【続】愛の奴隷にしてください。【R18】

仲村來夢

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問題児の誘惑1

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「坂根、遅いぞ!皆帰ったぞ」

「ごめんなさぁい」

「しかもジャージに着替えてこいって言っただろ、何で制服のまま来たんだ」

「えー…ジャージ忘れたんですぅ…」

「今日のことはわかってただろ、何で忘れるんだよ…」

「だってぇ…でも仕方ないじゃないですか、制服でもちゃんと出来ますっ」

坂根 恵菜。

俺の勤める高校の3年生。学年主任から問題児だと聞いていたが、噂通りだな…

遅刻や教師に申告なしの早退があまりにも多い生徒はペナルティとして夏休み1週間前の放課後、校内の清掃を生活指導より命じられる。それが今日だ。

坂根だけではなく、何人かそういう生徒はいたのだがこちらの指定した時間にちゃんと来て掃除を終えて帰った。

その後に来たのが坂根だ。どこにいたんだこいつは、授業が終わった後すぐに来ればいいだけの話じゃないか。まさか今学校に着いたのか?

集合時間から約1時間半遅れ。おかげで他の生徒も教師も帰った。いっそ俺も帰れば良かった。

昨日は参加したくもない教師陣との飲み会に強制参加させられて寝不足だって言うのに。早く帰って寝たいよ…

…本当に、舐められたもんだな。

俺だから余計か。

このペナルティは生活指導から命じられたものだが、その監督をしている俺は生活指導ではなく、ただのペーペーの教師だ。

なんならこの高校でどの教師よりも後輩だ。だからこの役回りだ。

くらっち!
なおき!

生徒たちは俺のことをこんな風に呼ぶ。

俺は倉下直輝だ、倉下先生って呼べよ!くらっちって何だよカバンかよ、下の名前で呼ぶな、お前は俺の彼女か!

そんな風につっこむのだが誰もその呼び方をやめない…

他の教師からは「倉下先生女子から大人気ですねぇ、愛されてますね」なんて言われる始末。いや、からかわれてるだけだよ…あんたらからも生徒に注意してくれよ…

全ては俺のこの容姿のせいなんだよな、きっと。

170センチという中途半端な身長に、生まれつき色素が薄くほぼ茶髪に近い黒髪。目はぱっちりしていて赤ん坊の頃は女の子に間違えられたこともある。

今年で27になる歳だが、童顔すぎてコンビニで酒を買おうとすると年齢確認されることもしばしばある始末。

もうちょっといかつい顔立ちとか、180センチ以上あったりとか体もごつければなぁ…

「せんせぇ?」

「はい!」

坂根に顔を覗き込まれて我に返った。

「どこ掃除すればいいですかぁ?階段掃除って聞いてたけど、なんかめっちゃ綺麗じゃないですか?」

そりゃ、お前が来る前に全員掃除したからな!

「階段掃除はもう必要ない。トイレ掃除だな」

「えぇ、やだぁ」

「やだじゃないだろ、お前が遅れてくるから悪いんだ」

「えー、恵菜そんなに遅かった?」

「集合時間1時間以上前だったぞ」

「あ!16時半ってそういう意味だったんですか!16時半以降なら何時に行ってもいいんだって思ってたぁ」

…どれだけルーズなんだ、というかバカなんだ…。生徒のことをそんな風に言ってはいけないけど、あまりにもバカ過ぎるぞ…

「はぁ、じゃせんせ、一緒にトイレ掃除よろしくね」

「俺は監督だ!」

***

「はぁ…あっついねー、せんせぇ…」

3年生のフロアは学校の一番上の階にあり、陽当たりが良くエアコンを付けている授業中も太陽の照りつけのせいで意味が無いくらい暑くなる日がある。今俺と坂根が掃除しているこのトイレにある窓にも西日が差し込んでいる。

「だからジャージで来いって言ったのに…」

「ジャージもけっこう暑くないですか?これ脱いでいいですかっ」

デッキブラシで掃除をしながら坂根が自身の着ているニットカーディガンを親指と人差し指でつまみながら言った。

何でこの暑いのに女子はこれを着ているのか。しかも3年の8割は未だにこれ着てるもんな…

もう7月だというのに。ただでさえ暑いのにそりゃそんな服着てたら脱ぎたくもなるだろう。

流行り、なんだろうな。そもそも坂根が着ているカーディガンは学校指定でもなんでもないしな。何なら首に巻いているリボンもうちの学校のものじゃないし…

制服は校内にいる限り、無個性だ。だからこそ学校指定のものじゃないアイテムを揃えて、それぞれ個性を出す。この時期にあえてカーディガンを着るのも個性だと、誰かが始めたのだろうけれど皆が皆そうなっているので結局個性が失われつつあるが…

「勝手に脱げよ…」

…あ、今の言い方まずかったかな。なんかセクハラだと思われたら嫌だな。

そもそも坂根の制服姿でトイレ掃除してるのがセクハラみたいなもんだけどな…

なんと言っても坂根の制服はスカート丈が短い。短すぎる。ちょっとかがんだりすればパンツが見えそうなのに、なにも気にせず掃除をしている。こっちがヒヤヒヤするので、あまり坂根の方を見ない様にしているのだが…

…坂根がパパ活している、というのは本当なんだろうか。

教師なら生徒のことをそんな色眼鏡で見たくはないけれど、この見た目、このルーズさを知るとそんな疑いが湧き出てしまう。

明るい茶髪のボブに前髪ぱっつん。色白な肌に大きな目。身長は俺より少し低いくらいか。足はすらっと長く、短いスカート丈に紺色のハイソックス。

高い声に舌っ足らずな喋り方はまだ高校生らしいあどけなさがあるものの、他の生徒よりも坂根の見た目は大人びている。

遅刻早退が多いのも夜な夜な遊び回って、パパ活してるから…などという噂が立ってしまっている。

「せんせ、カーディガンここ置いとくから落としちゃ嫌ですよぉ」

トイレの掃除用具入れの上に坂根がカーディガンを置いた。そんなに背伸びするな、お前自分のスカート丈わかってるのかよ…

「坂根お前なんだそのかっこ!!」

「え?だって暑いもんっ」

カーディガンの下は半袖のカッターシャツ。はいいのだが…リボンを外した坂根の胸元はとんでもなくだらしなくなっている。

シャツのボタンは第3ボタンまで開いていて、胸元が見えそうだ。

「お前なー…伊藤先生の前でそんなかっこしてたらめちゃくちゃ怒られるぞ」

「伊藤は生活指導じゃん。倉下先生は見逃してくれるでしょ?」

「いやいや…しかも髪色も校則違反だろ…それこそ髪色直してこいって伊藤先生に怒られただろ」

「黒染めしたけどすぐ落ちちゃいましたってごまかした!」

「ごまかせてないだろ絶対…夏休み前だからって浮かれすぎだぞ」

「もう、うるさいなぁ。伊藤みたいなこと言わないでよー!」

「うるさいってお前なぁ…」

「さぁ、気を取り直して掃除しよぉ!」

…舐められすぎだろ、俺…
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