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幼児編

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「…これなんだろうね」
「ね」
僕達は母さん達のところに戻り、優勝商品として貰ったものをじーっと眺めていた。
卵形の何か。
「…トロフィー…じゃないもんね」
「のーとでもなさそう」
「…おもちゃ?」
「かな」
ツンとつついてみると結構固かった。
「あら、懐かしい。ギフトじゃない」
「「ギフト(ぎふと)?」」
「それ、割ると中から何かが出てくるのよ。翔達もそうやって不思議がってつついてたわね」
「夏、柚。割ってみたら?」
…割るの?
これを?
夏はギフトを掴むと思いっきり地面に叩きつけた。
「…ペンだ!!」
「2ほんあるね」
「じゃあなつこっち」
「じゃあぼくはこっち」
僕達は中から出てきた小さなペンを手に取った。
「良かったわね」
「なつはねこれでえ、かくの」
「ぼくはべんきょうにつかう。…なつとえもかく」
「いっしょにかこーね」
「ね」
…といっても模写しか出来ないんだけど。
ネットで画像探して描くかな。
「…翔達が出るのはもう終わったかしら」
「どうする?帰る?」
「かえらない!!」
「ん…かえる」
夏は目をキラキラさせて帰らないと言ったが僕は正直眠い。
全力で走ったしお腹いっぱいだし。
「柚はもう眠たいの?」
「夏はまだ遊びたそうだけど」
「…もうねる…」
僕は目を擦りながら母さんに近づいた。
「あまり寝たがらない柚が寝たいなんて余程疲れたのね」
「柚だけ連れて帰る?」
「ゆずがかえるならなつもかえる!!」
「…だってさ」
「ならみんなで帰りましょうか」
母さんは僕を抱き上げて、ゆっくりとトントンと背中を叩いた。
「柚はお昼寝しましょうね」
「うん…」
眠くて眠くてやばい。
何回かは欠伸を堪えたり重くなる瞼に抗ったりしたが…それもダメになりすぐに眠りの世界へと落ちていった。
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