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Chapter3
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『どうぞ入って。』
荷物を床に置き、冷たいミルクティーを2人分入れてテーブルに置いた。
『いただきます。』
彼女はまだ緊張しているようだ。私だって緊張していないわけではない。これからどうなるかわからないんだから。
一息ついた所で買ってきた物を広げて作業を始める。
『何を作るの?』
『私はある程度あなたと会話出来るけど、コウは出来ないでしょう?私がいない時間があっても困らないように道具を作るんだよ。』
『???』
『こうやって…表には英語、裏には日本語で同じ単語を書くの。あ…文字は覚えてる?』
『読めるみたい。凄い!ミミは天才だね!』
『昔英語をこうやって覚えたんだよ。』
そんな会話をしながら作業を進める。
お腹すいた、ありがとう、必要、不要…。
日常生活でよく使う単語をひたすら2人分綴っていく。
『そういえばあなたの名前は?』
彼女は黙り込んでしまった。よく見ると左右の瞳の色が少し違う。南の島の海のようなブルーと、冬の青空のようなブルー。とても綺麗だと思った。
『わかりそうなんだけれど、わからない。知ってるはずなのに思い出せないの。』
哀しそうな、辛そうな、何かを我慢しているような顔だった。
『名前無かったら呼べないね。何て呼ぼうか?』
『ミミが決めて?今日からその名前で生きてく。』
『んー。すぐには決められないよ。寝るまでに考えるね。
このノートとメモ帳は単語帳に無い言葉を伝える時に使ってね。絵なら伝わりやすいんじゃないかな?』
『ミミがいなくても大丈夫なように考えてくれたの?ありがとう。』
そんな他愛もない会話をしながら単語帳を彼女とコウの分を作り上げた所で、ようやくコウが帰ってきた。
「ただいま。荷物取りに来てー。」
玄関に向かうとコウの前には布団一式が置かれていた。
「友達が来た時用あるのに買ったの?」
そう尋ねると、得意げにコウは言う。
「それは友達の。これはこの子の。新生活始めるんだから新しいのじゃなきゃダメだよ。」
コウはコウでちゃんと考えてくれているんだと嬉しく思っていたら、彼女が凄く喜んでいた。
『これ私の?コウが買ってくれたの?嬉しい!どこに持って行ったらいい?』
上機嫌で布団を抱えて話す彼女に思わず笑顔になった。
『あなたの寝室は私の部屋を使って。こっちよ。』
かつての仕事場だった、今は趣味の部屋へと案内する。
「ミミ、俺のこと置いてけぼりにしないで。何喋ってるのか全然わかんないよ。」
怒っているような、でも彼女が喜んでるから嬉しそうな、少し困ったような顔でコウが後ろを追いかけてくる。
『ここよ。どうぞ。』
荷物を床に置き、冷たいミルクティーを2人分入れてテーブルに置いた。
『いただきます。』
彼女はまだ緊張しているようだ。私だって緊張していないわけではない。これからどうなるかわからないんだから。
一息ついた所で買ってきた物を広げて作業を始める。
『何を作るの?』
『私はある程度あなたと会話出来るけど、コウは出来ないでしょう?私がいない時間があっても困らないように道具を作るんだよ。』
『???』
『こうやって…表には英語、裏には日本語で同じ単語を書くの。あ…文字は覚えてる?』
『読めるみたい。凄い!ミミは天才だね!』
『昔英語をこうやって覚えたんだよ。』
そんな会話をしながら作業を進める。
お腹すいた、ありがとう、必要、不要…。
日常生活でよく使う単語をひたすら2人分綴っていく。
『そういえばあなたの名前は?』
彼女は黙り込んでしまった。よく見ると左右の瞳の色が少し違う。南の島の海のようなブルーと、冬の青空のようなブルー。とても綺麗だと思った。
『わかりそうなんだけれど、わからない。知ってるはずなのに思い出せないの。』
哀しそうな、辛そうな、何かを我慢しているような顔だった。
『名前無かったら呼べないね。何て呼ぼうか?』
『ミミが決めて?今日からその名前で生きてく。』
『んー。すぐには決められないよ。寝るまでに考えるね。
このノートとメモ帳は単語帳に無い言葉を伝える時に使ってね。絵なら伝わりやすいんじゃないかな?』
『ミミがいなくても大丈夫なように考えてくれたの?ありがとう。』
そんな他愛もない会話をしながら単語帳を彼女とコウの分を作り上げた所で、ようやくコウが帰ってきた。
「ただいま。荷物取りに来てー。」
玄関に向かうとコウの前には布団一式が置かれていた。
「友達が来た時用あるのに買ったの?」
そう尋ねると、得意げにコウは言う。
「それは友達の。これはこの子の。新生活始めるんだから新しいのじゃなきゃダメだよ。」
コウはコウでちゃんと考えてくれているんだと嬉しく思っていたら、彼女が凄く喜んでいた。
『これ私の?コウが買ってくれたの?嬉しい!どこに持って行ったらいい?』
上機嫌で布団を抱えて話す彼女に思わず笑顔になった。
『あなたの寝室は私の部屋を使って。こっちよ。』
かつての仕事場だった、今は趣味の部屋へと案内する。
「ミミ、俺のこと置いてけぼりにしないで。何喋ってるのか全然わかんないよ。」
怒っているような、でも彼女が喜んでるから嬉しそうな、少し困ったような顔でコウが後ろを追いかけてくる。
『ここよ。どうぞ。』
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