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20. ポッキーゲーム
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バラエティ番組『キラキラ・バトル』の収録スタジオは、最高潮の盛り上がりを見せていた。
しかし、その中心にいる「KSR」の二人の表情は、およそバラエティとは思えないほどに深刻だった。クイズに敗北した奏多に課された罰ゲーム。
それは、対戦相手の後輩グループのメンバー、スイとの『ポッキーゲーム』。
「………リオくん、万が一、いや、億が一のことがあったら俺、あいつをどうしてやろうか」
セットの端で、颯真がリオの肩を掴み、小声で早口に囁く。その瞳は完全に据わっており、隠しきれない殺気が漏れている。
「……落ち着いてください、颯真さん。……大丈夫です。ただのゲームですし、テレビですよ? キスをするわけじゃない。奏多さんだって、その辺のさじ加減は分かってるはずですから……っ」
リオは自分に言い聞かせるように、震える拳を握りしめた。
動揺を押し殺し、努めて冷静なふりをしているが、額には嫌な汗が滲んでいる。よく見れば膝も笑っているように見える。
一方、ステージ中央。
「……え、あの、これ本当にやるの?」
戸惑う奏多の口に、一本のポッキーが咥えられた。対峙するスイも顔を真っ赤にしながら、その反対側に食らいつく。
「よーい、スタート!」
司会者の合図とともに、二人の距離が縮まっていく。
奏多は必死に目をつむり、ポッキーを噛み砕いていく。
あと数センチ。あと少しでどちらかが顔を背ける――はずだった。
「おっとぉ! 若い二人にはもっと景気よく行ってもらわないとね!」
司会者の悪ノリが炸裂した。
冗談半分、しかし確実な力強さで、司会者が二人の背中をグイッと押し込んだ。
――チュッ、という。
マイクが拾ってしまった微かな、けれど決定的な接触音。
スタジオ中が「キャーッ!」という悲鳴に近い歓声に包まれる中、奏多とスイは磁石が離れるように飛び退き、床に崩れ落ちた。
「………………」
リオは、その場に棒立ちになったまま固まった。
魂が口から抜け出したかのように、焦点の合わない瞳で虚空を見つめている。
完全なる放心状態。
「リオくん!? リオくん、しっかりしろ! 現実を見ろ、まだ収録中だぞ!」
今度は颯真が、今にも司会者に飛びかかりそうな理性を必死に抑え込み、崩れ落ちそうなリオの体を力任せに揺さぶる。
「……終わった。僕の人生、今、終わりました……」
「終わってない! 事故だ、あれは不可抗力だ! 奏多の唇は消毒すればいいだけだ、! 立て、リオくん! 奏多が、奏多が泣きそうな顔をしてるから!」
半狂乱の颯真に激しく揺さぶられ、リオの頭がガクガクと揺れる。
一方の奏多は、真っ赤になって唇を押さえ、助けを求めるような潤んだ瞳で二人の方を振り返った。
その瞬間、放心していたリオの瞳に一気に炎が灯り、颯真の背中からは黒いオーラが立ち昇った。
「「……司会者、許さない」」
二人の心の声が重なり、スタジオの気温が氷点下まで下がったことに、浮かれる司会者だけがまだ気づいていなかった。
しかし、その中心にいる「KSR」の二人の表情は、およそバラエティとは思えないほどに深刻だった。クイズに敗北した奏多に課された罰ゲーム。
それは、対戦相手の後輩グループのメンバー、スイとの『ポッキーゲーム』。
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セットの端で、颯真がリオの肩を掴み、小声で早口に囁く。その瞳は完全に据わっており、隠しきれない殺気が漏れている。
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一方、ステージ中央。
「……え、あの、これ本当にやるの?」
戸惑う奏多の口に、一本のポッキーが咥えられた。対峙するスイも顔を真っ赤にしながら、その反対側に食らいつく。
「よーい、スタート!」
司会者の合図とともに、二人の距離が縮まっていく。
奏多は必死に目をつむり、ポッキーを噛み砕いていく。
あと数センチ。あと少しでどちらかが顔を背ける――はずだった。
「おっとぉ! 若い二人にはもっと景気よく行ってもらわないとね!」
司会者の悪ノリが炸裂した。
冗談半分、しかし確実な力強さで、司会者が二人の背中をグイッと押し込んだ。
――チュッ、という。
マイクが拾ってしまった微かな、けれど決定的な接触音。
スタジオ中が「キャーッ!」という悲鳴に近い歓声に包まれる中、奏多とスイは磁石が離れるように飛び退き、床に崩れ落ちた。
「………………」
リオは、その場に棒立ちになったまま固まった。
魂が口から抜け出したかのように、焦点の合わない瞳で虚空を見つめている。
完全なる放心状態。
「リオくん!? リオくん、しっかりしろ! 現実を見ろ、まだ収録中だぞ!」
今度は颯真が、今にも司会者に飛びかかりそうな理性を必死に抑え込み、崩れ落ちそうなリオの体を力任せに揺さぶる。
「……終わった。僕の人生、今、終わりました……」
「終わってない! 事故だ、あれは不可抗力だ! 奏多の唇は消毒すればいいだけだ、! 立て、リオくん! 奏多が、奏多が泣きそうな顔をしてるから!」
半狂乱の颯真に激しく揺さぶられ、リオの頭がガクガクと揺れる。
一方の奏多は、真っ赤になって唇を押さえ、助けを求めるような潤んだ瞳で二人の方を振り返った。
その瞬間、放心していたリオの瞳に一気に炎が灯り、颯真の背中からは黒いオーラが立ち昇った。
「「……司会者、許さない」」
二人の心の声が重なり、スタジオの気温が氷点下まで下がったことに、浮かれる司会者だけがまだ気づいていなかった。
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