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選択編

直人ルート 4

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1ヶ月後…

「柚。朝だよ。起きないの?」
「…ん…おきる…」
もぞもぞと動くが布団から出ようとしない。
「起きないと柚の朝ご飯片付けちゃうからね?」
「おきるっ!!」
飛び起きた柚は僕に抱きついた。
「えへへ。おはよ」
「おはよう。さ、朝ご飯食べようか」
「うんっ!!…ぅ」
柚は急に口を押さえた。
「…柚?」
「はきそ…ぅ…」
「え!?」
とりあえず…トイレ!!
僕は風呂場に柚を抱えたまま駆け込んだ。
「ぅ…ぇ」
「大丈夫だよ。落ち着くまで全部吐いちゃって」
背中を撫でてやりながら考える。
…急な吐き気…。
どうして?
体調不良?
…あとで病院に連れていこう。
「…にいさ…もうだいじょ…ぶ」
「本当に?まだ顔青いよ?」
「…いまは…へーき…」
「じゃあ今のうちに病院に行こうか」
柚にビニール袋を持たせ、樹に連絡をする。
『はい』
「今すぐ車出して」
『タクシーではなく?』
「うん。タクシー待ってる時間も惜しいから」
『かしこまりました。では下に用意しておきます』
「頼んだよ」
柚に上着を着せ、その上からブランケットをかける。
「…さむくないよ…?」
「念の為だから」
柚の病院セットと家の鍵、あとは水と財布とスマホぐらいでいいか。
朝ごはん用のスープ類をとりあえず冷蔵庫に片付け、家の鍵を閉め、エレベーターへ向かった。
「…このまんしょ…どうして…こんなに…たかいの…?」
「怖い?もっと下の階にすればよかった?1番上なら上下の階の人を気にせず暮らせると思って最上階を僕達、その下のフロアを樹にあげたんだけど」
「…あげ…?」
…あれ?
僕それも言ってなかったっけ?
「このマンション全部が僕の持ち物だよ」
「ふぇ!?」
「フロアごと僕達の部屋だからね。他の部屋よりかなり広いと思うよ?柚の欲しい本も欲しいだけ置けるし」
「…そこまで…かわない」
「そうかな?」
一部屋柚の書庫にしようと思ってたんだけどな。
エレベーターが1階にやっと着いた。
「急だったため私が運転手を務めさせていただきます」
「いいよそれで」
「はふ…」
後部座席に乗り込み、柚を膝に乗せたままシートベルトをしめる。
柚にはかからないようにしてるけどね。
「ふぁ…」
「まだ眠い?」
「…うん…」
「寝てていいよ。さすがに診察の時は起きてくれないと困るけどね」
「おこして…」
「分かったよ」
こてんと僕の胸に頭を預け、完全に体から力を抜いて柚は眠り始めた。
…変な病気とかじゃなければいいんだけどな。
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