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第2章 君は誰?
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「え~っ?」
上の姉さんが、母親の発言に頬を膨らませる。
正直、義理の妹であるエラのことは、ほとんど覚えてはいない…
関心がない、というのもそうなのだけれど…
舞踏会以来、すっかりその姿を消して…
なぜだか、存在自体も、忘れ切っているのだ。
下の妹もそうで、
「ねぇ、よくわからない、よその女のことは、もういいじゃない」
母親のように、執念深い恨みとかがあるわけでもない。
目の前にいない人物のことなど、もう眼中にはないのだ。
娘たちの反応の薄さに、継母は余計に、イライラがつのるけれど…
当のエラのことは、ほぼ覚えてはいない。
(さすがの魔法使いも、継母の恨みつらみまでは、消すことは
出来なかったようだ…)
何しろ可愛い娘を、王子は鼻にもかけなかったために、
娘のやけ食いに拍車をかけて、見る影もなく、コロッコロに
太ったのだ。親バカフィルターを通して見ても、やはりみっともない
ことには、変わりがない。
「それよりもあなた、少しは痩せる努力をしたらどうなの?」
下の娘が、上の娘をからかう。
「アンタだって香水のかけすぎよ!
臭いったら、ありゃしない」
「何よ、あんただって!
王子様に、見てももらえなかったくせに!」
「なによ、姉さんだって!」
「キー!歯向かう気?」
いつものように、にらみ合い…(不毛なケンカだ)
今にも、つかみ合いをしそうな勢いだ。
横からスッと、かっさらった謎の女の子とは、もう忘れた。
それでも女の戦いは、日々繰り広げられ、
さすがの継母も、もううんざりしているのだ…
「いい?あんたたち!
こうなったのも、エラが王子様を、たぶらかせたせいなの!
正直顔も忘れてしまった女のことを、それでも怒りに燃えている。
ただ復讐することだけを、生きがいにして、ひそかに水面下で
動き始めていたのだ。
「とにかく今は、この状態を何とかしないと…
私たちはじきに、物乞いにまで落ちてしまうわよ」
脅すように言うと…娘たちは、激しく泣き出した。
「何とかして…この婚約パーティにうまくもぐりこむのよ!
そうしたら…あの子にうまく、近付くのよ!」
厳しい口調でそう言うと、上の娘は、涙で濡れた目を上げ、
「母さん!」
思わず母親の顏を見つめる。
「あの子の仕打ち…私は絶対、忘れないわよ!
きっと、思い知らせてやる!」
怒りに燃える、激しい口調で継母が言うと、その激しい剣幕に、
さすがに娘たちは怯えて黙り込む。
こうして継母は、昔自分に気が合ったと思われる
(本人の思い込みも、多分にあるけれど)
男たちに、片っ端から声をかけ、城に乗り込む計画を進めていた。
「確か、反王子派が、どこかに追放になった、と聞いたけれど?」
早速その噂を、昔の情夫に聞き出すと…
わが身をかえりみることなく、己の復讐の目的のため、もう1度返り咲きを
決意して、どんなこともしよう…
と、継母は心に誓うのだった。
だが王子は、そんな水面下の出来事に、気付いてはいない。
ましてや実際のところ、エラがこの世界にはいない…ということは、
王子と魔法使いと信子しか、知らない秘密であり、
まだ公にもなってはいないのだ。
この時にはまだ、暗い噂のことなど、誰も知る由もなかった…
上の姉さんが、母親の発言に頬を膨らませる。
正直、義理の妹であるエラのことは、ほとんど覚えてはいない…
関心がない、というのもそうなのだけれど…
舞踏会以来、すっかりその姿を消して…
なぜだか、存在自体も、忘れ切っているのだ。
下の妹もそうで、
「ねぇ、よくわからない、よその女のことは、もういいじゃない」
母親のように、執念深い恨みとかがあるわけでもない。
目の前にいない人物のことなど、もう眼中にはないのだ。
娘たちの反応の薄さに、継母は余計に、イライラがつのるけれど…
当のエラのことは、ほぼ覚えてはいない。
(さすがの魔法使いも、継母の恨みつらみまでは、消すことは
出来なかったようだ…)
何しろ可愛い娘を、王子は鼻にもかけなかったために、
娘のやけ食いに拍車をかけて、見る影もなく、コロッコロに
太ったのだ。親バカフィルターを通して見ても、やはりみっともない
ことには、変わりがない。
「それよりもあなた、少しは痩せる努力をしたらどうなの?」
下の娘が、上の娘をからかう。
「アンタだって香水のかけすぎよ!
臭いったら、ありゃしない」
「何よ、あんただって!
王子様に、見てももらえなかったくせに!」
「なによ、姉さんだって!」
「キー!歯向かう気?」
いつものように、にらみ合い…(不毛なケンカだ)
今にも、つかみ合いをしそうな勢いだ。
横からスッと、かっさらった謎の女の子とは、もう忘れた。
それでも女の戦いは、日々繰り広げられ、
さすがの継母も、もううんざりしているのだ…
「いい?あんたたち!
こうなったのも、エラが王子様を、たぶらかせたせいなの!
正直顔も忘れてしまった女のことを、それでも怒りに燃えている。
ただ復讐することだけを、生きがいにして、ひそかに水面下で
動き始めていたのだ。
「とにかく今は、この状態を何とかしないと…
私たちはじきに、物乞いにまで落ちてしまうわよ」
脅すように言うと…娘たちは、激しく泣き出した。
「何とかして…この婚約パーティにうまくもぐりこむのよ!
そうしたら…あの子にうまく、近付くのよ!」
厳しい口調でそう言うと、上の娘は、涙で濡れた目を上げ、
「母さん!」
思わず母親の顏を見つめる。
「あの子の仕打ち…私は絶対、忘れないわよ!
きっと、思い知らせてやる!」
怒りに燃える、激しい口調で継母が言うと、その激しい剣幕に、
さすがに娘たちは怯えて黙り込む。
こうして継母は、昔自分に気が合ったと思われる
(本人の思い込みも、多分にあるけれど)
男たちに、片っ端から声をかけ、城に乗り込む計画を進めていた。
「確か、反王子派が、どこかに追放になった、と聞いたけれど?」
早速その噂を、昔の情夫に聞き出すと…
わが身をかえりみることなく、己の復讐の目的のため、もう1度返り咲きを
決意して、どんなこともしよう…
と、継母は心に誓うのだった。
だが王子は、そんな水面下の出来事に、気付いてはいない。
ましてや実際のところ、エラがこの世界にはいない…ということは、
王子と魔法使いと信子しか、知らない秘密であり、
まだ公にもなってはいないのだ。
この時にはまだ、暗い噂のことなど、誰も知る由もなかった…
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