凛とした彼女

言ノ葉

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嫉妬(1)

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 今回の話は人と関わるのなら必ずと言っていいほどに抱いてしまう感情の話。

 最近零ちゃんに元気がない。なんていうか、話してる時は平気なんだけど毎日決まった時間に誰かに呼ばれては帰ってきてため息をついてる。零ちゃんが暴力を振るわれるようなことはきっと無いだろうし、体育の着替えの時に見ても体に怪我はないし…。…気になる。何があったのか聞いてみよう!
 『れ、零ちゃん!あのさ!』
 『どうしたんですか?』
 『えっと、あの、その、最近元気がないような気がするなぁって、思って…。何かあったの?』
 『…花に心配をかけてるようじゃダメですね。心配してくれるのは嬉しいですが、大丈夫ですよ?確かに少し疲れてはいますが、花が心配するような事じゃないですから。気にしないでください。』
 『き、気にするよ!?零ちゃんは「大事な友達」なんだから!』
 『…ふふっ。そうですね。冷たいこと言っちゃいましたね。ごめんなさい?花に話をしたくない訳じゃないんですよ?ただ余りにもくだらない事なので話すのもどうかと思いまして…。』
そういいながら零ちゃんはため息をついた。でも、心配は心配だから…。
 『どんな話でもいいよ!零ちゃんの話ならなんでも聞きたいから!』
零ちゃんは少し呆れた顔をしながら笑っていた。
 『では、お言葉に甘えて…。聞いてくれますか?』
 『もちろん!』
零ちゃんは少し嬉しそうな顔をしてるように思えた。
 『実は最近毎日同じ人に告白をされてまして…。一回目にハッキリと断ったんですが、しつこくて…。好意を向けてくれるのは嬉しいのですがさすがに毎日呼ばれて同じことを言われると…。疲れますね…。まぁ、それだけですよ。くだらない話でしょう?』
 『いやいや、零ちゃんが迷惑だと思ってるなら大事な話だよ!今度は私もついて行く!一緒にもう一回ハッキリ断ろうよ!』
 『花らしいですね。そうしましょうか。さすがにそろそろストレスが貯まりますからね。』
 『そうだよ!相手は誰?私の知ってる人?』
 『花が知っているかはわかりませんが、「岩波快斗」くんですよ。えっと、確かB組の人だった気が…。…花?どうしました?』
私は相手の名前を聞いて思考が止まってしまった。何故ならその人は零ちゃんと同じように噂されてて学校で一位、二位を争うようなイケメンと有名な「岩波快斗」くんだったからだ。
 『れ、零ちゃん!その人学校で一位、二位を争うって言われてるくらいかっこよくて人気で有名な人だよ!?知らないの!?』
 『あら、そうなんですか。どうも人の噂に疎くて…。そんな有名な人だったんですね。初耳です。』
 …さすが零ちゃん、興味なさそう。零ちゃんらしいというか、なんというか。零ちゃんはもう少し周りと関わりを持つべきだと思うんだよね…。
 『まぁ、零ちゃんらしいね…。ていうかさすが零ちゃんだね。そんな人に告白されるなんて…。』
 『好きじゃない人に告白されたところで見た目がどんなに良かろうと困るだけですよ…。好きな人がいる訳じゃありませんが…。そこまで色恋沙汰に興味もありませんしねぇ?私には花がいればいいですよ。』
零ちゃんは最近よく笑う様になったけど、綺麗に笑いながらさらっとそういうことを言うから零ちゃんはずるい。
 『私も零ちゃんがいればいいかな…。』
 そんなふうに笑いながら話をしてその時は終わった。私は自分の言ったことを忘れていた。零ちゃんを守れなかった…。
 
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