鬼畜柄の愛撫シリーズ 番外編

Adria

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47.女性の仲間入り(ジュリア視点)

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 駆けつけてみると、シルヴィアちゃんが過呼吸を起こしていた。

 床に散乱している卑猥なオモチャを見るあたり……、お仕置きと称して無茶をしたのは目に見えていた。というか、あれなんだろ? 変な形のオモチャだな……。どうやって使うんだろ?

 体だけじゃなく、ロベルトの事だから……冷たい言葉で精神的にも追い込んだんだと思う。
 過呼吸は精神的な過度の緊張状態やストレスが、発作の誘因となる。だから、多分……体の負担以上に心に負担をかけたんだと思う。


 幸い、シルヴィアちゃんは軽いほうだった。
 ゆっくり話しかけて安心させつつ、適切な呼吸法を誘導してやると、少しずつおさまってきた。


 良かった……。本当に良かった……。
 貧民街に出入りしていた時の経験が役に立った。

 貧民街は……場所が場所だけに心に傷を抱えた者が多かったように思う。過去に心や体に傷を負って働けなくなった者や、最初から貧民街で生まれ育った者もいた。
 その全ての者が適切な治療を受けられず、苦しんでいた。健康な者も、その能力を生かす場がなくて苦しみ、明日に喘いでいる者たちばかりだった。


 今は我が国に貧民街はない。既に生活の改善はされている。
 だけど、俺は出来るなら一生あそこにいたいとさえ思った。共に足掻き進んでくれる仲間意識は、何よりも強く美しい。俺は、あの場所もアイツらも大好きだった。

 ルカと、こういう関係になっていなかったら、その内……姿を眩まして、平民として生きていこうと思っていたくらいだった。
 そうだな……父上が死んで、兄上が王になったら……俺は消される……そう思っていた。王族間の兄弟殺しなど珍しくない。だから、その時が来たら逃げようと思っていた。

 でも、その時は来なかった。
 ルカのおかげで、兄上と仲直りが出来て……皆との関係も良好だ。

 俺は逃げる必要がなくなった……。


「ジュリアちゃん……」
「大丈夫か? シルヴィアちゃん……」
「もう大丈夫です……ありがとうございました」


 良かった……。
 顔色も、かなり良くなったように思える。


「シルヴィアちゃん、今日はゆっくり休んで下さい。ロベルト、もう無理はさせないように。今日は何もせず、抱き締めて眠ってあげると良いと思いますよ」
「……そうするよ。ありがとう」


 ロベルトは、いつものように蔑むようにではなく、素直にそう言った。

 誰だ? と思うくらい、素直だ。
 少し兄として……いや、姉として認めてもらえたのだろうか?


「ジュリア、そろそろ部屋に戻りますよ。シルヴィア様も、今宵はゆっくりと休まねばなりませんから」
「そうですね。これ以上は疲れさせちゃうかな」


 俺はルカの言葉に頷いて立ち上がった。
 シルヴィアちゃんの部屋の和室も、布団が一組敷かれているだけだった。やっぱり、夫婦は同じ布団で寝るものらしい。多分、兄上の部屋もそうなんだろうな……。


 ……そういえば、兄上はどうしてるんだろう?
 この騒ぎに気付いていないのかな?


「ジュリア、少し汗をかいていますね。部屋風呂というものがあるらしいので、入りますか?」
「ん……どうしようかな……」


 なんか……さっきから下腹が気持ち悪いんだよな。
 シルヴィアちゃんが無事でホッとしたからかな……。


「どうしました? 貴方も体調が悪くなってしまったのですか?」
「いや……なんか下腹が気持ち悪くて……魔法陣のせいかな?」


 っ!!?

 俺がルカの顔を見上げて、そう言った瞬間にアソコからドロッと……何かが出た気がした。


「い、今、なんか出た!!」

 まだ、ルカとやってないからルカの精液とかじゃないよな。なんだ? 愛液か? 愛液、溜まってたとか?


 俺は慌てて浴衣を託しあげて、下着の中を覗いた。
 ルカは……俺の背後で「はしたない……」とか言いながら、眉間を押さえながら溜息を吐いてる。


「あ……血だ……」
「血……?」
「月のもの、始まったんだ……」


 あ、始まったと思うと、腹が本格的に痛くなってきた、気がする。

 俺が腹をかかえると、ルカが俺を抱き上げてくれた。


「良かったですね」
「え?」
「初潮がきたという事は、貴方の体が懐妊が可能な体になったという事でしょう?」
「あ……」

 そういう事か……。
 そうだよな……月のものがないと、妊娠出来ないんだよな。

 という事は俺は……。
 嬉しい。凄く嬉しい。

「何故、泣くのですか? そんなにも痛いのですか?」
「違う。嬉しいんだ。嬉しい……。これで、俺も本当の女の仲間入りだ。ルカの子、産める……」


 俺が泣いていると、ルカは俺を布団まで運んで、血で汚れたものを取り替えたり、血が漏れないように色々としてくれた……。

 手際の良さに感心する以上に、俺はやや引いた。


「ルカ、詳しいな……。手慣れたものじゃねぇか」
「貴方が女性になりたいと言った時から、王妃陛下に初潮が来た時の対処法を教えて頂いていたのですよ。貴方は、そういうところまで頭がまわらないと思ったので」


 うっ、確かに。
 女は月のものがあるとか、そういうの……全部忘れてた。女になれば、子が産める。そう単純にしか考えていなかった。


「ありがとう、ルカ。私だけだったら困ったと思う」
「さあ、貴方ももう寝なさい。体を冷やさないように」
「ルカ……、側にいてくれるよな? 一緒に寝て……」
「勿論です。……ですが、今宵はいつも以上に甘えん坊ですね」

 だって……腹痛いし。
 なんか月のものって、男だった俺には未知の事で不安なんだよな。

 下町に出入りしてた時、月のものの事は蚊帳の外だったな。当たり前といえば、当たり前だけど。
 でも、「私、月のものが重いんだよね」とか言いながら寝込んでる子もいた……。寝込むのは嫌だな。


 チェシリーやシルヴィアちゃんはどうなんだろう?
 月のもの、重いのかな? 軽いのかな?


 俺はそんな事を考えながら、ルカに抱きついて眠った。


◆後書き◇

 感想欄で初潮のお話が出まして、ハッとしました!( ゚д゚)ハッ! 
 なので、生理ちゃん来てみました(笑)

 因みに、ルカとジュリアは女性になってからエッチ出来てません。女になって寝込んで、元気になったところで、この旅行だったので。それなのに、ロベルトに邪魔をされたルカの心中は如何に(笑)
 なので、ジュリアちゃんはまだ処女(?)です!(`・∀・´)
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