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それは月夜の晩に

95.まだ知らないところ*

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「…っあ…恥ずかしい…です…。」

 膝と膝を擦り合わせて彼の視線から隠そうとすると、その間に彼の膝が入り込み、マリの秘部を緩く刺激し始めた。

「ズューゼ、恥ずかしがる必要はないよ。
 爪の先まで愛して、溶かしてあげる。」

 脚と肩で体を支えてはいるものの、彼の膝先にコリコリと刺激され続けると腰の震えは止まらない。

「おや、もう快感を見つけたのかな?
 僕の手はまだ何もしていないのに…。」

 惚けたハイデルは両手を肩のあたりにあげてヒラヒラと動かすけれど、足を震わせているのを止めてくれないと会話ができないほどに、彼からの刺激が気持ちよくて仕方ない。

 胸を上へ高く持ち上げる様な体制になってしまうけれど、それでも止めてもらえないと、だんだん絶頂が近づいてくる。

「ひぁ…っあぁらめ、ハイド、さ、まっ、いっちゃう、…いっちゃうぅっ……っ!」


 両方の太ももから爪先まで力が入り、脚をM字に開脚する形で腰を高く上げそうになったけれど、絶頂のギリギリ手前でそっと刺激が止まった。

「…まだだよ、マリ。
 果てる時はちゃんとおねだりして。」

 与えられた刺激で素直にイきたくて、頭をこくこくと動かすと、ハイデルはいい子だと言って、甘い口付けをたくさんくれた。

 私だけが裸に近い格好なのがちょっと恥ずかしくなってきて、小さなシェルのボタンに手をかけてプチプチと外していくと、前よりもさらにしっかりと割れた胸板が目に入ってきた。

「何か、運動して…鍛えられたのですか…?」

「あぁ…初めは君を奪い返すために鍛えていただけだったのだけど、最近は変化が見えるのが楽しくなってきてね。

 君が見惚れてくれるなら、鍛えた甲斐もあったというものだな。」

 ボタンを全て外したシャツはさっとベッドサイドに投げられ、かちゃかちゃと金具を外してスラックスとタイトな下着は、膝立ちした彼の足元まで下ろされた。

 見覚えのあるしっかりとした太さのそれは、ギチギチと音がしそうなほどに血液を蓄え、時々ひくひくと跳ねる。ピンク色の先端からは透明な液体がつつつと滴り、ぽたん、と一滴シーツに雫を落とした。

「もう、こんなになってたんですね…。」

 彼が欲情しているという事実に、マリの下腹部もヒクヒクと反応してしまう。舐めてあげたいと思い、手を伸ばしながら体を少し起こすともう一度押し倒され、顔の横に膝立ちになったハイデルの陰茎がそっと口元に差し出された。

顔を寄せて先端にキスをし、溢れる液を舌先で舐め取ってから、ぱっくりと広がる小さな穴をちゅうっと吸った。

「っく…あぁ……っ」

 私の頭を撫でながら、眉間に皺を寄せて快感に素直になっているハイド様は、以前と変わらず可愛いのに、鍛えていると言っていたせいか色気が増している。

 先端を舌先でちろちろと舐めていると、彼の腰が揺れ、私が動かそうとせずとも口の中を侵されてゆく。時折ぐっと顔を抑えられて喉の奥を責められるけれど、それすらも愛おしくて子宮がきゅうっと反応し、ぞくぞくとする。

 何度目かの喉奥へのピストンを受けると、ドロドロになった唾液がどろりと溢れ出し、ハイデルのそそり立つそれを、ぐちゃぐちゃに汚した。

「ハイド様…気持ちいいですか?」
「あぁ、すごく…良い。上手だよ。」

 彼の手は私の秘部にそっと触れ、膨らんだ双丘の間の筋を、指先でカリカリと引っ掻く様に撫でる。時折とても好いところに当たって、背筋にびりびりと電気が走る様に細かく痙攣してしまった。

 白い布にじんわりと滲みが出来てきたことを目視した彼は、にやっと口元を歪めながら私の腰元に手をかけ、そのままするりと左右のリボンを解く。

 3年前、ハイデルがマリにつけた枷はずっとそのままで、マリの体も、心も縛り続けていた。彼に愛されていたと自覚できるものが体に残っていたことも、きっと彼に恋し続けられた理由のひとつかもしれない。

 実は1人でどうしても耐えられなくなった夜、何度かそれを弄ることで彼を思い出して、熱くなった身体を慰めたこともあるけれど、それは内緒。

「まだ、つけていてくれたのか……」

 とても嬉しそうに、あぁ…と呟いたハイデルは、クリトリスを貫通しているその立ち上がったピアスを、長い舌で一度ぺろりとゆっくり舐め上げた。

「んあ…っ!だって、ずっとつける、って約束…しました、あぁっ!」

 舌の中央でやんわりと包み込まれた後、舌先でチロチロとクリトリスそのものを中心に責められると一気に快感が広がって、視界がチカチカと輝きだした。

「あっあっあっあっ、ゃぁ、めぇ…っぁぁあ!!」

 こんな弱い静止で責めを止めてくれるはずもなく、ふふふ、っと笑いながら彼はふっくらと主張した角ばかりを執拗に責めあげる。

「…あっあぁ、んっ…んんんっ…あぁぁっ!
 あぁん…っだめ、ハイド様っ…イっちゃいそぅ…!あっだめ、だめ…っイっちゃうからぁっ!」
「ふふ、おねだりとしては30点だけど……可愛いからよしとしようか。」

 一度責めを止めてくれた彼は、次は頑張るんだよ、とおでこにキスをした後、一度自分の前髪を掻き上げてから、秘部から溢れた蜜を指で掬って核を艶やかに濡らすと、ピアスの刺さった根本を親指の先で潰す様に、くちゅくちゅくちゅっと小さく円を描いた。

「っきゃぁぁっ!!!あっ…あぁぁ…
 イ、いいっ、イく、イくぅ…っく……っ……っはぁっ」

 舌よりも強く一気に襲いくる快感に耐えられるはずもなく、マリのナカは存在を主張する様に痙攣し、下腹部がびくびくと揺れ動くのを見ていたハイデルが、ニィッと悪い顔をしてそっと手を下腹部に当てた。

「君はここも…気持ちいいのかな?」

 中指と人差し指で、さっきヒクヒクとしていたところを上からギュッ、と抑えられると、膣がビクビクっと歓喜で跳ねるのがわかる。

「んんんんっ!なにこれぇ…?…っきもち、い…」
「さぁ…なんだろうね?」

 片手で私の下腹部を抑えたまま、彼はその長い舌で開いている方の手の指をぺろりと舐め上げ、そのとろりと濡れた指が2本、秘部へとゆっくり侵入してきた。

「あ、あぁん……ん、んぅ……」
「滑りはなかなかだが…とてもきつい、な…」

 硬く長いその指は、何度も入口を出入りし、ナカのディテール一つ一つを確かめる様に撫で回す。入り口からすぐの少し上にある気持ちいいポイントを通ると、その瞬間にナカがぎゅぎゅぎゅぎゅ…と彼の指をさらに締め付けていく。

 女子の指先では届かない気持ちのいいところをつーっと撫で、上から押さえつけた手と一緒に、お腹の内側の快感が押し寄せるそのポイントを捕えると、頭が真っ白になり体がガクガクと震えだし、そのまま押さえつけられている感覚と自分の震えで、気付く間も無く絶頂してしまった。

 急に強烈な快感が腰にぶち当たり、脳で考える暇もなく強制的にイかされたという感覚になる程、一気に押し寄せる力、怖くなるほどの快感。

 しばらく下半身の痙攣が治らないだけでなく、これまで考えていたことがスポッと抜けてしまった様に、今はもうハイド様とのことしか考えられない。

「あぁ…やっぱり君は本当に可愛い…。
 おねだり出来なくなるほどの快感を見つけるなんて、天才的だよ。」

 何を言っているかもよくわからないけれど、褒められたのが嬉しくて手を伸ばし、長い時間ぎゅうーっと抱きしめてもらった。

 ハイデルの体もしっとりと汗ばんでいて、ふたりの肌はとても暖かい。抱きしめられている間にマリの感覚もだんだんと戻って来て、もっともっと肌を重ねたいと欲張る様な気持ちも出てくる。

 この3年ほどの間、誰かに抱かれたいと思わなかったのは、やっぱりハイデルじゃなきゃ満足できないのだと、頭に刻みつけられていたからなのだろうか。


「ねぇ、ハイド様……。
 私、こっちも…そのままなんです。どうか、その手で触れてください。」

 自分で後ろのホックを外し、ブラをベッドサイドへ落とす。コルセットはだいぶ短めのタイプで、編み上げの紐が面倒だったので、もうそのまま。

 以前よりだいぶ大きく、ぷっくりとしたお椀型に膨らんだその乳房の中央には、しっかりと乳頭を立たせる様に突き刺さる金のピアスが今も残っていた。つけられた時よりも何サイズも大きくなったその胸は、内側からピアスを圧迫して触感を敏感にさせ、ピンク色に染まった乳頭を無理やり表に主張させている。

「なるほど。だいぶ成長した様だな…?」

 少し不服そうに話しながらも、ハイデルは両手で下から支える様に持ち上げる。左胸の先端を唇で吸い上げて弄ばれた後、前歯でピアスごと甘噛みをされると、ビリビリとした快感は胸の中心を通って、マリの全身へ巡っていく。

 思わず、快感に合わせて体がきゅっと丸くなりそうになったのを感じたのか、唇を離したハイデルはあえて両手で先端のピアスに指を引っ掛け、上へ伸びる限界まで摘みあげた。

「っあぁぁぁぁっ!取れちゃうっ!取れちゃう!」

 強引に身体を開かれ、肩とつま先で体重を支える様な体制になると、彼はまた胸をしつこく弄り、それだけで達してしまうまで、マリをキャンキャンと鳴かせ続けた。
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