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第15章 ラストチャンスは突然に?

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 魔法使いに、選べ…と言われても、まだ信子は、何も答えることが
出来ない。
自分自身も、何が何だかわからない上に、
さっきこの世界に、戻って来たばかりだ、というのに、
いきなり選べとは、ずいぶん急すぎると思うのだ。
何しろまだ、記憶も定かではないし…
(自分の住んでいた家のことも、思い出せていないのだ)
「それに関しては、あなたの心の問題だと思うわ」
まるで信子の心の中が、透けて見えているかのように、魔法使いは
いきなり切り出す。
「たぶん、あなたの心の中ではきっと…思い出したくないのね」
意味深なことを言うので、余計に戸惑う信子だ。

「あっちの世界へ行った女の子って?」
 そういえば…先ほど言っていた魔法使いの言葉を、思い出す。
すると「あぁ…」と頭をかきながら、バツの悪そうな顔をする。
(おそらく、口をすべらせたのだろう)
「あの子ね、あなたによかれと思って、背中を押したんだと思うわ」
ポツリと言うと、じぃっと信子を見つめる。
「だけどあの光のトンネルは、1人しか入れないから、きっとあなたを
 弾き飛ばしたのね」
まぁ、あなたにはわからないだろうけど、と魔法使いは言い訳のように
言った。
「本来なら、1度しか使えないんだけど、まあそうは言ってもねぇ~
 その辺は、大目に見てもらったわ!
 あとでね、たんまりお説教を食らう予定だけど…
 でも、あなたたちが望むなら、このままいてもらっても、かまわないわ」
ニコリと笑って、そう言った。
 あんまりその辺のシステムは、わからないけれど…
「それは、企業ヒミツね!」
おばあさんは、楽しそうに言う。

 この人はもしかしたら、魔法使いとしては、2流なのかしら?
信子はチラリとそう思う。
「じゃあ…私の記憶って、戻らないのですか?」
やはり気になるので、心配そうに信子は聞く。
「あら?おかしいわねぇ~そろそろ戻るはずだけど?」
不思議そうな顔をする、魔法使いなのだった。
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