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第31話 起源
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世界統一から1年。
地球は、かつてない平和と静寂に包まれていた。
争いは消え、貧困はなくなり、人類は俺とイヴが放つ「フェロモン」によって管理された家畜として、穏やかな日々を貪っている。
だが。
「……出ねえな」
『エデン』の最上層、俺の私室。
俺は窓の外の青い空を見上げながら、つまらなそうに呟いた。
隣では、裸にシルクのシーツを纏ったイヴが、気怠げに俺の胸に指を這わせている。
「何が『出ない』の? 俊弘」
「アドレナリンだよ。……今の地球は、設定1のパチンコ台より退屈だ。当たりもしなけりゃ、ハマりもしねえ。ただ淡々と時間が過ぎていくだけだ」
俺は支配者として君臨しているが、根っこはギャンブラーだ。
リスクのない勝利、抵抗のない征服なんて、ただの作業に過ぎない。
「贅沢な悩みですね、父上」
ふいに、空間が歪み、シオンが姿を現した。
4歳になった彼は、見た目は既に青年のように凛々しく、その知能は人類の歴史を全て合わせても及ばない領域に達している。
「シオンか。……火星のテラフォーミングはどうなった?」
「順調ですが、少し予定を変更しました。……もっと面白いものを見つけたので」
シオンは指を鳴らし、空中に巨大なホログラムを投影した。
映し出されたのは、地球の衛星――月だ。
その裏側、クレーターの影に、人工物らしき巨大な構造物が埋もれている。
「……なんだ、こりゃ。月面基地か?」
「ええ。ですが、人類が作ったものではありません。……炭素年代測定の結果、少なくとも一万年前からそこにあります」
シオンは冷静な口調で、衝撃的な事実を告げた。
「そして、ここからが本題です。……母上、イヴの遺伝子コードを解析し直したところ、地球上の生物には存在しない配列が見つかりました。
それを月の構造物の信号と照合した結果……完全に一致しました」
「は……?」
俺はイヴを見た。彼女も驚いたように目を丸くしている。
「私が……宇宙人だって言うの?」
「正確には、一万年前に月に飛来した『何か』が、地球に落とした種子……それが長い時間をかけて発芽したのが母上だということです。
つまり、あの月面基地には、母上の『創造主』……あるいは『同族』がいる可能性があります」
シオンの言葉に、俺の心臓が久しぶりに高鳴った。
創造主? 神?
つまり、この地球というパチンコホールのオーナー気取りでいた俺たちの上に、さらに上の「本店の店長」がいるってことか?
「……へっ、面白くなってきやがった」
俺は立ち上がり、ガラスに映る自分の顔を見た。
死んだ魚のような目は消え、獲物を狙う獣の眼光が戻っていた。
「シオン。……そこに行けるか?」
「愚問ですね。……父上が退屈されると思って、既に専用の艦(フネ)を用意してあります。
恒星間航行用超ド級戦艦『アーク・ロイヤル』。……明日にも発進可能です」
「でかした。……親孝行な息子だ」
俺はイヴの肩を抱き寄せ、ニヤリと笑った。
「聞いたか、イヴ。……里帰りだ。お前の親戚に挨拶しに行こうぜ」
「ふふ……。私の創造主、か。……どんな相手かしらね?」
イヴの瞳にも、期待と、そして微かな好戦的な光が宿る。
彼女もまた、俺に染められた「捕食者」の一員なのだ。
「全軍に通達! これより『エデン』は地球を離脱する!
目指すは月面、そしてその先の星の海だ!」
俺の号令が、平和ボケした世界を切り裂いた。
地球という狭い水槽から飛び出し、俺たちは無限の宇宙という大海原へ漕ぎ出す。
そこには、まだ見ぬ強力な敵、未知の快楽、そして莫大な「大当たり」が待っているはずだ。
確変(カクヘン)は終わらない。
舞台(ステージ)が変わるだけだ。
地球は、かつてない平和と静寂に包まれていた。
争いは消え、貧困はなくなり、人類は俺とイヴが放つ「フェロモン」によって管理された家畜として、穏やかな日々を貪っている。
だが。
「……出ねえな」
『エデン』の最上層、俺の私室。
俺は窓の外の青い空を見上げながら、つまらなそうに呟いた。
隣では、裸にシルクのシーツを纏ったイヴが、気怠げに俺の胸に指を這わせている。
「何が『出ない』の? 俊弘」
「アドレナリンだよ。……今の地球は、設定1のパチンコ台より退屈だ。当たりもしなけりゃ、ハマりもしねえ。ただ淡々と時間が過ぎていくだけだ」
俺は支配者として君臨しているが、根っこはギャンブラーだ。
リスクのない勝利、抵抗のない征服なんて、ただの作業に過ぎない。
「贅沢な悩みですね、父上」
ふいに、空間が歪み、シオンが姿を現した。
4歳になった彼は、見た目は既に青年のように凛々しく、その知能は人類の歴史を全て合わせても及ばない領域に達している。
「シオンか。……火星のテラフォーミングはどうなった?」
「順調ですが、少し予定を変更しました。……もっと面白いものを見つけたので」
シオンは指を鳴らし、空中に巨大なホログラムを投影した。
映し出されたのは、地球の衛星――月だ。
その裏側、クレーターの影に、人工物らしき巨大な構造物が埋もれている。
「……なんだ、こりゃ。月面基地か?」
「ええ。ですが、人類が作ったものではありません。……炭素年代測定の結果、少なくとも一万年前からそこにあります」
シオンは冷静な口調で、衝撃的な事実を告げた。
「そして、ここからが本題です。……母上、イヴの遺伝子コードを解析し直したところ、地球上の生物には存在しない配列が見つかりました。
それを月の構造物の信号と照合した結果……完全に一致しました」
「は……?」
俺はイヴを見た。彼女も驚いたように目を丸くしている。
「私が……宇宙人だって言うの?」
「正確には、一万年前に月に飛来した『何か』が、地球に落とした種子……それが長い時間をかけて発芽したのが母上だということです。
つまり、あの月面基地には、母上の『創造主』……あるいは『同族』がいる可能性があります」
シオンの言葉に、俺の心臓が久しぶりに高鳴った。
創造主? 神?
つまり、この地球というパチンコホールのオーナー気取りでいた俺たちの上に、さらに上の「本店の店長」がいるってことか?
「……へっ、面白くなってきやがった」
俺は立ち上がり、ガラスに映る自分の顔を見た。
死んだ魚のような目は消え、獲物を狙う獣の眼光が戻っていた。
「シオン。……そこに行けるか?」
「愚問ですね。……父上が退屈されると思って、既に専用の艦(フネ)を用意してあります。
恒星間航行用超ド級戦艦『アーク・ロイヤル』。……明日にも発進可能です」
「でかした。……親孝行な息子だ」
俺はイヴの肩を抱き寄せ、ニヤリと笑った。
「聞いたか、イヴ。……里帰りだ。お前の親戚に挨拶しに行こうぜ」
「ふふ……。私の創造主、か。……どんな相手かしらね?」
イヴの瞳にも、期待と、そして微かな好戦的な光が宿る。
彼女もまた、俺に染められた「捕食者」の一員なのだ。
「全軍に通達! これより『エデン』は地球を離脱する!
目指すは月面、そしてその先の星の海だ!」
俺の号令が、平和ボケした世界を切り裂いた。
地球という狭い水槽から飛び出し、俺たちは無限の宇宙という大海原へ漕ぎ出す。
そこには、まだ見ぬ強力な敵、未知の快楽、そして莫大な「大当たり」が待っているはずだ。
確変(カクヘン)は終わらない。
舞台(ステージ)が変わるだけだ。
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