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第4話 枯渇
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ブシュー……。
気の抜けたような排気音と共に、股間に吸い付いていたシリコンカップが外れた。
俺の体は、糸の切れた操り人形のようにガクリと椅子の上で崩れた。
「……はぁ、はぁ、ぅ……」
声が出ない。喉が焼け付き、視界が白濁している。
現在時刻は朝の6時。昨夜から数えて、実に10回。
最後の数回はもう快楽などなかった。乾いた雑巾を無理やり絞るような激痛と、脊髄を直接引き抜かれるような喪失感だけが続いた。
「素晴らしい……」
白衣の小鳩が、ビーカーに溜まった液体を光にかざしてうっとりと呟いた。
その量は、明らかに異常だった。
「通常、一般男性なら3回で失神。5回でショック死のリスクがあります。なのに貴方は、10回抜いてもまだ意識がある。……まさに、化け物ですね」
彼女は俺の元へ歩み寄ると、汗と脂でベトベトになった俺の前髪を優しく撫でた。
その手つきは、愛するペットを労う飼い主のそれだった。
「予想以上です、俊弘さん。貴方は『特級』の資質がある。これなら、もっとハードなスケジュールでも耐えられそう」
「ふ、ざ……け……」
「無理に喋らなくていいですよ。喉もカラカラでしょう?」
彼女は点滴のチューブを俺の腕に手際よく刺し、高カロリーの栄養剤を流し込んだ。
冷たい液体が血管を巡り、少しだけ意識が鮮明になる。
「ご褒美に、今日は丸一日『休息』をあげます。しっかりと食べて、寝て、また明日、たっぷりと溜め込んでくださいね」
ウィーン。
椅子の拘束が解かれると同時に、黒服の男たちが部屋に入ってきた。俺は荷物のように担がれ、別の部屋へと運ばれた。
放り込まれたのは、四畳半ほどの独房だった。
真っ白な壁、簡易トイレ、そして柔らかいベッド。
俺は泥のようにベッドに倒れ込んだ。思考する気力さえなく、すぐに深い眠りに落ちた。
目が覚めたのは、壁の時計が夜の8時を回った頃だった。
たっぷりと眠り、点滴で栄養を補給されたおかげか、頭の中はかつてないほどクリアだった。
「……クソが」
俺はベッドの上で体を起こし、自分の掌を見つめた。
体は軽い。だが、股間の奥には鈍い違和感が残っている。
俺は昨日、人間としての尊厳を完全にレイプされたのだ。
「誰が家畜だ……ナメやがって」
枕元には、チューブに入った流動食のようなものが置かれていた。
俺はそれを乱暴に啜りながら、部屋の中を見渡した。
監視カメラが一つ。ドアは電子ロック式の重厚な鉄扉。窓はない。
一見すると脱出不可能な要塞だ。
だが、俺のパチンカスとしての「目」が、ある違和感を捉えていた。
(あの女、俺のことを『特級』って言ったな……)
それはつまり、俺は簡単には殺されないということだ。
そして、この施設の人間たちは、俺たちを「人間」ではなく「管理されたモノ」として扱っている。そこに隙がある。
さっき運ばれてくる時、廊下ですれ違った清掃用ロボット。
定時になると開く給餌用の小窓。
そして何より、小鳩という女の「研究者としての慢心」。
(パチンコもそうだが、完全に制御されたシステムなんて存在しねえんだよ。必ず『バグ』がある)
俺は流動食の空き容器を握りつぶした。
ここから出る。
そして、あの高慢な女に、俺の極太の「怒り」を分からせてやる。
タバコが吸いたい。その一心だけが、今の俺を突き動かす原動力だった。
俺はベッドを降り、監視カメラの死角を探して、静かにドアの方へと這い出した。
気の抜けたような排気音と共に、股間に吸い付いていたシリコンカップが外れた。
俺の体は、糸の切れた操り人形のようにガクリと椅子の上で崩れた。
「……はぁ、はぁ、ぅ……」
声が出ない。喉が焼け付き、視界が白濁している。
現在時刻は朝の6時。昨夜から数えて、実に10回。
最後の数回はもう快楽などなかった。乾いた雑巾を無理やり絞るような激痛と、脊髄を直接引き抜かれるような喪失感だけが続いた。
「素晴らしい……」
白衣の小鳩が、ビーカーに溜まった液体を光にかざしてうっとりと呟いた。
その量は、明らかに異常だった。
「通常、一般男性なら3回で失神。5回でショック死のリスクがあります。なのに貴方は、10回抜いてもまだ意識がある。……まさに、化け物ですね」
彼女は俺の元へ歩み寄ると、汗と脂でベトベトになった俺の前髪を優しく撫でた。
その手つきは、愛するペットを労う飼い主のそれだった。
「予想以上です、俊弘さん。貴方は『特級』の資質がある。これなら、もっとハードなスケジュールでも耐えられそう」
「ふ、ざ……け……」
「無理に喋らなくていいですよ。喉もカラカラでしょう?」
彼女は点滴のチューブを俺の腕に手際よく刺し、高カロリーの栄養剤を流し込んだ。
冷たい液体が血管を巡り、少しだけ意識が鮮明になる。
「ご褒美に、今日は丸一日『休息』をあげます。しっかりと食べて、寝て、また明日、たっぷりと溜め込んでくださいね」
ウィーン。
椅子の拘束が解かれると同時に、黒服の男たちが部屋に入ってきた。俺は荷物のように担がれ、別の部屋へと運ばれた。
放り込まれたのは、四畳半ほどの独房だった。
真っ白な壁、簡易トイレ、そして柔らかいベッド。
俺は泥のようにベッドに倒れ込んだ。思考する気力さえなく、すぐに深い眠りに落ちた。
目が覚めたのは、壁の時計が夜の8時を回った頃だった。
たっぷりと眠り、点滴で栄養を補給されたおかげか、頭の中はかつてないほどクリアだった。
「……クソが」
俺はベッドの上で体を起こし、自分の掌を見つめた。
体は軽い。だが、股間の奥には鈍い違和感が残っている。
俺は昨日、人間としての尊厳を完全にレイプされたのだ。
「誰が家畜だ……ナメやがって」
枕元には、チューブに入った流動食のようなものが置かれていた。
俺はそれを乱暴に啜りながら、部屋の中を見渡した。
監視カメラが一つ。ドアは電子ロック式の重厚な鉄扉。窓はない。
一見すると脱出不可能な要塞だ。
だが、俺のパチンカスとしての「目」が、ある違和感を捉えていた。
(あの女、俺のことを『特級』って言ったな……)
それはつまり、俺は簡単には殺されないということだ。
そして、この施設の人間たちは、俺たちを「人間」ではなく「管理されたモノ」として扱っている。そこに隙がある。
さっき運ばれてくる時、廊下ですれ違った清掃用ロボット。
定時になると開く給餌用の小窓。
そして何より、小鳩という女の「研究者としての慢心」。
(パチンコもそうだが、完全に制御されたシステムなんて存在しねえんだよ。必ず『バグ』がある)
俺は流動食の空き容器を握りつぶした。
ここから出る。
そして、あの高慢な女に、俺の極太の「怒り」を分からせてやる。
タバコが吸いたい。その一心だけが、今の俺を突き動かす原動力だった。
俺はベッドを降り、監視カメラの死角を探して、静かにドアの方へと這い出した。
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