触れたくて触れられない

prologue

始まりの物語

''サラサラの金髪。
中性的な見た目。
そして、生まれながらの青い瞳。''

何だ、この漫画みたいな設定は、と思うかもしれないが、これが一般の人から見た俺の印象だ。そして、コレ等は全部母譲りのモノに過ぎなかったが、俺の中で大きな武器となって生かされた。


アイドルとして。
もう一人の橘　春が。
シユンが。
アイドルグループ「splash！」が生まれる。


俺は、アイドルになった。
その先のかけがえのない未来を目の当たりにするとも知らずに。



この話は、小さな秘密を抱えたアイドルが、とあるイケメンに、ある日突然溺愛され始める、波乱万丈のラブストーリーである。


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『今日は俺達のライブに来てくれてありがとう！』

楽しんでいってくれ、という大きな掛け声を合図にワアッと大きな歓声が響き渡る。メンバー三人と同時にアイコンタクトを取ったタイミングで、勢いよくジャンプをした瞬間、会場は一気に声と光に包まれた。


『最高に楽しいトキをありがとう！』


自分達の掛け声が引き金の様に、次の瞬間、パンッと大きな破裂音と共に銀テープが雨の様に降ってくる。舞台から姿を消す前に見たファンの人達の目は、スポットライトの光でキラキラと輝いていた。


これが、俺の人生。
アイドルの自分達だけが、日々見る事の出来るキラキラした景色だ。