ。
まぁ、兄貴は実務的な資料が欲しいと言い、兄貴の言う雑務……細々しいもの、芸術系のものは俺が引き継ぐ羽目になっている。
親父が歴史資料の修復や発掘品のレプリカ作成の技術を俺に教えてきたのもそれかららしい。
まぁ、義姉さんが服飾系のプロだけに古い服飾系の修復は手伝ってくれるので助かっている。
「パパ。大丈夫?」
色々考えていたら風深に心配された。
いや、疲れていないとも……疲れているのは酔っぱらいのじいさまを宥めつつ、いつ女装を解消できるか考えている幸矢兄だろう。
まぁ、久しぶりに一族総出で過ごすのもいい。
俺たちは髪の色が違おうと瞳の色が違おうと、言葉が、姓が変わろうとも、家族で兄弟である。
それはきっと変わらない。
いつか死が俺たちを分けようとも、どこかに旅立ったとしても思いが重なる時があればいいのだ。
だから……元気でいろ。
愚かな元兄妹だったアイツ……の本質が変わらなくても、元は一緒に母のお腹の中で育った存在……。
許したくないのは本心……でも許したいと思うのもこれも本心……。
それは情けないけど俺の弱さなのかもしれない。
「なにしてんだ? ちぃ。ちょっと上を広げてくれ、できたから持ってきた」
「あ、兄貴。久しぶり! ……また何作ってたんだ?」
なぜかグランディアのエプロンをつけた兄が、大きめの皿をテーブルに置き、乱暴に三角巾を外しながら俺の隣に座る。
「魚を捌いてた。川魚は臭みがあるというが、エッシェンドルフ領の魚はとても身が美しいし、新鮮でいいものだったぞ。刺身でもいいと思ったので、寄生虫を確認して、いなかったから作っておいた。食べてみろ」
「……時々思うが、兄貴は料理人になっても良かったんじゃないか?」
「……負けず嫌いな自分が憎い……うちの嫁に掌の上で転がされているようだ」
「……言えてるかも」
暴走気質の兄嫁はよく爆弾のように何かを口にする。
「ねえねえ。~って見たよ~」
という程度だが、勝負されているわけではないというのに、兄は、なぜか、
「勝負か! 受けて立ったらぁ!」
というように奮起し、練習してできるようになるらしい。
いいコンビだ。
庭で遊び回っているのは兄貴の孫たち。
うん、俺より18も上の兄貴にはもうすでに孫がいる。
走り回る孫が飛び込んできたのを易々と受け止めている。
「じいちゃん!」
「なんだ?」
「かけっこ勝った!」
「すごいじゃないか! じゃぁ、じいちゃんの作ったご飯食べるか?」
食べさせる姿は様になっている。
「……そっか、兄貴もじいちゃんなのか……」
「何を当たり前な……父さんが忙しいし、母さんは療養してた時は、俺がお前たちをおんぶにだっこ、両手に引いて歩いてたんだからな」
「まぁ、いつもお世話になってます」
「ふふ……それが楽しかったからな。最初はずっと寝ててふにゃふにゃ言ってたのに、段々目をぱっちりさせて起きてる時間ができて、いつのまにかこんなになるんだもんな~。身長抜かれた時はショックだった!」
「あー、落ち込んでる兄貴見た時どうしようと思った」
苦笑する。
いつのまにか伸びていたし、あの時には動揺した。
そうすると、師匠が放った言葉に兄貴は絶句してくれた。
「でも、シエラおじさんに、『あぁぁ~急激な成長って成長痛がキツいし、夜寝てると痛いらしいよ。ついでにデカくなると体のバランスが崩れるから、今までやってた訓練の見直しもしなくちゃ。ちぃって痩せてるから速い動きの剣を教えてきたけど、今度から軸のブレに注意した剣を教えなくちゃ』って言われた時、大変だと思った」
「兄貴が忙しいのに、時々差し入れだって送ってくれる食事が美味しかった」
「それくらいしかできないしな」
「それくらいじゃないだろ? 兄貴や父さんたちやふぅちゃん、家族がいるから俺は生まれて、大きくなって結婚して、子供が産まれて……生きてる。感謝だよ。まぁ、これから歳とって兄貴みたいにじいちゃんになって……っていうのも楽しみだけどな。ん? 風深……寝てたのか」
腕の中で重くなった次男を抱き直し、笑いかける。
膝掛けはかけておいたから、大丈夫だろうと思いつつテーブルの上の料理に手を伸ばす。
今日はゆっくり過ごそう……家族とこの幻想的な桜の花吹雪の中で……。
本当はほぼ2年前に出来上がっていましたが、周辺の状況も鑑みて非公開としていました。
桜の時期ですのでところどころ修正して、公開させていただきます。
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