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∞8《インフィニティエイト》
8話 ∞8《インフィニティエイト》
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ついに、八回目のループが始まった。
スマホの画面には8月8日 8:30と表示されている。
リクから短いメッセージが届いた。
『兄貴は覚えてない。夏美から、兄貴を祭に誘え。このメッセージは読んだらすぐ消せ。兄貴に見られたら変な勘違いされる』
ループの記憶を持っているのは夏美とリクだけ。夏美は指示通りにメッセージを消して、起き上がる。
何を持ってループが終わるのかはわからないけれど、もう後悔はしたくなかった。
次の夏美が今日を覚えている保証なんて、どこにもないんだから。
顔を洗って髪を整えて、夏美は緊張しながら星野家のチャイムを押す。
玄関を開けたのは星野兄弟の母だった。
「夏美ちゃん。いらっしゃい」
「おはようございます、おばさん。二人はどうしてます?」
「ソラは部屋で勉強中。リクはランニングするってさっき出ていったわ。陸上部を引退しても走るなんて、よほど走るのが好きなのねぇ」
ソラが変に勘違いしないよう、リクが気を利かせてくれたのがわかる。
「暑いでしょ? お茶入れるから、ソラの部屋に行ってて」
「ありがとうございます」
おばさんの優しい笑顔に見送られて、夏美は階段を上がり、ソラの部屋のドアをノックした。
ソラは扉を開け、夏美がいることに驚いて目を丸くした。
昨日の夜の、疑心暗鬼で冷たくなったソラではない、いつものソラだ。
拒絶されなかったことに、安心する。
「え? 夏美? どうしたの、こんな早くに」
「ソラに話したいことがあって」
「そうだったんだ。ええと、適当に座ってよ」
ソラは慌てて、机にあった赤本を閉じた。東京大学過去問と大きく書かれたものだ。
「東大、受験するの?」
夏美が聞くと、リクは観念して過去問を見せてくれる。
ノートに書き込まれた問題は、難しすぎて夏美には一つも解けそうもない。
要点は蛍光マーカーでラインを引いてあって、フセンが何枚も差し込まれている。
夏美のシャープペンと色違いの、空色のシャープペンを握り、ソラはページをめくる。
読み込まれた赤本はくたびれていて、どれほどソラが真剣に勉強に取り組んでいたかわかる。
「………うん。天文学のこと、もっとくわしく学びたいんだ。天文学の教員なりたい。それに、僕が小さい頃星まつりで教わったみたいに、お祭に来る子どもたちに星のことを教えたい」
「いいね。ソラにすごく合ってると思う。去年の星まつりでも、先生の話すごく熱心に聞いていたもんね。ソラなら絶対、天文学者になれるよ」
「そうかな」
ソラは頬をかいて、笑う。
夏美はソラの横顔をじっと見て、ソラもまた夏美を見る。
「な、なに?」
幾度も巡るループの中で、何度も好きだと言ってくれたソラ。
いまはループの記憶を持たないソラ。
ソラであってソラじゃない、すごく不思議だ。
(私は、ソラのことをどう思ってる?)
ソラが口に出さないだけで、ソラがループの中で夏美に言ってきたことは全部ソラの本音。
七回目のソラは何も言わなかった。黙って夏美を見送るつもりだった。
たぶん、一回目のループでリクが夏美に告白しなかったら、ソラは気持ちを隠したまま終わりにするつもりだった。
このまま遠い存在になるのは、嫌だった。
「ソラ。今夜の神社お祭、一緒に行こうよ」
このループの中で初めて、夏美からソラを誘った。
お祭に行こう、それを言うだけなのにすごく緊張した。
「そうだね。新潟で過ごせるのは今日で最後だから。リクがはしゃぐのが想像できるよ」
ソラはあたりまえのように、メンバーにリクを含めている。去年のお祭まで三人で行っていたから、そう思うのは自然なこと。
ノックの音がして、ティーセットを持ったおばさんが顔を出す。
「リク、夏美ちゃんが来たんだし、ちょうどいいから休憩しなさい。はい、お茶」
「ありがとう、母さん。リクはいないんだ?」
「リクなら、この暑いのにランニングしに行ったわ。元気よね」
ソラはおぼんを受け取って、夏美を促す。
「夏美。そこ座って」
「うん」
夏美は黄色のネコクッションを抱えて、定位置に座る。
ふかふかサラサラのかわいいクッションを撫で回す。困ったことに、可愛いだけでなく手触りが良すぎて一度触ると撫でずにはいられない。
ソラは何も言わず、夏美を見て口元を震わせている。
おばさんが持ってきてくれたのは熱い紅茶と、小魚アーモンド、ももゼリーというなんとも不思議な組み合わせだ。
ソラは当たり前のように小魚を口に入れている。
「ゼリーは夏美のだから、食べていいよ。毎年この時期になるとお中元でたくさん来るんだ。うちじゃ食べないから」
大食いのリクがいてなかなか減らないのは、リクが甘い食べ物を嫌いだからだ。
子どもがいる家庭イコール甘味という図式で毎年お中元やお歳暮に甘いお菓子やジュースが届いた結果、甘い物嫌いが加速したというのは本人談だ。
「それじゃ、いただきます」
夏美はよく冷えたゼリーにスプーンを差し込んで、一口食べる。さらりとしていて美味しい。
ティーカップに添えられていたスティックシュガーを入れて、スプーンでくるくると混ぜて口をつける。
ソラは何も入れない、ストレートティーを飲む。
いつもならリクも一緒にいてさわいでいるけれど、ソラと夏美二人だけだととても静かだ。
カップを混ぜるスプーンの音がはっきりわかるくらい。
「……夏美はさ、…………その、福岡の高校を卒業したあと、なにか考えてる? 進路」
「考えたことなかった。おじいちゃんの店はお父さんたちがいればどうにかなるから、私に継げとは言わないし。やりたいこともないに大学に行くのは違うと思うし……。引っ越しのことがなかったら、地元で就活してたと思う」
引っ越しの話が出るまでは、高校を出たら地元の企業に就職して働くんだろうな。くらいぼんやりとしか未来予想図を持っていなかった。
例えば夏美の引っ越しがなかったとして、高校卒業後にソラが東京に行ったら。
(そうしたら、私はどうしていたんだろう。私には将来の夢はないから、なんとなくで決めた職場と、家を往復する毎日だったのかな。それで、ソラがたまに東京から帰ってきたら、世間話するくらい。近所のお姉さんたちが上京して全然帰ってこなくなっちゃったのと同じで)
想像してみると実に色気も味気もない日々だ。
「私は目標って言えるものがないから、ソラが夢のためにがんばってるの、すごいなって思う。かっこいいよね」
「……それなら……」
何かを言いかけたけれど、飲み込んだ。
ソラはときおり、自分の意見を言わずに終わらせる。ソラが隠そうとする何かを、聞かないといけない気がする。
「なあに、ソラ?」
「な、なんでもない」
「言ってよ」
夏美はソラの裾をつかんで、逃さないようにする。ソラは頬を赤くして、困ったように視線をさまよわせる。
「ええと、ごめん、夜になったら迎えに行くから、もう少しだけ受験勉強したいんだ」
「そっか。私が隣で話してたら、勉強に集中できないもんね」
たぶんソラが言いたかったことはこれじゃない。でも、問い詰めてもソラはきっと七回目のときのように逃げてしまう。
夏美はおとなしく引き下がった。
「それじゃあ夏美、迎えに行くのは二十時でいいかな」
「うん。わかった。また夜にね」
八月七日までの自分たちとほとんど変わらない。
なのにお互い、どこか手探り状態だった。まるで、初対面の人との会話みたいだ。
一番聞きたいことを、聞けない。
(……ループする前の私は、ソラとどうやって話していたっけ。どうするのが自然なんだろう。物心ついたときからソラと一緒にいたのに、私、ソラのこと何もわかってないんだな)
後ろ髪引かれる思いで、いったん自宅に帰った。
スマホの画面には8月8日 8:30と表示されている。
リクから短いメッセージが届いた。
『兄貴は覚えてない。夏美から、兄貴を祭に誘え。このメッセージは読んだらすぐ消せ。兄貴に見られたら変な勘違いされる』
ループの記憶を持っているのは夏美とリクだけ。夏美は指示通りにメッセージを消して、起き上がる。
何を持ってループが終わるのかはわからないけれど、もう後悔はしたくなかった。
次の夏美が今日を覚えている保証なんて、どこにもないんだから。
顔を洗って髪を整えて、夏美は緊張しながら星野家のチャイムを押す。
玄関を開けたのは星野兄弟の母だった。
「夏美ちゃん。いらっしゃい」
「おはようございます、おばさん。二人はどうしてます?」
「ソラは部屋で勉強中。リクはランニングするってさっき出ていったわ。陸上部を引退しても走るなんて、よほど走るのが好きなのねぇ」
ソラが変に勘違いしないよう、リクが気を利かせてくれたのがわかる。
「暑いでしょ? お茶入れるから、ソラの部屋に行ってて」
「ありがとうございます」
おばさんの優しい笑顔に見送られて、夏美は階段を上がり、ソラの部屋のドアをノックした。
ソラは扉を開け、夏美がいることに驚いて目を丸くした。
昨日の夜の、疑心暗鬼で冷たくなったソラではない、いつものソラだ。
拒絶されなかったことに、安心する。
「え? 夏美? どうしたの、こんな早くに」
「ソラに話したいことがあって」
「そうだったんだ。ええと、適当に座ってよ」
ソラは慌てて、机にあった赤本を閉じた。東京大学過去問と大きく書かれたものだ。
「東大、受験するの?」
夏美が聞くと、リクは観念して過去問を見せてくれる。
ノートに書き込まれた問題は、難しすぎて夏美には一つも解けそうもない。
要点は蛍光マーカーでラインを引いてあって、フセンが何枚も差し込まれている。
夏美のシャープペンと色違いの、空色のシャープペンを握り、ソラはページをめくる。
読み込まれた赤本はくたびれていて、どれほどソラが真剣に勉強に取り組んでいたかわかる。
「………うん。天文学のこと、もっとくわしく学びたいんだ。天文学の教員なりたい。それに、僕が小さい頃星まつりで教わったみたいに、お祭に来る子どもたちに星のことを教えたい」
「いいね。ソラにすごく合ってると思う。去年の星まつりでも、先生の話すごく熱心に聞いていたもんね。ソラなら絶対、天文学者になれるよ」
「そうかな」
ソラは頬をかいて、笑う。
夏美はソラの横顔をじっと見て、ソラもまた夏美を見る。
「な、なに?」
幾度も巡るループの中で、何度も好きだと言ってくれたソラ。
いまはループの記憶を持たないソラ。
ソラであってソラじゃない、すごく不思議だ。
(私は、ソラのことをどう思ってる?)
ソラが口に出さないだけで、ソラがループの中で夏美に言ってきたことは全部ソラの本音。
七回目のソラは何も言わなかった。黙って夏美を見送るつもりだった。
たぶん、一回目のループでリクが夏美に告白しなかったら、ソラは気持ちを隠したまま終わりにするつもりだった。
このまま遠い存在になるのは、嫌だった。
「ソラ。今夜の神社お祭、一緒に行こうよ」
このループの中で初めて、夏美からソラを誘った。
お祭に行こう、それを言うだけなのにすごく緊張した。
「そうだね。新潟で過ごせるのは今日で最後だから。リクがはしゃぐのが想像できるよ」
ソラはあたりまえのように、メンバーにリクを含めている。去年のお祭まで三人で行っていたから、そう思うのは自然なこと。
ノックの音がして、ティーセットを持ったおばさんが顔を出す。
「リク、夏美ちゃんが来たんだし、ちょうどいいから休憩しなさい。はい、お茶」
「ありがとう、母さん。リクはいないんだ?」
「リクなら、この暑いのにランニングしに行ったわ。元気よね」
ソラはおぼんを受け取って、夏美を促す。
「夏美。そこ座って」
「うん」
夏美は黄色のネコクッションを抱えて、定位置に座る。
ふかふかサラサラのかわいいクッションを撫で回す。困ったことに、可愛いだけでなく手触りが良すぎて一度触ると撫でずにはいられない。
ソラは何も言わず、夏美を見て口元を震わせている。
おばさんが持ってきてくれたのは熱い紅茶と、小魚アーモンド、ももゼリーというなんとも不思議な組み合わせだ。
ソラは当たり前のように小魚を口に入れている。
「ゼリーは夏美のだから、食べていいよ。毎年この時期になるとお中元でたくさん来るんだ。うちじゃ食べないから」
大食いのリクがいてなかなか減らないのは、リクが甘い食べ物を嫌いだからだ。
子どもがいる家庭イコール甘味という図式で毎年お中元やお歳暮に甘いお菓子やジュースが届いた結果、甘い物嫌いが加速したというのは本人談だ。
「それじゃ、いただきます」
夏美はよく冷えたゼリーにスプーンを差し込んで、一口食べる。さらりとしていて美味しい。
ティーカップに添えられていたスティックシュガーを入れて、スプーンでくるくると混ぜて口をつける。
ソラは何も入れない、ストレートティーを飲む。
いつもならリクも一緒にいてさわいでいるけれど、ソラと夏美二人だけだととても静かだ。
カップを混ぜるスプーンの音がはっきりわかるくらい。
「……夏美はさ、…………その、福岡の高校を卒業したあと、なにか考えてる? 進路」
「考えたことなかった。おじいちゃんの店はお父さんたちがいればどうにかなるから、私に継げとは言わないし。やりたいこともないに大学に行くのは違うと思うし……。引っ越しのことがなかったら、地元で就活してたと思う」
引っ越しの話が出るまでは、高校を出たら地元の企業に就職して働くんだろうな。くらいぼんやりとしか未来予想図を持っていなかった。
例えば夏美の引っ越しがなかったとして、高校卒業後にソラが東京に行ったら。
(そうしたら、私はどうしていたんだろう。私には将来の夢はないから、なんとなくで決めた職場と、家を往復する毎日だったのかな。それで、ソラがたまに東京から帰ってきたら、世間話するくらい。近所のお姉さんたちが上京して全然帰ってこなくなっちゃったのと同じで)
想像してみると実に色気も味気もない日々だ。
「私は目標って言えるものがないから、ソラが夢のためにがんばってるの、すごいなって思う。かっこいいよね」
「……それなら……」
何かを言いかけたけれど、飲み込んだ。
ソラはときおり、自分の意見を言わずに終わらせる。ソラが隠そうとする何かを、聞かないといけない気がする。
「なあに、ソラ?」
「な、なんでもない」
「言ってよ」
夏美はソラの裾をつかんで、逃さないようにする。ソラは頬を赤くして、困ったように視線をさまよわせる。
「ええと、ごめん、夜になったら迎えに行くから、もう少しだけ受験勉強したいんだ」
「そっか。私が隣で話してたら、勉強に集中できないもんね」
たぶんソラが言いたかったことはこれじゃない。でも、問い詰めてもソラはきっと七回目のときのように逃げてしまう。
夏美はおとなしく引き下がった。
「それじゃあ夏美、迎えに行くのは二十時でいいかな」
「うん。わかった。また夜にね」
八月七日までの自分たちとほとんど変わらない。
なのにお互い、どこか手探り状態だった。まるで、初対面の人との会話みたいだ。
一番聞きたいことを、聞けない。
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