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10:再始動
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雫を送り出すと、モノトーンで揃えた部屋は一気に広さを増した。いつもと変わらない日常のはずなのに、部屋がこんなに広く物足りなく感じたのは初めてだ。住み始めてもう5年近くになるというのに、自分の部屋が殺風景なこと、に今更気づくなんて。
キッチンにある揃いのマグの色は新鮮で、見つめていると思わず口角が上がった。雫の喜んでいた顔が脳裏に浮かぶ。恋人の一挙手一投足を見つめていたいと思うなんて、普段の自分からしたら考えられないほどの執着だ。
「おいリュウ。きめえ顔してんぞ」
「は?」
エレベーターを上がってきた多田は、大きめのギターバッグを背負っている。汗だくなところを見ると、駅から歩いてきたんだろう。
「一応、メールに書いてあったアコギは持ってきた」
「お、さんきゅ」
「あのさ……あんま口出したくないけど、お前あの子連れ込んだろ。こないだの写真のミューズ」
「……」
誰にも見せるつもりなどなかったのに、なぜ雫を知っているのか。まさか自分の知らないところで会っている?自分でもコントロールできない苛立ちが沸々と湧く。
「あーいや実は……展示会で隆介の写真見た瞬間に顔色変えて『この写真の撮影者、今日ここに来ますか?!』って言うからさ。俺、教えちゃったんだよね……」
隆介が軽く睨むと、多田は目を泳がせた。
苦笑いしながら頭を書く仕草は、多田が気まずい時にやるお決まりのやつだ。
「でもさぁ。粘着ファンかと思って電話したんだけどお前出ないしさ。それで落ち込んでたら、今度は撤収できないとか言うじゃん?そんで、片付けて写真持って行こう!と思ったら、スタイリストに女物用意させろとかメールくるし?心配になって念の為確認に家来たら、女の子と寝てるしさ!もうびっくりだよ俺は!」
多田は元々口数が多い。それにしても多すぎるけれど、今日ばかりは腕を組んで、うんうんと聞くふりをする。
「お前が元々悩んでるのは知ってたけど、いつまでも話てくんねえと思ったらいつの間にか海外行ってるし、仕事再開してもバンド曲は待たせっぱなし……かと思えば新譜できてるし、俺の感情はもうごっちゃごちゃだよ!」
息継ぎもせずに早口で捲し立てた多田は目を潤ませながら、ゼエゼエと肩で息をした。なんだかんだ言ってもこいつは戦友だ。大学の頃から、喧嘩をしながら互いに高め合ってきた大事なビジネスパートナーで、一番の理解者でもある。
「多田、ありがとな」
「……おう」
「あのさ」
「……なんだよ」
「ライブ、やろうぜ」
「……おう」
卒業後はバンド以外のこともしてみたいというメンバーの意向もあり、配信メインの覆面バンドとして活動している。大学2年から初めてもう16年。音楽を専業にしているのは隆介とマネージャー兼社長として動いてくれている多田だけ。
つまり……極論、土日ならなんとかなるってわけだ。
「来月15日、ZIP TOKYO、スタンディングでワンマン」
「……は?」
「こないだZIPの支配人から連絡あって、穴空いたって」
「……いやいや待て、3人のスケジュール調整できるかわかんないし、お前そもそも最近歌ってなくね?」
「最近ってか1年半かな。スケジュールは……とりあえず丸1日空けとけってメールしてある」
「おう、それ俺の仕事な」
「最近ちゃんとした仕事してなかったから、お前のこと驚かせたくて」
「いやそりゃ驚くけどさ……」
「俺らの音楽、やろうぜ」
「……おう」
多田は持ってきた荷物を全て足元に置いたまま、潤んだ目で隆介を見た。唇を一文字に結び、わなわなと肩を振るわせながら、その目線は何かを伝えようと必死だ。
「俺、男は慰めねーよ?」
「うっせえ。こっちだって泣きたくて泣いてんじゃねーんだよ」
「……だっさ」
「仕方ねえだろ……俺、今日呼び出された時、遂に活動終了かと思ってたんだぞ……」
今まで、男の泣き顔を見てもグッとくることなんてなかった。なのになんとなく胸が熱いのは、なぜだ。胸ぐらを掴まれるような感覚があるのは、俺も多少、情に流されるようになったってことか。
「ごめんて」
「新譜の進捗、どうなんだよ」
「全曲新曲でもいける」
「フルパワー復活かよ。えっぐ……」
「復活ってか、成長?進化?」
「っざけんな。心配して損した」
「泣いたり笑ったり忙しいな、お前」
「お前のせいだろうがよ!……もっと、忙しくさせろよ」
「……おう」
ティッシュを箱ごと差し出すと、多田は何枚も取り出して一気に涙と鼻水を拭いた。拳を前に差し出すと、同じように突き返してきた。
◇◇◇
「というわけで、集まってもらったんだけど、実際どうよ」
「いいじゃん、再始動ライブ」
「せっかくだし顔出ししてもいいんじゃね?話題性あるし」
「お前ら、仕事平気なの?」
「まぁ……歯医者なんてあんま顔覚えられてないしなぁ」
「俺はドラムしててもほぼ見えないし、いいよ」
「俺も、ライブやれんならそれが一番」
自分のせいで集まれていなかったとはいえ、元々は仲のいい友人同士。すぐに再会を喜びあい、再始動に向けて準備が進んだ。
ライブは最小限のセットを組み、前後する日程のバンドと同じ舞台配置にすることで予算を抑える。グッズはTシャツのみの販売でチケットは基本前売り、残れば当日券あり。広告は基本打たず、ライブ当日まで1週間ごとに新譜を配信して様子を見る。
「セトリ※、どうする?」
(※セットリストの略。演奏曲順のこと)
「ひとまず定番曲と、最新4曲じゃね?」
「あと一曲入れたいのあるんだけど、アンコールで入れていい?」
「もうデモ※できてんの?」
(※デモテープの略。関係者に曲の概要を知ってもらうために作った音源)
「あと俺が歌うだけ。歌詞でちょっと悩んでる」
「ならそれ聞いてからでもいいんじゃ……」
「いやー、うちの無敵のボーカル様がそういうなら、入れるしかねーだろ」
「ま、それもそうだな」
「ありがと。曲順は3人に任せるわ」
「了解。新譜、よろしくな」
「ん、任せろ」
俺たちは元々全く違う性格だから、こうなると早い。演出、制作スタッフの手配、デザインなど、それぞれが自分の得意分野と役割を自覚しているから、一瞬で物事が決まっていく。
「リュウ、マジで顔出していいの?お前、生活変わるかもよ?」
「3人がいいなら」
「じゃ、じゃあ……告知するからな!」
「わかった」
多田は関係各所へ幾つかの点を確認してから、SNSにライブ情報を掲載した。
「20XX年 5月15日 ZIPP TOKYOワンマンLIVE 決定!」
多田がSNSに投稿して数秒で、全員のスマホが一斉に鳴り始めた。あっという間に情報が拡散し、メンバー個人への連絡が殺到する。他ミュージシャンからのおめでとうという素直なものから、昔一瞬飲み屋で顔を合わせた女性から「チケット用意してほしい」という話まで、大体数百の連絡が一瞬で入る。
多田のところへは音楽雑誌や映像媒体からの問い合わせが集中したようで、ひっきりなしに電話を取ってはお礼とスケジュール調整を始めた。
「っはは!懐かしいな、このスマホ熱くなる感じ」
「うるさいから電源切ろうぜ」
「あ、俺んち、嫁も親も来るってさ」
「お前んとこ、マジで毎回くるよな」
「ありがてーじゃん。ぶちかまそうぜ」
拳を前に出すと、残りの3人も拳を突き合わせて笑い合った。
俺たちのバンドには、根強いファンがいる。前回のライブは3年前のアリーナツアー。そこからはアルバムを出すわけでもなく、新曲もSNSもしばらく更新していない。
ライブなんて本当に久しぶりだ。アリーナツアーならもっと早く企画を開始しないと間に合わないけれど、この規模ならやれると踏んだ。1ヶ月前なんて音楽業界からすれば直前もいいところだけれど、やると決めたからには全力で成功させると誓った。
「で、隆介はまたどうして急にやる気になったんだよ」
「そうそう!それ一番気になるよな!」
「女に振られてやっと復活したとか、そんな感じ?」
三人は興味津々でこっちを覗き込む。結婚したやつも、本業の医院を独立させた奴もいるのに、根っこは変わらない。少し歳を重ねただけの、大学生のままだ。
「実はさ……あの大きい仕事の後、しばらく燃え尽きた感じだったんだよね、俺」
一度深呼吸をして、雫の笑顔を思い浮かべた。あの笑顔があれば、自分は自分らしい生き方のままで音楽を続けられると思った。
今まで黙っていたことを晒すことはとても苦しい。
それでも、同級生だからこそプライドが邪魔して言えなかったこと、自分が落ち込んでいると認めたくなくて意地を張っていたこと……そしてそれを乗り越え、今はいい環境で曲を作れていることを話すと、三人はやっと話してくれたと言って肩を叩いて喜んだ。
キッチンにある揃いのマグの色は新鮮で、見つめていると思わず口角が上がった。雫の喜んでいた顔が脳裏に浮かぶ。恋人の一挙手一投足を見つめていたいと思うなんて、普段の自分からしたら考えられないほどの執着だ。
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多田は元々口数が多い。それにしても多すぎるけれど、今日ばかりは腕を組んで、うんうんと聞くふりをする。
「お前が元々悩んでるのは知ってたけど、いつまでも話てくんねえと思ったらいつの間にか海外行ってるし、仕事再開してもバンド曲は待たせっぱなし……かと思えば新譜できてるし、俺の感情はもうごっちゃごちゃだよ!」
息継ぎもせずに早口で捲し立てた多田は目を潤ませながら、ゼエゼエと肩で息をした。なんだかんだ言ってもこいつは戦友だ。大学の頃から、喧嘩をしながら互いに高め合ってきた大事なビジネスパートナーで、一番の理解者でもある。
「多田、ありがとな」
「……おう」
「あのさ」
「……なんだよ」
「ライブ、やろうぜ」
「……おう」
卒業後はバンド以外のこともしてみたいというメンバーの意向もあり、配信メインの覆面バンドとして活動している。大学2年から初めてもう16年。音楽を専業にしているのは隆介とマネージャー兼社長として動いてくれている多田だけ。
つまり……極論、土日ならなんとかなるってわけだ。
「来月15日、ZIP TOKYO、スタンディングでワンマン」
「……は?」
「こないだZIPの支配人から連絡あって、穴空いたって」
「……いやいや待て、3人のスケジュール調整できるかわかんないし、お前そもそも最近歌ってなくね?」
「最近ってか1年半かな。スケジュールは……とりあえず丸1日空けとけってメールしてある」
「おう、それ俺の仕事な」
「最近ちゃんとした仕事してなかったから、お前のこと驚かせたくて」
「いやそりゃ驚くけどさ……」
「俺らの音楽、やろうぜ」
「……おう」
多田は持ってきた荷物を全て足元に置いたまま、潤んだ目で隆介を見た。唇を一文字に結び、わなわなと肩を振るわせながら、その目線は何かを伝えようと必死だ。
「俺、男は慰めねーよ?」
「うっせえ。こっちだって泣きたくて泣いてんじゃねーんだよ」
「……だっさ」
「仕方ねえだろ……俺、今日呼び出された時、遂に活動終了かと思ってたんだぞ……」
今まで、男の泣き顔を見てもグッとくることなんてなかった。なのになんとなく胸が熱いのは、なぜだ。胸ぐらを掴まれるような感覚があるのは、俺も多少、情に流されるようになったってことか。
「ごめんて」
「新譜の進捗、どうなんだよ」
「全曲新曲でもいける」
「フルパワー復活かよ。えっぐ……」
「復活ってか、成長?進化?」
「っざけんな。心配して損した」
「泣いたり笑ったり忙しいな、お前」
「お前のせいだろうがよ!……もっと、忙しくさせろよ」
「……おう」
ティッシュを箱ごと差し出すと、多田は何枚も取り出して一気に涙と鼻水を拭いた。拳を前に差し出すと、同じように突き返してきた。
◇◇◇
「というわけで、集まってもらったんだけど、実際どうよ」
「いいじゃん、再始動ライブ」
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「お前ら、仕事平気なの?」
「まぁ……歯医者なんてあんま顔覚えられてないしなぁ」
「俺はドラムしててもほぼ見えないし、いいよ」
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ライブは最小限のセットを組み、前後する日程のバンドと同じ舞台配置にすることで予算を抑える。グッズはTシャツのみの販売でチケットは基本前売り、残れば当日券あり。広告は基本打たず、ライブ当日まで1週間ごとに新譜を配信して様子を見る。
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「実はさ……あの大きい仕事の後、しばらく燃え尽きた感じだったんだよね、俺」
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それでも、同級生だからこそプライドが邪魔して言えなかったこと、自分が落ち込んでいると認めたくなくて意地を張っていたこと……そしてそれを乗り越え、今はいい環境で曲を作れていることを話すと、三人はやっと話してくれたと言って肩を叩いて喜んだ。
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