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華やかな城下町
48.ズューゼの意味
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彼の言葉に出てきた『マイン』は、「私の」という意味だと言われて、最初は英語なの?とも思った。
けれど、『ズューゼ』なんて単語は、ここへ来るまでの人生のなかで、おそらく一度も聞いたことがない。
それに、そもそもこの国は英語圏っぽくない。
街並みを見るまではわからなかったけれど、この街はTHEヨーロッパ、スイスとかドイツとかあのあたりの田舎みたいな様子をしている。レンガ造の四角い建物に中央が三角形の屋根、煙突からは煙が出ていたり、石畳の坂道があったり。家の半分以上がツタでおおわれている家や、大きな房の藤の花が咲いている家、赤ずきんちゃんの絵本で見たような白樺の木だってある。
服も、食べ物もそう。この間市場で見かけた女性達は大抵ワンピースだったし、男性は襟のないシンプルなシャツにベストやベルトを締め、同系色のパンツと革のブーツを履いている服装の人が多かった。
城内ですれ違うことのある貴族と呼ばれる人たちは、もう少し派手で華美だけれど、やっぱりワンピースのようなドレスとジャケットの組み合わせの男女が多く、図書館で見た名作劇場のアニメ本から出てきたような見た目で。
カタリナやサーシャはもちろん黒色のシンプルなロングワンピースで、給仕してくれる時は白いエプロンを着けている。それに加えて食事も大体、煮込んだ野菜のスープと白いパン、果物が出てくることが多いから、私の中ではヨーロッパのイメージをしてしまう。実際に行ったことはなくて、海外ドラマや洋画で時々見かけたなぁ、程度の知識だけれど。
ただ、一部の人に魔法が仕えたり、私は日本語を話しているつもりなのに意思疎通が出来たり、見た感じただのタトゥーなのに、人体へ影響のある淫紋が身体に刻まれていたり…考えたらきり無いくらいの違和感がある。
こっちへ来て、昼間働いてる頃よりも大人しくしてるはずなのに、想定もしていなかったことがどんどん起きて。深く考えてはいなかったけど、こういう違和感と言葉で感じるギャップが、まさに[異世界転生物語]というやつなんだなぁという言葉に行きついた。
「…わかったかい?マリ。」
目を輝かせ、ニコニコと笑顔を浮かべているこのハイド様に、ついつい妄想癖がはたらいて、ズューゼの意味を考えるのを止めてしまっていました!とは…言え、ない…。
「まだちょっと…悩んでいます。猫とか、犬とか、そういうのではなさそうですし…。」
自分が猫とか犬とか言われる想像はつかないしね、と心の中でつぶやく。
「なるほど。カッツェン、ヒュントヒェン…まぁ悪くはないね。それでいうと僕は君のハーゼ、うさぎってとこかもしれないね。」
うさぎ!?むしろ私からしたら貴方は銀色の狼なのに…例え方が不思議な国だ。
「まぁでも、簡単なものほど難しいかもしれないね…………僕の、可愛い人。」
「あ!………ズューゼって、もしかして、そういうことですか?もう…。」
「正解。でもこれはもう、僕が答えを言っただけだからなぁ。」
毎回可愛いと言われていたのだと自覚すると、急に照れが込み上げる。顔に血が巡ってきて、首から上が赤いのが自分でもわかるほど、恥ずかしい。
「当たらなかった君には、軽いお仕置きだよ。」
どこから取り出したのかわからない、いつもの、私のリボンのパンティを手に取り、リボンを腰に巻いて履かされると、いつもとは違う股の感覚になった。履くまでは特に違う雰囲気は感じなかったのに、どうしてかいつもより気持ちいいところに刺激が集まっていて、少し身動きを取るだけで紐が食い込んでくる。
「……ピアスを通したところから、結び目を作ってあるから、それに愛されながら、そのまま朝までお休み。」
まだあと数刻はあるだろうからね、と声をかけた彼は、茶目っ気のある笑みでシーツを引き上げ、私を寝かしつけようとした。
「待って、ハイド様っ、私こんなの眠れない…」
寝返りを打つたびに絶対感じてしまうし、えっちな夢を見てしまうんじゃないかという不安が募る。隣に彼がいるのに、そんな夢を見てしまったら、恥ずかしくて顔も見れなくなりそうだ。
どうにか外してくれないかと懇願してみたが、彼はそれを外して眠ることを、許可してはくれない。それどころか、普段よりも何倍も甘い口付けと羽根のような愛撫で全身を蕩けさせてきて…結局また眠りにつくまでかなりの時間をかけてしまった。
けれど、『ズューゼ』なんて単語は、ここへ来るまでの人生のなかで、おそらく一度も聞いたことがない。
それに、そもそもこの国は英語圏っぽくない。
街並みを見るまではわからなかったけれど、この街はTHEヨーロッパ、スイスとかドイツとかあのあたりの田舎みたいな様子をしている。レンガ造の四角い建物に中央が三角形の屋根、煙突からは煙が出ていたり、石畳の坂道があったり。家の半分以上がツタでおおわれている家や、大きな房の藤の花が咲いている家、赤ずきんちゃんの絵本で見たような白樺の木だってある。
服も、食べ物もそう。この間市場で見かけた女性達は大抵ワンピースだったし、男性は襟のないシンプルなシャツにベストやベルトを締め、同系色のパンツと革のブーツを履いている服装の人が多かった。
城内ですれ違うことのある貴族と呼ばれる人たちは、もう少し派手で華美だけれど、やっぱりワンピースのようなドレスとジャケットの組み合わせの男女が多く、図書館で見た名作劇場のアニメ本から出てきたような見た目で。
カタリナやサーシャはもちろん黒色のシンプルなロングワンピースで、給仕してくれる時は白いエプロンを着けている。それに加えて食事も大体、煮込んだ野菜のスープと白いパン、果物が出てくることが多いから、私の中ではヨーロッパのイメージをしてしまう。実際に行ったことはなくて、海外ドラマや洋画で時々見かけたなぁ、程度の知識だけれど。
ただ、一部の人に魔法が仕えたり、私は日本語を話しているつもりなのに意思疎通が出来たり、見た感じただのタトゥーなのに、人体へ影響のある淫紋が身体に刻まれていたり…考えたらきり無いくらいの違和感がある。
こっちへ来て、昼間働いてる頃よりも大人しくしてるはずなのに、想定もしていなかったことがどんどん起きて。深く考えてはいなかったけど、こういう違和感と言葉で感じるギャップが、まさに[異世界転生物語]というやつなんだなぁという言葉に行きついた。
「…わかったかい?マリ。」
目を輝かせ、ニコニコと笑顔を浮かべているこのハイド様に、ついつい妄想癖がはたらいて、ズューゼの意味を考えるのを止めてしまっていました!とは…言え、ない…。
「まだちょっと…悩んでいます。猫とか、犬とか、そういうのではなさそうですし…。」
自分が猫とか犬とか言われる想像はつかないしね、と心の中でつぶやく。
「なるほど。カッツェン、ヒュントヒェン…まぁ悪くはないね。それでいうと僕は君のハーゼ、うさぎってとこかもしれないね。」
うさぎ!?むしろ私からしたら貴方は銀色の狼なのに…例え方が不思議な国だ。
「まぁでも、簡単なものほど難しいかもしれないね…………僕の、可愛い人。」
「あ!………ズューゼって、もしかして、そういうことですか?もう…。」
「正解。でもこれはもう、僕が答えを言っただけだからなぁ。」
毎回可愛いと言われていたのだと自覚すると、急に照れが込み上げる。顔に血が巡ってきて、首から上が赤いのが自分でもわかるほど、恥ずかしい。
「当たらなかった君には、軽いお仕置きだよ。」
どこから取り出したのかわからない、いつもの、私のリボンのパンティを手に取り、リボンを腰に巻いて履かされると、いつもとは違う股の感覚になった。履くまでは特に違う雰囲気は感じなかったのに、どうしてかいつもより気持ちいいところに刺激が集まっていて、少し身動きを取るだけで紐が食い込んでくる。
「……ピアスを通したところから、結び目を作ってあるから、それに愛されながら、そのまま朝までお休み。」
まだあと数刻はあるだろうからね、と声をかけた彼は、茶目っ気のある笑みでシーツを引き上げ、私を寝かしつけようとした。
「待って、ハイド様っ、私こんなの眠れない…」
寝返りを打つたびに絶対感じてしまうし、えっちな夢を見てしまうんじゃないかという不安が募る。隣に彼がいるのに、そんな夢を見てしまったら、恥ずかしくて顔も見れなくなりそうだ。
どうにか外してくれないかと懇願してみたが、彼はそれを外して眠ることを、許可してはくれない。それどころか、普段よりも何倍も甘い口付けと羽根のような愛撫で全身を蕩けさせてきて…結局また眠りにつくまでかなりの時間をかけてしまった。
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