稀代の魔法使いと魔法が使えない唯一の弟子~引きこもり魔法使いが術を失敗して~

笠岡もこ/もこも

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― 引き篭り師弟の日常 ―

引き篭り師弟と、異世界人を取り巻く状況2

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「ししょー、ありがと。私、大丈夫」
「だが、アニム――」
「それに、折角皆でご飯作った。楽しく食べたい」

 へらりと笑いかけると、眉を垂らし困り顔になった師匠。
 ややあって、空いた手で髪をがしがしと掻いた。かっ可愛い! さっきまでとは別人だ。うん、私はこっちの師匠が好き。
 それに不謹慎かもしれないが、私のために怒ってくれたというのがとても嬉しかった。
 
「へへっ。ししょー、私のため怒った。ちょっと嬉しい。役得?」
「役得の使いどころが間違ってるっつーの」

 師匠、微かに目元が赤い。

「細かいこと、気にしない。それに、続き聞きたい」

 私、きちんと聞いておきたい。
 自分の身体、ひいては今度の行動に関わってくる内容だ。きちんと最後まで教えて貰いたい。
目を合わせたラスターさんは、ひとつ頷いてくれた。

「今のアニムちゃんは、際どい繋がりで、この世界に生きている訳よ。とは言え、この水晶の森では普通に生活出来ているわよね」
「はいです」
「それは、『此処』がとんでもなく澄んで上質な魔法で溢れているというのもあるけれど、一番重要なのはウィータの『魔力』で、それらが作られているという点なのよ」

 それは初耳かもしれない。師匠の魔力っていうのは、どういう意味なのか。
 おふたりには自称天才って言われちゃっている師匠だけど、素人目には本当の天才に見える。師匠の他に、それだけのレベルの方がいらっしゃらないという意味とか?

「アニムちゃんは、ウィータが失敗した召喚術で異世界に来てしまった。その途中、アニムちゃんの魂と肉体は、ウィータの魔力と深く繋がったの。融合、とまではいかなくても、ほとんど同じだと考えても良いわ。ウィータの魔力によって、アニムちゃんの肉体は異世界の環境でも保っていられるの」
「確かに、不思議思ってました。人間、抗体ない病原出会った時、病気なる。私の世界、魔法ないです。でも、私、前と同じく全く元気。魔法、そういう反撥や感染、ないのかな、考えてました」

 全然詳しくはありませんけど。漫画や小説など読んでいて、考えたことがある。今まで触れたことがない『魔法』というモノへ、肌や神経が拒否反応を起こすことってないのかなって。遺伝子に組み込まれていない、情報。それに遭遇した際、体は拒否反応を起こさないのか。まぁ、遺伝子の仕組みとか全くわからないけれど。
 あれ、皆さんちょっと驚いた顔をしているぞ。

「まぁ、魔法が病原菌と同じかは別にして」

 病原菌の存在が知られているなんて、この世界の医療技術って、結構進んでいるか。私が大学の講義で習った歴史を思い出すと、元の世界では大分現代に近かった記憶がある。

「良い線は、いってるかもな」
「しっししょーが、まっすぐ、誉めてくれた! 料理以外で!」

ふんわりと微笑を浮かべた師匠のせいで、ついついおちゃらけてしまう。

「ほぅほぅ。アニムは余程あほ弟子呼ばわりが好きらしいな」

 ぐいぐいと頬を横に引っ張ってくる師匠。笑ってるけど青筋浮かんでいるよ!
 うれしくないけど、うれしい。なんてのは、やっぱり変なのかなぁ。
 こほんという、ラスターさんの咳払いが落ちた。

「だから、ウィータの魔力に体内・体外から守られてる訳よ。そこに他人の魔力が触れると、今保たれてるバランスに亀裂が入って、おじゃんってね。外界に出るよりは直接的というか、即効的な被害はないだろうけれど」

 おじゃんのところで、ラスターさん、クラッカーを噛み砕いた。
 おぉう。だから、皆さん、師匠に対抗しないでくれていたんだね。ありがたい!
 今度、師匠がキレたら加勢しよう。スカート捲りしない人限定で。

「大丈夫なのですよ、アニム。魔力は宿っていませんが、感知能力はちびっとですが、芽生えているのですよ」
「そうそう。さっき、あたしがアニムちゃんを見て脅迫めいたこと言った時、あたしの瞳の奧に、何か見えたでしょ?」

 さっきの様子を思い出すと、薄氷《はくひょう》を踏んだような錯覚があった。
 ぶるりと鳥肌が立つ。

「おい、ラスター。いや、『ラス』。オレの――弟子に干渉するなんて、いい度胸だな」

 師匠がイラっと目を細め、ラスターさんを睨みつける。
 ラスって、ラスターさんの愛称でしょうか。てか、殺意?!
 ついでに。師匠は忘れろと言わんばかりに、私の頭を掴んで左右に揺らしてきたよ。船酔いみたいになるので、止めて頂きたい。
 でも、ラスターさんは怖がることもなく、両腕を摩りくねくねしている。

「あん、ウィータ。視線が艷めいているけど、二人っきりになってからにして頂戴。アニムちゃん、怖がらせてごめんなさいね。実は、幻覚を引き起こす特殊能力を使ったの。あっ、魔力ではないから、安心して。まぁ、ホーラが言ったように、感知能力が芽生えてるって証拠で良いことじゃない」
「私……」

 喜びが湧き上がる一方、少し複雑な気分にもなる。
 だって、私の存在が異世界に馴染んできているっていうことは、元の世界から離れていっているという意味にも取れる。
 私の中にある違和感が芽を出す。

「私《アニム》、は――」

 そうだ。私《アニム>は、悲観的になってない。
 何か忘れているような。覚えていなきゃいけない記憶を押し込めているような……師匠の召喚術に引っ掛かった、あの時のこと。
 思い出さなきゃ。思い出さなきゃ。ずっと続くと思ってた日常に割り込んできた、あの日の出来事を――。

「――っ!」

 ずくんと血管が跳ねるように痛んだ頭。スカートを掴む指に、力が入っていく。

「アニム、大丈夫だ」

 目の前に、柚子が乗ったふろふき大根が現れた。どあっぷで。食べ物で慰めようとしていますね、師匠。
 でも、そう。この場で考え込んでも仕方がない。空気が重くなるだけだ。
 ぱくんと大根(もどき)と柚子(もどき)を頬張ると。爽やかな香りが口いっぱいに広がっていった。

「能力ついた、嬉しいです。でも、魔力つきません。良い方法、ないですか?」
「そうねーアニムちゃんの場合、根本的な問題がねぇ。意志がねぇ」
「え? すみませんです、聞こえなかったです」

 ラスターさんの言葉。本当は聞こえていた。ただ、根本的が指し示す意味に検討がなくて……。

「てやっ!」

 ホーラさんが飛ばした豆が、ラスターさんの頬にぶつかった。茹でて柔らかくなってるとはいえ、地味に痛そう。あっ、ちょっと赤くなってる。

「ほら、あれよよ。アニムちゃんの中にあるウィータの魔力が、もっと強まって、それを自分のモノにしちゃうとか」

 師匠の魔力なら、相当凄い魔法が使えるようになりそうだ。しかも、楽して。一石二鳥! そんな素晴らしい方法があるなら、今すぐにでも教えて欲しい。
 でも、師匠は頬杖をついて、小馬鹿にしたような笑い声をあげた。虫を追い払うように手を振っている。

「そんな都合の良い方法があるわけねぇよ。よしんばあったとしても、オレの魔力を使役するには、アニムの器がもろすぎるだろうが」
「鍛える! 私、むきむきなる!」

 横にいる師匠側に身を乗り出して、力説だ。師匠の口は、ひくついちゃったけど。どうせまた的外れなこといいやがって、とか考えているんだろうね。

「アニム、頭が残念な子なのですよ」

 実際、ホーラさんに突っ込まれてしまった。ホーラさん、ひどい。赤っぽい珊瑚色《さんごいろ》ツインテールを揺らして笑う姿は、悶えるほど愛らしいのに、言ってることは憎たらしい。

「あら、あたしは方法を知っているわよ」
「教えてください! ラスターさん! ししょー!」

 ラスターさん、博識! 
 即座に反応して腕を勢い良く挙げる。今の私は、授業参観で当てられるのを待っている生徒みたいに、全身がきらきら輝いていると思う。

「あほ弟子が! お前の本当の師匠はだれだ」
「うぇ? 先生、言うべきでしたか。私の、ししょーは、ししょーだけだよ?」

 うん。師匠は師匠だけだ。きゅっと袖を握って顔を覗き込むと、ほんのりと染まっていった師匠の目元。
 もっもしかして、師匠ってば、他の人を師匠呼ばわりに拗ねてる?

「ん、ならいい」
「えへ、へ。ししょー」
「あらららー師匠で、満足なのぉ?」

 にこにこと笑っていたラスターさんの口の端が、くいっとあがっていく。都市伝説の口裂け女を連想する上がり様だ。細い指が艶かしく唇を滑り、ぺろりと自分の指先を舐めあげた。
 女王様とひれ伏したくなるお姿だ。私に、そういう趣味はないけどね!

「あー、もしかして、あれなのですか? この間、東方の国に行って、教えて貰った」

 大爆笑寸前のホーラさんは後ろを向いてしまっているし、師匠は立ち上がって金魚さながらに口をぱくぱくしている。はて。

「まてまてまて。つーか、黙れ!」

 机に片膝を乗せてラスターさんに手を伸ばした師匠。いつの間にか、ラスターさんは1メートルほど離れた場所で、あっかんべーをしている。

「ししょー邪魔しない。私、知りたい。私の故郷、元の世界でも東方。文化似てたら、出来るかも」

 ラスターさんを追いかけようとした師匠の腰に必死でしがみついて、阻止を試みる。ソファーに膝立ちだ。ラスターさんくらい、巨乳だったら精神的攻撃も出来たのにと、ちょっと悲しくなったけど。

「アニム、離れろ!」

 おぉ? 
 一応、効果はあったようだ。師匠の動きが止まった。胸以外の部分が重しになったみたい。チャンスを逃すまいと、より一層強く抱きついてやる。

「ラスターさん、今のうち!」
「東方には素晴らしい方法があるのよ! 陰丹術といってね、陰陽の精をひとつにして万物が生まれるって言われているんだって」
「なるほど、です」

 やっぱり、元の世界と似ている。
陰陽五行。小説や映画で基本部分は知っているし、京都旅行の際は某陰陽師様の神社にもお参りに行った。

「動けないなら、魔法をぶっ放すまでだ」

 強く頷いた揺れで正気に戻ったのか。師匠が腕を前に伸ばした。
ラスターさんの危機だ。スカート捲りされた恨みはあるが、今は話を聞きたい気持ちが最優先。

「こちょこちょ作戦です」
「うわっ! アニム、ちょい、まっ」

 師匠は腰が弱い。くすぐってやると、高い笑い声をあげて身をよじった。ぐっじょぶ、自分!
 ラスターさんと、ぐっと親指を立て合う。ラスターさんがミュージカルのように、胸に手を当て、高々と天井を仰ぎ見た。まるでスポットライトを浴びている旬の女優さんの如く、美しいお姿じゃないか。スリットを割って出ている美脚に、目がいくよ。

「その方法はねっ――」
「ちっ!」

 魔法は諦めたのか。師匠がくるりと回転し、耳を塞いできた。
 音が遮られて掠れた声しか聞こえないよ。眼前には、綺麗な笑顔の師匠。ひぇ。間違いなく、怒ってる。

「ウィータ、まるで嫌がるアニムに接吻を迫っている悪徳師匠の図みたいなのですよ」
「うっせぇ! これ以上抵抗するなら、本当に口づけして思考奪ってやるぞ!」
「わぉ、ウィータってば、情熱的なのですよ」

 なんか、凄い会話がうっすらと聞こえてくる。いっそのことキス待ちのポーズでもすれば、師匠も怯むかもしれないな。
 ダメだ。それ以上に私が恥ずかしさに耐えられない。されるなら二人っきりの時が……って、違う違う! そういう問題じゃないし!

「筋肉……ぐぎ、神様!」

 なんとか師匠の手を剥ごうと引っ張ってみるけど、そこは男女の差。全く動かない。筋肉の神様、今こそ力を貸してください!

「でっ!」

 一瞬、師匠の力が緩んだ。
 残念ながら、筋肉神様に願いが通じたのではなさそうだ。ホーラさんが万年筆を投げたみたい。師匠の頭で跳ねた万年筆が、床を転がっている。

「いてぇじゃないか」

 完全に引きはがすまでは気が抜けません!
 師匠ってば年寄りの癖に、力があるなぁ。先程師匠と渡り合っていたラスターさん、凄く怪力さんなのかも。
と、すっと軽く耳の外側を、師匠の指先が滑っていきました。

「――っん」

 ぞくりと、全身に電気が走った感覚。反射的に閉じられる瞼。首が反対側に傾く。力が抜けていきます。今がチャンスなのにとか、考えることも不可能。
 身体の芯からくるような痺れに、くらくらしてしまう。

「なっ!」

 数秒後。
 詰まった声と、羽ばたいた鳥の姿を連想させる音が聞こえた。
 目を開くと、袖で口元を隠し、耳まで染めた師匠が仁王立ちしていた。

「あ、う」

 もしかして。私が感じた痺れって――。
 言い訳をしようと口を開きますが、言葉が出るより早く、ラスターさんの声が部屋中に響きわたった。

「ちょっと、ちょっとー! 二人ともどうしたのー」
「うっせぇ!」

 師匠が面白いポーズで上半身だけ振り向く。がに股で。
 っていうか、ラスターさんのにやついた笑顔。絶対、雰囲気で察してるよね⁈

「まぁ、ちょうど良いわ。アニムちゃん」
「へっ?」
「方法はね、男女が『まぐわえば』イイのよ。つーまーり、男女の夜の営み、身体を重ねあうってこと! そうすれば、元々アニムちゃんの中にある、ウィータの魔力も高まって、やがて一つにぶっ」

 ラスターさんが言い終わらないうちに、師匠がラスターさんの頬を片手で握っていた。ラスターさんの美人っぷりが、見事に崩壊だ。あひる口を通り越して、たこだよ。

「恥ずかしがること、ぶほ、ないじゃないの。ウィータだっで、願ったり、ぶふ、叶ったり、って! ででっいだい!」

 ラスターさん、言葉の形を成していない。痛いことだけは、理解出来るけど。

「えと、その」

 さっき出てしまった声も相まって、全身が燃え上がるように熱くなっていく。特に目の奧が焼けるように、熱い。
 耳を押さえると、感覚が蘇って、余計に恥ずかしさが増していく。

「ウィータの運動不足も解消されて、まさに、一石二鳥なのですよー腹筋割れ、カニ腹ーなのです」

 空気だったホーラさんが、爆弾を投げてくださいましたよ。舌舐りしながら樽の栓を開けようとしているホーラさん。フォローしてくれる気は、全くないようだ。

「ホーラ、助けてちょうだ、いっ!」
「関わるのは面倒くさいので、そっちで続けて下さいなのです」

 ホーラさん。助けを求めたラスターさんに、満面の笑みを返して、今度はビールっぽいお酒に手を付け始めた。清々しい。
 私も現実逃避に参加したい。ソファーに腰掛け直し、食べ物を物色する。何から食べようかな。食べる、食べ……。
 だめだめ、と思い切り頭を振って、言葉を振り払う。ラスターさんが言っていた『食べるたい』発言を思い出してしまった。
 私が一人恥ずかしさで悶えている間に、ラスターさんが師匠を突き飛ばしていた。

「ウィータが嫌なら、あたしがアニムちゃんとするわ。手縛り足開きで優しく、時には激しく濃厚に、教えてあ・げ・るぅ。想像するだけでも、あっ、感じちゃう」
「えぇ⁈」
「あぁん、もう! 首まで染めちゃって可愛んだから。ほんとに、食べちゃいたいわ」

 私の下ネタスキルの限界を超えすぎている。
 あぁ、澄ました仕草をつけて、軽やかに受け流す大人女子力が欲しい。

「わっ私、食べても美味しくないです! ホーラさんのが、柔らかそう!」

 申し訳ないと思いつつ、ホーラさんを巻き込む。
 ホーラさんは、神妙な顔つきで数回頷いた。頼もしい!

「それを言うなら、手取り足取りなのです。行き成り趣味の濃さを出しては、どん引きされるだけなのですよ?」

 違う。ホーラさん、激しく違う。私が求めた助けは、そんな突っ込みではないのですよ。
ホーラさんは仕事を終えたサラリーマン顔負けの輝かしい笑顔で、汗を拭く真似をした。
 くらりと世界が回る。そうだ、師匠。こんな時こそ、師匠だ。

「ししょー?」

 腕を組んで、下を向いてぷるぷる震えているけれど、大丈夫かな。

「あっ、あの、ししょー?」
「おい、ラスター!」

 師匠がラスターさんの纏め上げた髪を、握り潰した。口から湯気でも立ち上ってきそう。ドライアイス的な、何かが。

「遺言状は、用意してあるか」

 出た。師匠の悪役サイドっぽい決め台詞。顔が赤いので、いまいち迫力に欠けている。
 師匠の言葉で、若干余裕を取り戻した私。何故に遺言状だ。

「ウィータ、落ち着いて頂戴!」

 ラスターさんは、本気で怯えている。顔が真っ青だ。
なんか、引っこ抜かれるのに抵抗しているマンドラゴラみたい。すぽんて抜けた瞬間、絶望的な叫び声がこだましそう。

「爪、食い込んでるわよ! 遺言状って、だれ宛よ⁉ っていうか、あたし恋多き女だから、まる一週間は必要なのっ」
「うっせぇよ。金輪際《こんりんざい》、アニムを視界に入れるな! 想像した下劣な映像と一緒に――消えやがれっ!」

 その夜、ラスターさんの悲痛な雄叫びが、夜の森を騒がせた。ご近所さんがいなくて良かったと、今日ほど思ったことはない。
 でも、フィーニスとフィーネが文字通り飛び起きてしまった。ので、ラスターさんは、ぷんすこ頬を膨らませている子猫たちに必死に謝ることになってしまった。

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