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浪速区封鎖事件
扉の向こうには…
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少年はわけもわからず、布団の上で疲れた身体を休めていた。
熱っぽい体を熱気と湿気が残る部屋に置いた所で意味はない。それくらいなら少年でも分かったが、身体は言うことを聞いてくれないのだ。
「おい…どうするこいつ。」
何処から聞こえる声に耳を傾けても、それに反応することができないでいた。そもそも瞼が開いてくれない。
(ぼく…どうなったんだっけ…)
朧気な意識の中で闇に彷徨う。
「どうするって…アナタがやったんじゃないッ!!何度も何度も顔殴るから…」
記憶は無いわけではない。何時もの夕食を食べていると不意に眠気に襲われて、それから意識がふわふわして、視界が暗転する。
だがたまに垣間見える断片的な記憶はあった。それは見知らぬ男の顔が近くにあったり、汗がしたたるだらしない男性の胸が揺れていた。それが何を示すかなど、少年には理解できない。
「もういい加減にしてよ…こんなことになるなら____」
母の声が耳に届く。優しかった訳では無いが、自分を見る目というのは、慈愛と呼ぶに相応しい温かな瞳と笑顔だった。
「産まなきゃよかったよ____」
そんな彼女の口から這い出た言葉が、身体を動かせない少年の胸を握りつぶす。言ってる意味も、それを放ってしまう心情も理解に及ばない。ただ単語の意味が分かっている。
優しく髪を撫で、温かく迎い入れた。名前を呼んで笑顔を向けてくれくれていた日々。貧しくも楽しい日常。それら全てが覆った事を理解したのだ。
「あ____うっ」
だから少年は否定したかった。勢いでいってしまったと言葉にして欲しくて、節々が悲鳴を上げても、母の声が聞こえる方向へ、身体を転がす。
「うげっ!コイツ、こんなになっても動けるのかよ…きも…」
「あ____ぁあ___」
男など構うものか。少年の願いは見えない世界で、闇に唯一輝く希望に向かった。それもすぐに消えてしまう。
「もうやめて____ねぇあんた。さっさと消しちゃってよ……」
全てが裏返る。少年はわけもわからないまま、「捨てられた」「誰も助けてはくれない」事だけを確信させられた。
「そうかそうか。なら最後に楽しむくらいはさせてもらってもいいだろう」
硬くて太く、生暖かいブサイクな指が少年の身体を這い回る。だがそれを振りほどく力など、身体の何処にも残ってはいなかった。
「気色の悪い…ほんとあんたって変態よね。」
指が身体を一通り回って、ゆっくりとお尻を鷲掴む。びっくりして反応にすら困っても、やはり身体は虚脱感が拭えず抵抗はできなかった。
もはや何が世界で、何処までが自分なのかすらわからないまま、少年は横たえていた。
「きもち…いい…。」
熱気だらけの部屋から外へ出ていたことを、少年は体感的に理解していた。だが服などなく、急激な温度変化に対応できない幼い体は限界を迎えていた。
「…………きもちいいのは…いらない…」
寒さが痛みに変わった所で思考の靄が晴れてきた。それでも木漏れ日みたいに浅く、気を抜けばすぐにでも意識が弾けそうな感覚だった。
限界だった。すでに肉体は生体活動を辞め、延命処置に切り替えている。痛みの限度も何往復したのかと思うくらいにだ。
それでもこの世に彼を繋ぎ止めていたものがあった。
「ぼく…って…生きてちゃ…ダメなの………かな」
まだ人生という道のりのスタートを切ったばかりの少年に、その感情を言語化することはできない。
「じゃあ………なんで………」
野生の勘。霊長類という種に生まれたからこそ理解する。言葉などいらないし、ただ感じるだけで力に変わる物がそれだった。それは怒りだ。
「ぼ…くッ…なんかッ………産んだんだッ!!!」
最後に振り絞った言葉と憤怒が超えられなかった一線を飛び越えた。動かない身体を震わせる程のエネルギーが迸る。それによって視界がほんの一瞬開くことができた。
「…………キレイだ。」
願いの強さが引き起こしたのか、無意識に身体は立っていた。痛みが痛みとすら思えないくらい身体の感覚は潰れているのに、答えを求めて立ち上がっていた。
後は炎と同じだ。一挙に燃え上がる事によって、残りは消し炭に変わってしまう。
「もう………見えな………」
エネルギーを使い果たした少年は、暗闇に包まれ、糸が切れた人形のように地面に崩れて落ちた。
「…………」
言葉もない。動くこともできない。ただ思考だけが巡っている。
(なんだ……マーティンは嘘ばっか。だってさ…天使いるじゃん。)
今際の際で感じた事、それは少年に降り注いでいた視線だった。動かない頭の直ぐそばで感じた温かい気配は、少年を見下ろしている。
【まだ生きたいかい?】
少年に聞こえたのは女性の優しい声だった。
(………わかんない)
【わかんない。なら変だねぇ。今さっき私が感じた人間の感情は尋常ならざるものだった。世界を飲み込むほどではないが、自分を変えてしまうほど強力な怒り。】
(そっか……ぼく…怒ってたんだ……)
答え合わせができた少年に、優しい声が背中を押す。
【そりゃそうさ。あれだけの事をされたんだからね。だから私が着たのさ。少年。私の毒を受ければ生きる事はできるよ。】
(ほん…と?)
【嘘じゃないさ。でも生者の血肉に飢えてしまう事になる。もしかしたらただ彷徨う亡者に成り果て、朽ちる身体を引きづる事になる。それでもいいのかい?】
(いい…それでいい_____ぼくは…)
また腹の底から湧き上がる熱い力に導かれ、言葉が沢山湧いてきた。
(大人達に復讐するんだから)
【あぁ____いい匂いだ。未熟な自分を悔い、全てを燃やす憤怒の匂い。】
温かい気配が荒々しくなるのを少年は感じてしまった。
(…貴方は何モノなの?天使?)
【ハハッ!!そんな事を言われたのは生まれて初めてだよ!!】
愉快そうに笑う声に少年は人間味を感じた。
【ありがとう…勘違いでも嬉しい。だが私は人の願いを形にする技術を持ってるだけさね。天使様とはまるで違う。】
(そうなんだ…)
【私は人類で初めての呪の塊。人は狼のロアと呼んでいるけど____そうだね、母とでも呼んでおくれ。可愛い我が子よ。】
次の瞬間、少年の背中に何か尖っているものが入り込んだ。肌を破り、骨を抜いて、痛みと熱さが広がっていく。
「あ………あぁ……」
意識がはっきりとしてきた。まるで輪郭が浮かび上がるように、自分と世界が何で隔たれているのか、温度は、痛みは。全てが小さな体に収まっていく。その瞬間、鐘の音が鳴って、少年の目の前に文字が現れた。
すると熱は先ず体を動かせる。痛みや死後硬直が緩和され、稼働させていく。
「からだ…が…うご_____」
そして熱は頭に集まっていき、記憶を巡っていく。怒りに彩られた記憶達が少年の心を刺激して、自分でも信じられない程の怒りが体と声を突き動かした。
怒りが広げていく鋭い感覚は視界を呼び覚まして、再び見えた空は自身の血で薄く赤くなっていた。
【私の毒は死者を突き動かす。さぁ見せておくれ、我が子に値するかどうかを】
「ァぁぁぁ!!!!!うぉあああああ!!」
まるで手放しで走る馬車だった。思考と肉体が離反して、飢えという欲求に突き動かされていく。
「な、なんだぁ?!あれは!
声に導かれ、視線を送ると、そこには半裸の太った男が驚きで尻もちをついていた。加えて横に下着姿のだらしない女が声すら上げられずにいた。
【さぁ坊や。彼等を見て何を感じる?何をしたい?】
喉を駆け上がる食欲は、視界に入った人間に対して作用している。少年の思考は食うことを望んでいたのに、気持ちがそれを繰り返した。
「コロス…あいつラをバラバラに____ 引きちぎってやるぅうううううああ!!!」
後の事はあまり覚えては居ない。ただ胸に巣食い続けてる怒りに従い少年は駆け出していた。
生きて動く肉袋に組み付いて、腕や足を引っ張りちぎり、悲鳴と血飛沫を浴びて怒りを冷まし、そのあとで貪り食った。
竹下士長が法然自失しているのを見抜いて、魔法使いは右肩を強く叩いた。
「!!」
「戻ってきたか…」
見聞きしたことがない記憶に溺れていたことを自覚した時には状況は一変していた。空はなくキレイで薄暗い天井をスクリーンの明かりが照らしている。
竹下自身が置かれている状況への理解は到底及ばないが、ここがどこかぐらいは察しがついた。
「ここは…監視室か…」
「お前がなにやら知らんが、意識が切れたときに運んだのだ。今やリーダーの木山もおらんこの状況で、お前さんが戻ってきたのは幸いだ。」
「何がどうなって…。」
困惑した様子を見て魔法使いは竹下の補足をしてやる。
「あの少年…名前はジョナサンと言う。あやつが木山をゾンビとして配下にさせた後、お前が戦えるようになるまで待つと言ってな。とりあえず現状維持っちゅうことだ。」
外を映す監視カメラの向こうで、まるで津波のようにコチラを向いているゾンビの最前線には、少年ジョナサンとゾンビ化し、ヨダレを垂らして立っている木山3曹の姿があった。
だが不思議と落胆はしていない。寧ろ何か心がざわついて落ち着かないほどだ。
「…竹下。君は何を見た。」
「…あの少年の記憶、なのかな?誰かの記憶を体験していた。」
「そうか。やはりそうか。」
勝手に納得している魔法使いにちょっとだけ腹が立ち、食い気味に言葉をかける。
「勝手に納得してるなよ。」
「お前さんはゾンビ達の主、狼のロアと繋がっているということだ。」
「狼のロア。」
記憶の中で少年と対話していた存在の名前だ。その事実が何を指し示すのか、竹下は理解した。
「奴は呪術を扱う。呪い、人の心からしたり落ちる強い感情を糧にして魂と肉体に作用する術を扱っている…それは感情、記憶を閲覧すること。つまり。」
「オレは…狼のロアと繋がってる_____ゾンビってことか。」
熱っぽい体を熱気と湿気が残る部屋に置いた所で意味はない。それくらいなら少年でも分かったが、身体は言うことを聞いてくれないのだ。
「おい…どうするこいつ。」
何処から聞こえる声に耳を傾けても、それに反応することができないでいた。そもそも瞼が開いてくれない。
(ぼく…どうなったんだっけ…)
朧気な意識の中で闇に彷徨う。
「どうするって…アナタがやったんじゃないッ!!何度も何度も顔殴るから…」
記憶は無いわけではない。何時もの夕食を食べていると不意に眠気に襲われて、それから意識がふわふわして、視界が暗転する。
だがたまに垣間見える断片的な記憶はあった。それは見知らぬ男の顔が近くにあったり、汗がしたたるだらしない男性の胸が揺れていた。それが何を示すかなど、少年には理解できない。
「もういい加減にしてよ…こんなことになるなら____」
母の声が耳に届く。優しかった訳では無いが、自分を見る目というのは、慈愛と呼ぶに相応しい温かな瞳と笑顔だった。
「産まなきゃよかったよ____」
そんな彼女の口から這い出た言葉が、身体を動かせない少年の胸を握りつぶす。言ってる意味も、それを放ってしまう心情も理解に及ばない。ただ単語の意味が分かっている。
優しく髪を撫で、温かく迎い入れた。名前を呼んで笑顔を向けてくれくれていた日々。貧しくも楽しい日常。それら全てが覆った事を理解したのだ。
「あ____うっ」
だから少年は否定したかった。勢いでいってしまったと言葉にして欲しくて、節々が悲鳴を上げても、母の声が聞こえる方向へ、身体を転がす。
「うげっ!コイツ、こんなになっても動けるのかよ…きも…」
「あ____ぁあ___」
男など構うものか。少年の願いは見えない世界で、闇に唯一輝く希望に向かった。それもすぐに消えてしまう。
「もうやめて____ねぇあんた。さっさと消しちゃってよ……」
全てが裏返る。少年はわけもわからないまま、「捨てられた」「誰も助けてはくれない」事だけを確信させられた。
「そうかそうか。なら最後に楽しむくらいはさせてもらってもいいだろう」
硬くて太く、生暖かいブサイクな指が少年の身体を這い回る。だがそれを振りほどく力など、身体の何処にも残ってはいなかった。
「気色の悪い…ほんとあんたって変態よね。」
指が身体を一通り回って、ゆっくりとお尻を鷲掴む。びっくりして反応にすら困っても、やはり身体は虚脱感が拭えず抵抗はできなかった。
もはや何が世界で、何処までが自分なのかすらわからないまま、少年は横たえていた。
「きもち…いい…。」
熱気だらけの部屋から外へ出ていたことを、少年は体感的に理解していた。だが服などなく、急激な温度変化に対応できない幼い体は限界を迎えていた。
「…………きもちいいのは…いらない…」
寒さが痛みに変わった所で思考の靄が晴れてきた。それでも木漏れ日みたいに浅く、気を抜けばすぐにでも意識が弾けそうな感覚だった。
限界だった。すでに肉体は生体活動を辞め、延命処置に切り替えている。痛みの限度も何往復したのかと思うくらいにだ。
それでもこの世に彼を繋ぎ止めていたものがあった。
「ぼく…って…生きてちゃ…ダメなの………かな」
まだ人生という道のりのスタートを切ったばかりの少年に、その感情を言語化することはできない。
「じゃあ………なんで………」
野生の勘。霊長類という種に生まれたからこそ理解する。言葉などいらないし、ただ感じるだけで力に変わる物がそれだった。それは怒りだ。
「ぼ…くッ…なんかッ………産んだんだッ!!!」
最後に振り絞った言葉と憤怒が超えられなかった一線を飛び越えた。動かない身体を震わせる程のエネルギーが迸る。それによって視界がほんの一瞬開くことができた。
「…………キレイだ。」
願いの強さが引き起こしたのか、無意識に身体は立っていた。痛みが痛みとすら思えないくらい身体の感覚は潰れているのに、答えを求めて立ち上がっていた。
後は炎と同じだ。一挙に燃え上がる事によって、残りは消し炭に変わってしまう。
「もう………見えな………」
エネルギーを使い果たした少年は、暗闇に包まれ、糸が切れた人形のように地面に崩れて落ちた。
「…………」
言葉もない。動くこともできない。ただ思考だけが巡っている。
(なんだ……マーティンは嘘ばっか。だってさ…天使いるじゃん。)
今際の際で感じた事、それは少年に降り注いでいた視線だった。動かない頭の直ぐそばで感じた温かい気配は、少年を見下ろしている。
【まだ生きたいかい?】
少年に聞こえたのは女性の優しい声だった。
(………わかんない)
【わかんない。なら変だねぇ。今さっき私が感じた人間の感情は尋常ならざるものだった。世界を飲み込むほどではないが、自分を変えてしまうほど強力な怒り。】
(そっか……ぼく…怒ってたんだ……)
答え合わせができた少年に、優しい声が背中を押す。
【そりゃそうさ。あれだけの事をされたんだからね。だから私が着たのさ。少年。私の毒を受ければ生きる事はできるよ。】
(ほん…と?)
【嘘じゃないさ。でも生者の血肉に飢えてしまう事になる。もしかしたらただ彷徨う亡者に成り果て、朽ちる身体を引きづる事になる。それでもいいのかい?】
(いい…それでいい_____ぼくは…)
また腹の底から湧き上がる熱い力に導かれ、言葉が沢山湧いてきた。
(大人達に復讐するんだから)
【あぁ____いい匂いだ。未熟な自分を悔い、全てを燃やす憤怒の匂い。】
温かい気配が荒々しくなるのを少年は感じてしまった。
(…貴方は何モノなの?天使?)
【ハハッ!!そんな事を言われたのは生まれて初めてだよ!!】
愉快そうに笑う声に少年は人間味を感じた。
【ありがとう…勘違いでも嬉しい。だが私は人の願いを形にする技術を持ってるだけさね。天使様とはまるで違う。】
(そうなんだ…)
【私は人類で初めての呪の塊。人は狼のロアと呼んでいるけど____そうだね、母とでも呼んでおくれ。可愛い我が子よ。】
次の瞬間、少年の背中に何か尖っているものが入り込んだ。肌を破り、骨を抜いて、痛みと熱さが広がっていく。
「あ………あぁ……」
意識がはっきりとしてきた。まるで輪郭が浮かび上がるように、自分と世界が何で隔たれているのか、温度は、痛みは。全てが小さな体に収まっていく。その瞬間、鐘の音が鳴って、少年の目の前に文字が現れた。
すると熱は先ず体を動かせる。痛みや死後硬直が緩和され、稼働させていく。
「からだ…が…うご_____」
そして熱は頭に集まっていき、記憶を巡っていく。怒りに彩られた記憶達が少年の心を刺激して、自分でも信じられない程の怒りが体と声を突き動かした。
怒りが広げていく鋭い感覚は視界を呼び覚まして、再び見えた空は自身の血で薄く赤くなっていた。
【私の毒は死者を突き動かす。さぁ見せておくれ、我が子に値するかどうかを】
「ァぁぁぁ!!!!!うぉあああああ!!」
まるで手放しで走る馬車だった。思考と肉体が離反して、飢えという欲求に突き動かされていく。
「な、なんだぁ?!あれは!
声に導かれ、視線を送ると、そこには半裸の太った男が驚きで尻もちをついていた。加えて横に下着姿のだらしない女が声すら上げられずにいた。
【さぁ坊や。彼等を見て何を感じる?何をしたい?】
喉を駆け上がる食欲は、視界に入った人間に対して作用している。少年の思考は食うことを望んでいたのに、気持ちがそれを繰り返した。
「コロス…あいつラをバラバラに____ 引きちぎってやるぅうううううああ!!!」
後の事はあまり覚えては居ない。ただ胸に巣食い続けてる怒りに従い少年は駆け出していた。
生きて動く肉袋に組み付いて、腕や足を引っ張りちぎり、悲鳴と血飛沫を浴びて怒りを冷まし、そのあとで貪り食った。
竹下士長が法然自失しているのを見抜いて、魔法使いは右肩を強く叩いた。
「!!」
「戻ってきたか…」
見聞きしたことがない記憶に溺れていたことを自覚した時には状況は一変していた。空はなくキレイで薄暗い天井をスクリーンの明かりが照らしている。
竹下自身が置かれている状況への理解は到底及ばないが、ここがどこかぐらいは察しがついた。
「ここは…監視室か…」
「お前がなにやら知らんが、意識が切れたときに運んだのだ。今やリーダーの木山もおらんこの状況で、お前さんが戻ってきたのは幸いだ。」
「何がどうなって…。」
困惑した様子を見て魔法使いは竹下の補足をしてやる。
「あの少年…名前はジョナサンと言う。あやつが木山をゾンビとして配下にさせた後、お前が戦えるようになるまで待つと言ってな。とりあえず現状維持っちゅうことだ。」
外を映す監視カメラの向こうで、まるで津波のようにコチラを向いているゾンビの最前線には、少年ジョナサンとゾンビ化し、ヨダレを垂らして立っている木山3曹の姿があった。
だが不思議と落胆はしていない。寧ろ何か心がざわついて落ち着かないほどだ。
「…竹下。君は何を見た。」
「…あの少年の記憶、なのかな?誰かの記憶を体験していた。」
「そうか。やはりそうか。」
勝手に納得している魔法使いにちょっとだけ腹が立ち、食い気味に言葉をかける。
「勝手に納得してるなよ。」
「お前さんはゾンビ達の主、狼のロアと繋がっているということだ。」
「狼のロア。」
記憶の中で少年と対話していた存在の名前だ。その事実が何を指し示すのか、竹下は理解した。
「奴は呪術を扱う。呪い、人の心からしたり落ちる強い感情を糧にして魂と肉体に作用する術を扱っている…それは感情、記憶を閲覧すること。つまり。」
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