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第8話 飼育
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目を開けると、そこは高級ホテルのスイートルームのような場所だった。
間接照明の柔らかな光。肌を撫でるシルクのシーツ。そして、部屋の奥には巨大な水槽があり、色鮮やかな熱帯魚たちが揺らめいている。
「気がついた?」
甘い声と共に、バスローブ姿の小鳩がワイングラスを片手に近づいてきた。
シャワーを浴びた直後なのだろう。濡れた髪から滴る水滴が、白く透き通るような鎖骨を伝い、バスローブの谷間へと吸い込まれていく。
さっきまで俺を「検体」と呼んでいた研究者の顔はどこにもない。そこには、新しいペットの目覚めを待つ「飼い主」の顔があった。
「ここは……」
「私の私室。……言ったでしょう? 貴方は私の『専属』になったの」
俺は身を起こそうとしたが、体に力が入らない。手足が鉛のように重く、指先が微かに震えている。
「無理よ。今の貴方は、エネルギーを放出すぎて空っぽの状態。……ガス欠の車と同じね」
小鳩はベッドの縁に腰掛けると、口に含んだ赤ワインを、俺の唇に口移しで流し込んできた。
芳醇な香りと、彼女の唾液が混じり合った液体が喉を通る。
「ん……っ、ぷはっ! 何しやがる……」
「栄養補給よ。……それに、少し『薬』も混ぜておいたわ。貴方のその激しい気性を、少しだけ大人しくさせるためのね」
彼女は妖艶に微笑むと、バスローブの帯を解いた。
下着はつけていない。白磁のような肌が露わになり、太ももの内側には、さっき俺がつけたキスマークが赤黒く残っている。
「ねえ、俊弘さん。貴方、脱獄しようとした時、私のことを殺したいくらい憎んでたわよね? ……今もそう?」
「当たり前だろ……。俺をこんな目に遭わせやがって」
俺は睨みつけたが、小鳩は嬉しそうに目を細めるだけだった。
「そう、その目。……ゾクゾクするわ」
彼女は俺の上に跨がると、胸に顔を埋めて深呼吸をした。
「不思議ね。貴方の匂いを嗅ぐだけで、脳みそが痺れるの。……貴方の種には、私を狂わせる毒が入ってる。でも、貴方ももう、私の身体がないと生きていけないのよ?」
「ハッ、笑わせんな」
「嘘じゃないわ。……ほら」
小鳩が意地悪く腰を浮かせ、俺から離れようとした。
その瞬間、強烈な吐き気と悪寒が俺を襲った。心臓が早鐘を打ち、冷や汗が吹き出す。まるで酸素を奪われたような苦しさだ。
「ぐ、あ……っ!?」
「分かる? 貴方の細胞が悲鳴を上げているの。『女王』のそばにいたい、離れたくないって」
小鳩が再び体を密着させると、不思議なことに苦痛は嘘のように引いていった。代わりに、脳髄を溶かすような安堵感と快楽が押し寄せる。
「な、なんだこれ……」
「『共依存』よ。……貴方は私に種を注ぐことで安定し、私はそれを受け取ることで満たされる。私たちはもう、二つで一つの生命体なの」
小鳩は俺の耳を甘噛みしながら、ゆっくりと腰を沈め始めた。
濡れた秘部が、俺の弱りきった理性を飲み込んでいく。
「あ……っ、んんっ……!」
悔しいが、気持ちいい。
自由を奪われ、プライドを踏みにじられたはずなのに、彼女と繋がっているこの瞬間だけが、世界で唯一の救いのように感じられる。
「俊弘さん……もっと、奥まで来て。……私を貴方色に染め変えてよ」
彼女の動きは、研究室での機械的なそれとは違った。
情熱的で、貪欲で、そして何より愛おしそうに俺を求め続けている。
水槽の光が揺らめく中、俺たちは獣のように絡み合った。
「……気持ちいいか、ご主人様」
俺は皮肉を込めて言ったつもりだった。だが、口から出た声は、情けないほど甘く掠れていた。
「ええ、最高よ……私の可愛い奴隷」
小鳩は絶頂の余韻に浸りながら、俺の首筋に強く吸い付いた。チクリとした痛みが走る。
「これでマーキング完了。……明日からは、もっと楽しい『実験』が待ってるわ。貴方のその素晴らしい素質を、限界まで引き出してあげる」
彼女の瞳の奥に、狂気じみた計画の光が見えた気がした。
だが、今の俺にはそれに抗う術も、気力も残されていなかった。
この温かく、狂った檻の中で、俺はゆっくりと飼い慣らされていくのだろうか。
部屋の隅にあるモニターには、俺たちの交わりのデータが刻一刻と記録され続けていた。
間接照明の柔らかな光。肌を撫でるシルクのシーツ。そして、部屋の奥には巨大な水槽があり、色鮮やかな熱帯魚たちが揺らめいている。
「気がついた?」
甘い声と共に、バスローブ姿の小鳩がワイングラスを片手に近づいてきた。
シャワーを浴びた直後なのだろう。濡れた髪から滴る水滴が、白く透き通るような鎖骨を伝い、バスローブの谷間へと吸い込まれていく。
さっきまで俺を「検体」と呼んでいた研究者の顔はどこにもない。そこには、新しいペットの目覚めを待つ「飼い主」の顔があった。
「ここは……」
「私の私室。……言ったでしょう? 貴方は私の『専属』になったの」
俺は身を起こそうとしたが、体に力が入らない。手足が鉛のように重く、指先が微かに震えている。
「無理よ。今の貴方は、エネルギーを放出すぎて空っぽの状態。……ガス欠の車と同じね」
小鳩はベッドの縁に腰掛けると、口に含んだ赤ワインを、俺の唇に口移しで流し込んできた。
芳醇な香りと、彼女の唾液が混じり合った液体が喉を通る。
「ん……っ、ぷはっ! 何しやがる……」
「栄養補給よ。……それに、少し『薬』も混ぜておいたわ。貴方のその激しい気性を、少しだけ大人しくさせるためのね」
彼女は妖艶に微笑むと、バスローブの帯を解いた。
下着はつけていない。白磁のような肌が露わになり、太ももの内側には、さっき俺がつけたキスマークが赤黒く残っている。
「ねえ、俊弘さん。貴方、脱獄しようとした時、私のことを殺したいくらい憎んでたわよね? ……今もそう?」
「当たり前だろ……。俺をこんな目に遭わせやがって」
俺は睨みつけたが、小鳩は嬉しそうに目を細めるだけだった。
「そう、その目。……ゾクゾクするわ」
彼女は俺の上に跨がると、胸に顔を埋めて深呼吸をした。
「不思議ね。貴方の匂いを嗅ぐだけで、脳みそが痺れるの。……貴方の種には、私を狂わせる毒が入ってる。でも、貴方ももう、私の身体がないと生きていけないのよ?」
「ハッ、笑わせんな」
「嘘じゃないわ。……ほら」
小鳩が意地悪く腰を浮かせ、俺から離れようとした。
その瞬間、強烈な吐き気と悪寒が俺を襲った。心臓が早鐘を打ち、冷や汗が吹き出す。まるで酸素を奪われたような苦しさだ。
「ぐ、あ……っ!?」
「分かる? 貴方の細胞が悲鳴を上げているの。『女王』のそばにいたい、離れたくないって」
小鳩が再び体を密着させると、不思議なことに苦痛は嘘のように引いていった。代わりに、脳髄を溶かすような安堵感と快楽が押し寄せる。
「な、なんだこれ……」
「『共依存』よ。……貴方は私に種を注ぐことで安定し、私はそれを受け取ることで満たされる。私たちはもう、二つで一つの生命体なの」
小鳩は俺の耳を甘噛みしながら、ゆっくりと腰を沈め始めた。
濡れた秘部が、俺の弱りきった理性を飲み込んでいく。
「あ……っ、んんっ……!」
悔しいが、気持ちいい。
自由を奪われ、プライドを踏みにじられたはずなのに、彼女と繋がっているこの瞬間だけが、世界で唯一の救いのように感じられる。
「俊弘さん……もっと、奥まで来て。……私を貴方色に染め変えてよ」
彼女の動きは、研究室での機械的なそれとは違った。
情熱的で、貪欲で、そして何より愛おしそうに俺を求め続けている。
水槽の光が揺らめく中、俺たちは獣のように絡み合った。
「……気持ちいいか、ご主人様」
俺は皮肉を込めて言ったつもりだった。だが、口から出た声は、情けないほど甘く掠れていた。
「ええ、最高よ……私の可愛い奴隷」
小鳩は絶頂の余韻に浸りながら、俺の首筋に強く吸い付いた。チクリとした痛みが走る。
「これでマーキング完了。……明日からは、もっと楽しい『実験』が待ってるわ。貴方のその素晴らしい素質を、限界まで引き出してあげる」
彼女の瞳の奥に、狂気じみた計画の光が見えた気がした。
だが、今の俺にはそれに抗う術も、気力も残されていなかった。
この温かく、狂った檻の中で、俺はゆっくりと飼い慣らされていくのだろうか。
部屋の隅にあるモニターには、俺たちの交わりのデータが刻一刻と記録され続けていた。
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