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第8話 ドアを開けてあげただけなのに、学園一の清純派アイドルに告白されました
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「……平沢拓海様。放課後、中庭の『伝説の樹』の下でお待ちしております」
昼休み、俺の下駄箱に入っていたのは、甘い香りのする果たし状――いや、ラブレターだった。
差出人の名前を見て、隣にいた剛田が白目を剥いて卒倒した。
「し、白雪(しらゆき)ミア……!? あの学園一のアイドル、白雪お嬢様かよ!?」
白雪ミア。
この学園の誰もが憧れる、正真正銘の「高嶺の花」。
透き通るような銀髪に、宝石のような瞳。性格は控えめで清楚、歩く姿は百合の花。
男子生徒たちは彼女と目が合うだけで拝み出し、女子生徒ですらその美しさにひれ伏すという、カリスマ的存在だ。
「まさかアニキ……いつの間に白雪様まで陥落させていたんですか……」
「いや、話したこともないぞ?」
俺は首を傾げながら、約束の場所へと向かった。
放課後の中庭。
夕日が差し込む大きな樹の下に、その少女は立っていた。
「……お待ちしておりました、平沢様」
白雪ミアが振り返る。
噂通りの、いや、実物は噂を遥かに超える美少女だった。
制服の着こなし一つ乱れていない。清楚という言葉が服を着て歩いているようだ。
彼女は恥じらいに頬を染め、少し震える声で言った。
「急にお呼び立てして、申し訳ありません」
「いや、いいけど……俺になんの用?」
俺が尋ねると、ミアは胸の前で両手を組み、うっとりとした瞳で俺を見つめた。
「昨日のことです。図書室の入り口で、平沢様が私にしてくださった『奇跡』……忘れられなくて」
「奇跡?」
昨日? 図書室?
俺は記憶を辿った。
たしか、図書室に行こうとした時、ちょうど彼女が出ようとしていて……。
(あ、ぶつかりそうになったから、ドアを開けて譲ってあげたんだったな)
「お先にどうぞ」と言って、ドアを押さえて通してあげた。
ただそれだけのことだ。
だが、ミアの捉え方は違った。
「この世界の殿方は皆、我先にとドアを蹴破り、あるいは私の肩を押しのけて通ろうとします。それが『強さ』だと勘違いしている野蛮な方ばかり……」
彼女は涙ぐみながら続けた。
「ですが、平沢様は違いました。気配もなく私の前に立ち、触れることもなくドアを開け放ち……そして、慈愛に満ちた微笑みで『お先にどうぞ』と……!」
「いや、ただのレディーファーストだけど」
「レディー……ファースト……? なんという高貴な響き……!」
ミアは感極まったように身を震わせた。
「自らの肉体を壁として使い、か弱い私を守りながら道を作る……。それは古代の王族のみに許された、至高の護衛術(エスコート)! まさか現代で見られるなんて……!」
茂みに隠れて覗き見していた剛田たちの叫び声が聞こえる。
「す、すげぇ……! アニキはドアを開けるだけで女を守っていたのか!?」
「ただの扉の開閉動作じゃない……あれは『空間制御』だ! 王女の通る道を切り開く、聖騎士の所作だ!」
(大袈裟すぎるだろ……)
ミアは一歩、俺に近づいた。
甘い花の香りが鼻をくすぐる。
「平沢様。私、初めて出会いました。本当の意味で『強い』男性に」
彼女は震える手で、俺の制服の袖を掴んだ。
上目遣いの破壊力が凄まじい。
「顔面国宝、全知の賢者、そして至高の騎士(ナイト)……。あなたのその完璧な遺伝子に、私の全てを捧げたいのです」
「えっ」
「平沢様……。私と、結婚を前提にお付き合いしてくださいませ!」
その一言が、中庭に響き渡った。
「「「ええええええええっ!!?」」」
茂みから剛田と陽菜が転がり出てきた。
「ちょっと待ったぁぁぁ!!」
陽菜が鬼の形相で二人の間に割って入る。
「ミアさん! 抜け駆けは許さないわよ! 拓海くんの遺伝子は私がもらうんだから!」
「あら……古賀様。ですが、平沢様は私に『お先にどうぞ』と仰いましたわ。つまり、私の人生を『お先に(=優先的に)』導いてくださるというプロポーズでは?」
「違うわよ! ただのドアの話でしょ!?」
「いいえ、あれは愛の誓いです。私には分かります」
清楚でおっとりしていると思っていたミアだが、意外にも恋に関しては強引らしい。
彼女は俺の左腕に抱きつき、陽菜に対抗するように豊満な胸を押し付けてきた。
「平沢様。私の実家は、世界有数の大富豪です。結納金として、国家予算の三年分をご用意いたしますわ」
「なっ……金で釣る気!? 拓海くん、騙されないで!」
「アニキ……! ハーレムっすね……! まさに王の凱旋……!」
剛田が感動して泣いている。
右手に陽菜、左手にミア。
学園の二大美女に挟まれ、俺は立ち尽くしていた。
「……あの、とりあえずドアの話は忘れてくれないかな」
「いいえ! あの時の平沢様の、ドアノブに手をかけた黄金の指先……一生忘れません♡」
ドアを開けただけで一生愛される。
この世界のチョロさは、俺の想像を遥かに超えていた。
昼休み、俺の下駄箱に入っていたのは、甘い香りのする果たし状――いや、ラブレターだった。
差出人の名前を見て、隣にいた剛田が白目を剥いて卒倒した。
「し、白雪(しらゆき)ミア……!? あの学園一のアイドル、白雪お嬢様かよ!?」
白雪ミア。
この学園の誰もが憧れる、正真正銘の「高嶺の花」。
透き通るような銀髪に、宝石のような瞳。性格は控えめで清楚、歩く姿は百合の花。
男子生徒たちは彼女と目が合うだけで拝み出し、女子生徒ですらその美しさにひれ伏すという、カリスマ的存在だ。
「まさかアニキ……いつの間に白雪様まで陥落させていたんですか……」
「いや、話したこともないぞ?」
俺は首を傾げながら、約束の場所へと向かった。
放課後の中庭。
夕日が差し込む大きな樹の下に、その少女は立っていた。
「……お待ちしておりました、平沢様」
白雪ミアが振り返る。
噂通りの、いや、実物は噂を遥かに超える美少女だった。
制服の着こなし一つ乱れていない。清楚という言葉が服を着て歩いているようだ。
彼女は恥じらいに頬を染め、少し震える声で言った。
「急にお呼び立てして、申し訳ありません」
「いや、いいけど……俺になんの用?」
俺が尋ねると、ミアは胸の前で両手を組み、うっとりとした瞳で俺を見つめた。
「昨日のことです。図書室の入り口で、平沢様が私にしてくださった『奇跡』……忘れられなくて」
「奇跡?」
昨日? 図書室?
俺は記憶を辿った。
たしか、図書室に行こうとした時、ちょうど彼女が出ようとしていて……。
(あ、ぶつかりそうになったから、ドアを開けて譲ってあげたんだったな)
「お先にどうぞ」と言って、ドアを押さえて通してあげた。
ただそれだけのことだ。
だが、ミアの捉え方は違った。
「この世界の殿方は皆、我先にとドアを蹴破り、あるいは私の肩を押しのけて通ろうとします。それが『強さ』だと勘違いしている野蛮な方ばかり……」
彼女は涙ぐみながら続けた。
「ですが、平沢様は違いました。気配もなく私の前に立ち、触れることもなくドアを開け放ち……そして、慈愛に満ちた微笑みで『お先にどうぞ』と……!」
「いや、ただのレディーファーストだけど」
「レディー……ファースト……? なんという高貴な響き……!」
ミアは感極まったように身を震わせた。
「自らの肉体を壁として使い、か弱い私を守りながら道を作る……。それは古代の王族のみに許された、至高の護衛術(エスコート)! まさか現代で見られるなんて……!」
茂みに隠れて覗き見していた剛田たちの叫び声が聞こえる。
「す、すげぇ……! アニキはドアを開けるだけで女を守っていたのか!?」
「ただの扉の開閉動作じゃない……あれは『空間制御』だ! 王女の通る道を切り開く、聖騎士の所作だ!」
(大袈裟すぎるだろ……)
ミアは一歩、俺に近づいた。
甘い花の香りが鼻をくすぐる。
「平沢様。私、初めて出会いました。本当の意味で『強い』男性に」
彼女は震える手で、俺の制服の袖を掴んだ。
上目遣いの破壊力が凄まじい。
「顔面国宝、全知の賢者、そして至高の騎士(ナイト)……。あなたのその完璧な遺伝子に、私の全てを捧げたいのです」
「えっ」
「平沢様……。私と、結婚を前提にお付き合いしてくださいませ!」
その一言が、中庭に響き渡った。
「「「ええええええええっ!!?」」」
茂みから剛田と陽菜が転がり出てきた。
「ちょっと待ったぁぁぁ!!」
陽菜が鬼の形相で二人の間に割って入る。
「ミアさん! 抜け駆けは許さないわよ! 拓海くんの遺伝子は私がもらうんだから!」
「あら……古賀様。ですが、平沢様は私に『お先にどうぞ』と仰いましたわ。つまり、私の人生を『お先に(=優先的に)』導いてくださるというプロポーズでは?」
「違うわよ! ただのドアの話でしょ!?」
「いいえ、あれは愛の誓いです。私には分かります」
清楚でおっとりしていると思っていたミアだが、意外にも恋に関しては強引らしい。
彼女は俺の左腕に抱きつき、陽菜に対抗するように豊満な胸を押し付けてきた。
「平沢様。私の実家は、世界有数の大富豪です。結納金として、国家予算の三年分をご用意いたしますわ」
「なっ……金で釣る気!? 拓海くん、騙されないで!」
「アニキ……! ハーレムっすね……! まさに王の凱旋……!」
剛田が感動して泣いている。
右手に陽菜、左手にミア。
学園の二大美女に挟まれ、俺は立ち尽くしていた。
「……あの、とりあえずドアの話は忘れてくれないかな」
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