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44. ちくわぶのダイエット
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「このままじゃ『ちくわぶ』はただのデブ猫になる!」
颯真のその一言で、巨大化したちくわぶの「KSRスタジオ強制連行」が決定した。
広いダンススタジオなら、嫌でも動くだろうという颯真の目論見である。
「にゃ~お……(ここはどこだ)」
キャリーケースから這い出たちくわぶは、見たこともない広い空間に戸惑い、短い足でズリズリと周囲を探索し始めた。その後ろを、心配そうに奏多が追いかけ、さらに後ろからリオが猫用おもちゃを手に「ちくわぶ、ほら、獲物ですよ!」と必死に煽っている。
「いいか二人とも。奏多の怪我も治ったんだ、ちくわぶもここで運動させる。KSRは全員がベストコンディションでなきゃいけないから」
颯真が腕を組んで厳しい表情で言い放つ。だが、事件はちくわぶが壁一面に張られた巨大な鏡の前に立った時に起きた。
「……あ」
奏多が小さく声を上げる。
ちくわぶは、鏡に映った「巨大な毛玉」をじっと見つめていた。
最初は他の猫だと思ったのか、毛を逆立てようとしたが、あまりの肉に毛が逆立つのもままならない。
やがて、それが自分自身だと気づいたのか、ちくわぶは鏡の前で「……にゃん」と、かつて聞いたこともないような悲哀に満ちた声で鳴き、そのままガックリと床に突っ伏してしまった。
鏡を直視できず、顔を前足で隠して震えるちくわぶ。その姿は、先日の奏多の落ち込みっぷりと瓜二つだった。
「ち、ちくわぶがショックを受けてる……! 自分のデブさに気づいて、尊厳を失ってしまったんだ!」
奏多は慌てて駆け寄り、床に這いつくばってちくわぶを抱きしめた。
「大丈夫だよ、ちくわぶ。どんなに丸くても、君は世界一可愛いちくわぶだよ。……一緒に頑張ろうね」
奏多が優しく背中を撫で、頬を寄せると、ちくわぶは奏多の胸に顔を埋めて「うにゃぁ……」と甘えた声を出す。
その光景を横で見ていたリオと、たまたま陣中見舞いに来ていたセナの目が、同時に怪しく光った。
「(……奏多さんが、あんなに優しく、全身で抱きしめている……)」
「(……今の奏多さん、母性というか、包容力がカンストしてる……)」
二人は顔を見合わせ、無言で頷き合った。
「……颯真さん」
「……颯真さん」
二人が同時に、おどろおどろしい空気で颯真に詰め寄る。
「僕、明日から1日5食にします。3キロ、いや5キロは確実に増やしてきます」
「僕もです。僕、今日からマヨネーズを飲み物にします。奏多さんに『ぷよぷよしてて可愛いね』って抱きしめてもらえるなら、僕は喜んで力士になります!」
「お~い!! アイドルの自覚を持ちなさい!!」
颯真のハリセンが二人の頭に炸裂した。
結局、ちくわぶのダイエットのために、奏多がちくわぶを抱えてスタジオを歩き回り、その後ろを「羨ましい」という怨念を撒き散らしながらリオとセナがランニングし、それを見張る颯真の胃に穴が空きそうになるという、カオスなフィットネス時間が始まった。
ちくわぶは奏多の腕の中で、鏡を避けながら「にやり」と笑ったような気がした。
颯真のその一言で、巨大化したちくわぶの「KSRスタジオ強制連行」が決定した。
広いダンススタジオなら、嫌でも動くだろうという颯真の目論見である。
「にゃ~お……(ここはどこだ)」
キャリーケースから這い出たちくわぶは、見たこともない広い空間に戸惑い、短い足でズリズリと周囲を探索し始めた。その後ろを、心配そうに奏多が追いかけ、さらに後ろからリオが猫用おもちゃを手に「ちくわぶ、ほら、獲物ですよ!」と必死に煽っている。
「いいか二人とも。奏多の怪我も治ったんだ、ちくわぶもここで運動させる。KSRは全員がベストコンディションでなきゃいけないから」
颯真が腕を組んで厳しい表情で言い放つ。だが、事件はちくわぶが壁一面に張られた巨大な鏡の前に立った時に起きた。
「……あ」
奏多が小さく声を上げる。
ちくわぶは、鏡に映った「巨大な毛玉」をじっと見つめていた。
最初は他の猫だと思ったのか、毛を逆立てようとしたが、あまりの肉に毛が逆立つのもままならない。
やがて、それが自分自身だと気づいたのか、ちくわぶは鏡の前で「……にゃん」と、かつて聞いたこともないような悲哀に満ちた声で鳴き、そのままガックリと床に突っ伏してしまった。
鏡を直視できず、顔を前足で隠して震えるちくわぶ。その姿は、先日の奏多の落ち込みっぷりと瓜二つだった。
「ち、ちくわぶがショックを受けてる……! 自分のデブさに気づいて、尊厳を失ってしまったんだ!」
奏多は慌てて駆け寄り、床に這いつくばってちくわぶを抱きしめた。
「大丈夫だよ、ちくわぶ。どんなに丸くても、君は世界一可愛いちくわぶだよ。……一緒に頑張ろうね」
奏多が優しく背中を撫で、頬を寄せると、ちくわぶは奏多の胸に顔を埋めて「うにゃぁ……」と甘えた声を出す。
その光景を横で見ていたリオと、たまたま陣中見舞いに来ていたセナの目が、同時に怪しく光った。
「(……奏多さんが、あんなに優しく、全身で抱きしめている……)」
「(……今の奏多さん、母性というか、包容力がカンストしてる……)」
二人は顔を見合わせ、無言で頷き合った。
「……颯真さん」
「……颯真さん」
二人が同時に、おどろおどろしい空気で颯真に詰め寄る。
「僕、明日から1日5食にします。3キロ、いや5キロは確実に増やしてきます」
「僕もです。僕、今日からマヨネーズを飲み物にします。奏多さんに『ぷよぷよしてて可愛いね』って抱きしめてもらえるなら、僕は喜んで力士になります!」
「お~い!! アイドルの自覚を持ちなさい!!」
颯真のハリセンが二人の頭に炸裂した。
結局、ちくわぶのダイエットのために、奏多がちくわぶを抱えてスタジオを歩き回り、その後ろを「羨ましい」という怨念を撒き散らしながらリオとセナがランニングし、それを見張る颯真の胃に穴が空きそうになるという、カオスなフィットネス時間が始まった。
ちくわぶは奏多の腕の中で、鏡を避けながら「にやり」と笑ったような気がした。
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