君との距離は2年分

天蓋花

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―次はどこへ?―

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 (うー、どうしよう。あっつい...)
 火照った顔をパタパタと手で仰ぎながら春樹は日野達の待つベンチへ向かう。
 顔の熱さが引けない春樹はさっきの出来事をついつい思い返していた。
 撫でられた頭にそっと自分の手を置く。先輩の手、大きかったなぁ...なんて思っていると急に羞恥に襲われた。
(うがー!余計熱くなるよこれじゃ!...そうだ!はっ、早く2人のところに行かないと。)
 余計な思考を振り切り、春樹は遠目に見える2人の元へ走って行った。


「――いやー、確かにそれは...あっ!春樹、こっちだぞ~」
「おっせぇぞー!早く来いよー!」
 2人がこちらを発見し叫んでいる。こいつらには恥も外聞も無いのか。
「っはぁ、はぁ...ごめん遅くなった!」
「全然大丈夫だよ~。ほら篠田も早く食べな!...どれどれ、お目当てのもんは買えたのか?」
「まぁ...いろいろあったけど、一応手に入れたよ。」
 そう言って春樹はおにぎりの封を開けてかぶりついた。
「ようやくそのおにぎり買えたのか!お前いっつも運悪かったから今回も買えないんじゃないかって少し心配だったんだけどなー。」
「なんでちょっと残念そうなんだよ笑。じゃあ篠田が食ったらテニス部に行くからな~!」
 僕は急いでおにぎりをほうばった。途中で喉に引っ掛けたけど何とか事なきを得た。...危なかった。


「――本当ですか!?是非!お願いします!」
 今3人はテニスコートでテニス部の副部長から特に日野が勧誘されていた。その副部長の勧誘の結果、どうやら日野は今これからテニス部に混じって練習して行くらしい。
「なぁ~、俺、こっちの練習に混ざってきてもいいか?」
「あぁ、全然良いぜー!日野がやりたいんならやって来いよ!やりたがってたもんな。」
「日野良かったな!こっちの事は気にしなくていいから楽しんでね。感想期待してるー!」
「ははっ笑、ありがとな。じゃあ6時に校門集合でどうだ?先に帰るんならメールしといて~。」
 そう言うと、日野はコートへ走って行った。

「さて、次は文化部だな。どっから回るか...」
「文化部ってサークル含めかなりの数あるよね...どうやって絞ろうか。」
 全部回ってたら日が暮れちゃうよね...しかも文化部は終わってしまう時間が早いから今日中には回りきれない。
「...篠田は、好きな事とかないのか?それに合わせて部活選べば良いじゃんか!やべっ俺天才じゃね?」
「確かに!でも読書部みたいなのってあるの?僕あんまり聞いた事ないんだけど...」
 すると相澤はポケットからくしゃくしゃになった紙を取り出した。 
「えっ?相澤それ何?」
「あぁ、これか?部活やサークルの名前が全部載ってるんだよこれ。便利だろ?」
 それがあるなら最初から見せてくれ。
 相澤と僕は文化部の欄を上から順に読んでいく。
「...へー!オカ研とか漫研あるんだな!...あ?デジャ部って何だよ...。おっ!おいこれじゃね?」
「えっ...あ!ほんとだ『読書同好会』?凄い!ほんとにこんなのあるんだ。」
「じゃあ行ってみようぜ!」

 2人はくしゃくしゃの紙に書いてある構内図を元に部室へと向かった。
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