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幼児編

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直人視点

「はぁ!?柚が帰らないって言ってる!?」
「待って!?それどういうこと!?」
僕達は同時に樹に怒鳴った。
『それが…2日の予定でしたが"みんながはんせいするまでかえらない"と仰っていて…』
「…反省?」
「入浴剤のことか?」
『…教えてくださいません』
はぁ…。
柚の突然のわがままはいつもの事だけど…。
「どうにかして連れてこれない?」
『捕まえようとしたら発情期用の部屋まで全速力で走っていかれ、お話すらさせてくださいませんでした』
…あ、これ無理なやつ。
「…連れ帰りたいけど…下手な事やるとおじい様に色々やられそうだしな…樹、とりあえずお前は柚についとけ。で、出てきそうなら帰ってくるように説得してくれ」
『説得ならもうしましたよ。"みんなははんせいしたの?"の一点張りです』
……入浴剤のこと…そんなに嫌だったのかな。
普段甘えてくれないしあれ使うと柚が無意識の状態で甘えてくれるし…。
……やっと子供らしくなったと思ったんだけどな。
『もしもし?翔くんと直人くん?』
「その声は…創一さん?」
「お久しぶりです」
『久しぶり。柚琉くんは僕が預かるから心配しないで』
いや、あなたのところにいることが心配なんですけど。
小さい頃の僕達にドール服着せまくったのあなたですよ?
『柚琉くんいい子だよね。仕事の手伝いもしてくれるし』
「…着せてないですよね?柚、メイド服着ただけですげぇ拗ねたのに…」
『フリル増し増しのお姫様ドレス着てるけど?』
…なんで。
『仕事の手伝いって言ったらすっごい顔赤らめて、でも逃げ出さないよ。ほんといい子だよね。このまま僕のところにいてもらっても…』
「「ダメ(だ)!!」」
『ふふ。冗談だよ。柚琉くんもムキになってるだけだと思うしそのうち出てくるよ。今あの部屋にはあんまり食料ないからね。もって一日分かな?』
…柚は少食だからそれで3日もつ気がするんだけど。
「…創一さん。柚をよろしくお願いします」
『分かったよ』
プツッと通信が切れた。
「柚が…閉じこもって帰ってこない…」
「兄さん、とりあえず家にある入浴剤捨てようか」
「だな」
…これが原因なら柚に許してもらえるかな?
……柚…早く抱っこしてあげたい。
ご飯食べさせたりお風呂入れたりトイレだってぷるぷる震えるのが可愛いのに。
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