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幼児編

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「……ず…ゆず…柚!!」
「…ぅ」
僕は誰かに起こされた。
「…よかった…」
「柚琉様。どうして床で…」
「おちたの」
落ちて薬飲んで冷たくてそこで寝ちゃったの。
「…薬を飲もうと手を伸ばして落ちたのか。体痛いとこない?」
「だいじょうぶ」
「病院行こうと思って部屋に入ったらベッドにいないから…心配した。ベッドに戻れないほど痛かった?」
「ううん。ゆかのがつめたくてきもちいいの」
僕がそう言うと2人にため息をつかれた。
「…柚琉様、そういう時は氷枕を用意しますから」
「床で眠るなんて今後一切やめてね?」
「…ぅ?わかった」
「じゃ、行こうか」
父さんは僕を抱き上げ、樹くんは僕には毛布をかけた。
「車の中で一応体温測ろっか」
「…もうちょっとさがったもん」
「それは柚が感じてる感覚でしょ」
でも38度くらいにはなったと思うよ?


「…39.4…全然下がってない」
「…あれ?」
「あれ、じゃないよ。解熱剤、飲んだんだよね?」
「うん」
…薬が効かなかった?
ううん、いつも飲んでるやつだもん。
頻繁に飲みすぎたせいで効かなかったのかな?
「…その割には意識ははっきりしてるし呂律も上手く回ってる。…あれ副作用で眠くなるんだけど…」
「…それでねむたかったのかな」
「重い病気じゃなきゃいいけど」
咳でないし鼻水もでてないから大丈夫っ!!
少なくとも肺炎ではないよ。
「けほっ」
…でてないって言った瞬間にでないでよ。
「車の中乾燥してるかな。加湿器つけてあげて。それと水」
「こちらを」
樹くんは助手席から父さんにペットボトルを手渡した。
「ゆっくり飲もうね」
父さんは僕を少し起こし、口元にペットボトルを添えた。
頭グラグラしてきたぁ…。
僕は少し口をつけると手で押し返した。
「もういらないね」
父さんはそれを樹くんに返した。
…ぐるぐるしてる。
頭の中も目の前も…。
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