わたくしは親も兄弟もおりません!自由にさせていただきます!……はぁぁ?今更何をおっしゃいますの?

刹那玻璃

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その後……辺境の医術師の話と《蘇芳プロジェクト》

番外編……乳母のノエルの夫

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 ルナリアの乳母で現在は彩映の侍女のノエル。
 そして、他に数人の侍女、メイドはそのまま仕えているのだが、最近、ミルと遊ぶようになった。
 ミルとはノエルの子供で、そしてルナリアの乳姉妹。
 でも、かなりサバサバしたキップのいい姉御肌で、その上、かなり快活……ついでに脳筋に近い少年らしい少年……のような少女だった。
 この二人の紹介をしたが、今日はその二人の夫から始まるお話。


 ノエルの夫のケイティは見た目強面なのだが結構少女趣味で、ミルをなんとか可愛らしく育てようとあの手この手を尽くしたのだが……。

「なんで、うちの子はこんなに乱暴者に……小さい頃からリボンも人形も嫌だ嫌だっていうんですよ! スカートは絶対に履きたくないっていうし! それに比べて彩映姫の可愛いこと……最近のツインテールにしているけれど、本当によくお似合いです! 歩くたびにクルンクルンはねて、嬉しそうだ」
「だろう? うちの子可愛い! でも、ケイティの娘のミルも可愛いだろ? 昔は髪を伸ばしたくないって言ってたのに、最近は伸ばしてポニーテールにしてる」

 千夜はルナリアが誕生前から側近となり、その後、少々こだわりの強いオタク気質の自分のデザインを認めてくれ、それとなく修正までするケイティにお茶のカップを差し出した。

「あ、あれは、髪の毛をそのままにするとミルが気になってうるさいから切りたくなるみたいで、姫がそれなら高いところに結んでしまえばいいって。『ミルちゃんの髪綺麗ね! 真っ直ぐで綺麗でいいなぁ。彩映は、ぷわんぷわんしてるのよ。あ、ミルちゃんの髪、彩映が結んであげる!』って、リボンも色違いとか選んでくださったみたいです。今日のリボンもお揃いですよ」
「うちの子、結構ふわふわの髪気になってるみたいだ。それに目の色も淡い色だからなぁ……」
「でも、髪や瞳の色はシュウさまに似たんでしょう。隔世遺伝って普通ですもんね。それにお顔はどこから見てもリヴィさまだし」

 ちなみにリヴィというのは千夜の母の瑞波のこと。
 瑞波という発音がシェールドの人間には発音が難しいらしく、リヴィエールと言う名を公的に用いており、それを縮めてリヴィと呼ばれているのだ。

「うん、母に似てる……日向夏はものすごく嬉しそうで……『うちの娘、ものすっごく可愛いの! でも、ちょっとちぃの考える服が凝りすぎるから、今度ラファくんに相談しようと思うわ! 元々可愛い子なのよ! なのに、デレデレドロドロ可愛い服より、ちょっと清楚系にして靴下に可愛いものをつけるとか小物に凝るのもいいじゃない? 今度月歩と考えちゃうの!』だって。日向夏、彩映の小さい頃から可愛い可愛いって言ってて……まぁ、アレのせいで会えなかったというか、アレに会いたくなかったからだけど」
「まぁなぁ……姫って生まれ間違ってるよなって思ってた。あ、ちぃの双子の姉上の二葉さま……だよな? あの方にお会いしたときはギョッとしたけど……姫成長したらこんなふうになるんだとか思った」
「あぁ、ふぅちゃんにそっくりだろ? 最近レクと一緒に遊びに来たときは、彩映と3人親子みたいで嫉妬した~」
「レクも姫大好きだもんな……」

 ケイティはため息をつく。ちぃもそうだが、ケイティの周りは愛情過多が多い。


 まぁ、最初緊急に異動を命ぜられ、そのため忙しく、一人っ子で兄弟もおらず、子育てに慣れていなかったケイティだが、つくことになった千夜がかなりの子煩悩で、息子の千夏を時間を見つけては遊ばせ、そして忙しいはずなのにケイティに、

「ケイティ、君の嫁さんのところにこれ持って行って。で、返事もらえるまで帰ってこなくていいよ」

と手紙を押しつけ……お菓子や何か食べ物も持っていくようにいうこともあった。
 後で聞くと、乳の出が良くなる食べ物だったり、疲労回復の飲み物やお菓子。
 そして【お疲れ様、いつもありがとう】という小さなメモや、ケイティが忙しいのを謝罪する文言が書いてあったりしていたという。
 どんだけ気遣いしているんだと呆れるほどだったりする。
 呆れつつも、荷物を持って行くと元気いっぱいのミルもいたし、その横でくぅくぅ眠る小さなお姫様もいた。
 乳母でもある妻やその同僚たちと話しつつ、赤ん坊を抱かせてもらったり、時々は女性には無理な荷物を代わりに運んだりと手伝っていると赤ん坊にも慣れ、疲れて眠る妻の代わりにミルを抱っこして散歩に行ったり、夜のミルクは担当できるようになった。
 今更思えば千夜のおかげかもしれない。

「本当、一つだけ言っとくが、姫が可愛いからってあんまりあれダメ、これダメって言うなよ? まぁ、危険なことには晒さないように俺たちを含め周囲が見てるんだから、ある程度離れて見守ってやれ、幾ら身体が弱いって言っても、心根は真っ直ぐだし、賢くて優しく慈悲深い……まぁ、お前はちょっと離れるべきだ。特に千夏坊ちゃんはもうそろそろ自立心が強くなる。嫌いだって言われる前に一歩でいいから引くのを覚えろよ」
「それができるならやってる……」

 自分が過干渉すぎる父親だと十分理解している千夜は項垂れる。
 もっと大らかに見守る父になりたいもんだと思っているが、この性格は治らない……。
 父親の苦悩が去るのはきっと子供の独立を見守って……いや死ぬまで無理かもと思う千夜だった。

 悩む千夜を尻目に、ケイティは自分の娘と彩映に両腕を温める円筒形のマフを買いに行こうと思うのだった。
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