とある使用人の日記

かーにゅ

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1日目

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こんにちは。
といっても俺は名乗るほどのものでもないので『とある使用人A』と名乗りましょう。
「何カッコつけてんだ。仕事行くぞ」
「あ、ちょ待ってっ!!俺の朝飯っ!!」
「早くしろ」
えーっとこの口うるさいのが俺の友達でありルームメイトの……まぁ使用人Bでいいでしょ。

俺達の仕事は大きな屋敷の掃除洗濯などの家事。
それに加えて坊っちゃま方の遊び相手やら雑用係。
時給1,500円!!
金持ちめっ!!と言いたいところだが、俺もその恩恵にかなり救われているので何も言えない。
「…今日は柚琉様の部屋の掃除だな。外で遊んでいる間に手早く済ませるぞ」
「ほーい」
柚琉様はご家族の中で1番体が弱くってほぼ屋敷の中にしかいない。
その姿は天使や妖精と称されるほど可愛いっ!!
とにかく可愛いっ!!
BLゲームの受け役の可愛さだっ!!
あ、言い忘れてたけど俺転生者ね。
死んで神様に出会ってどこに行きたい?って言われたから速攻でBLの許された世界っ!!って言ったぜ。
まぁ俺はタチでもネコでもなく傍観者だけどな。
見てるの最高。
「…ニヤケんな。俺まで変人扱いされる」
おっと、顔に出ていたようだ。
ガチャとドアを開けるとそこは…
「うわぁ…ホコリ1つねぇ…」
「…ゴミ箱だけ片付けるか」
ごみ捨てしかやることねぇのか。
いくら柚琉様だって言っても7歳の立派な男の娘……間違えた、男の子。
ベッドに何かいかがわしいものでもあるんじゃないか~?
そう思ってベッドに近づいてみると…
うん、ごめんなさい柚琉様。
お兄ちゃんが汚れきっていました。
そこに並んでいたのは絵本やらぬいぐるみ。
しかも全部可愛い系。
…柚琉様は綺麗な男の娘だった。
汚いことなんてなんにも知らない男の娘だった。
あぁ…俺まで浄化されてゆく…。
待って…俺の煩悩…その前に柚琉様が触手にめちゃくちゃにされてる妄想したい…。
「話を聞けこの変人がっ!!」
「ぶべっ!?」
頭を後ろから殴られて柚琉様のベッドに突っ込んでしまった。
あ、いい匂い…じゃない。
「危ねぇだろ!!」
「片付け終わったから出るぞ。長居してたら夏羽様に蹴られる」
おう…そうだった。
夏羽様も可愛いっちゃ可愛いんだけどあれは子供の可愛さだな。
大きくなると共に消えていくやつだ。
その点柚琉様は多分大きくならないし顔の造形も変わらない。
しかも病弱ときた。
もうここBLゲーの世界なんじゃね?
俺のための世界なんじゃね?
「…もういいや。放っておこう」
柚琉様、誰と番になるんだろうな~。
俺?
俺はならねぇよ。
番になったらその人しか見えなくなるだろ。
俺はまだ妄想してたいっ!!
この世界ではBLが普通だからな。
趣味で書いてるネット小説も人気になってるし色々得してんな。
ネタはこの屋敷中にあるし。
時々使用人棟に甘い匂いがするんだよな~。
そういう時は柚琉様が迷子になって来た時。
大体樹さんが来て回収されちまうけど俺の癒し。
マイエンジェール!!
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