魔狼王(着ぐるみ)が往く!~勇者パーティーから暑苦しいと追放された着ぐるみ士の俺、世界最強のステータスに目覚めたので神獣と一緒に見返します~

八百十三

文字の大きさ
15 / 72
第2章 冒険と昇進

第15話 着ぐるみ士、お呼ばれする

しおりを挟む
 冒険者ギルドの建物を出て、さて昼食でも、と市場の方に足を向けようとしたところで。ちょうど斜向かいの商店から出てきた人物を見て、リーアが声を上げた。

「あっ、パパだ!」
「おやリーア、それにジュリオ君。こんにちは」

 誰あろう、ルチアーノだ。買い物をしていたのだろう、手には蔓を編んだ袋を持って、中には酒瓶や干し肉が入れられている。
 それにしても、基本的に酒を飲むことがオルニの町を訪れる主な目的の彼が、こんな時間から町にいるとは予想外だ。まだ酒場が開く時間ではない。

「ルチアーノさん、どうしたんですか。こんな時間から町にいるなんて」

 俺が目を見開きつつ問いかければ、ルチアーノは手にした袋を軽く持ち上げながら笑った。

「リーアの姉が帰省していてね、一緒に飲むためのお酒を買いに来たんだ。よかったら今夜、二人も来るかい?」
「えっ、ほんと!? どのお姉ちゃん!?」
「え……いいんですか、俺、普通の冒険者ですけど」

 彼の言葉に、リーアの尻尾がピンと立った。帰省ということは、普段は別の場所で暮らしているのだろう。しかし魔物も、独り立ちしたり帰省したりするのか。変な感じだ。
 だがそれはそれとして、俺はつい先日まで魔物と敵対する側の冒険者だったわけで。そんな俺が人慣れしているとはいえ魔物の家庭にお呼ばれするなんて、いいのだろうか。
 しかし、不安を見せる俺に対してルチアーノはゆるゆると頭を振った。

「心配しなくていいよ、サーラ……あ、リーアの姉のことなんだけど、ギュードリン自治区・・・・・・・・・に住んでいるんだ。だから冒険者の皆とも普通に接するよ」
「えっ……あそこ、とんでもない強さの魔物がひしめき合う場所だって聞きますけど……いやでも、ルチアーノさんの娘さんならそうか……」

 彼の言葉に、僅かに身を引く俺だ。
 ギュードリン自治区はその名の通り、先代魔王にしてX級冒険者、『神魔王』ギュードリンの収める領地だ。彼女の居城とその城の周辺に広がる城下町には、彼女に付き従う魔物や、人魔共存をうたう彼女に賛同した魔物が、文明的な暮らしを営んでいる。
 冒険者の間では有名なのだ。彼女の自治区に暮らす魔物はとても強い、同種の魔物よりランクが一段階は上がる、と。
 明らかにおののいた俺に、苦笑を向けてくるルチアーノである。

「母さんが手慰てなぐさみに指導しているらしいから、必然的にね。ともあれ、どうする?」

 彼の言葉に、俺はちらと隣のリーアを見る。
 リーアは間違いなく行きたがるだろう、姉との久しぶりの再会だ。ギュードリン自治区はヤコビニ王国から遠く離れているし。
 そして、自治区に住む魔物なら、俺を前にしても攻撃する意思は見せてこないだろう。よほどの戦闘狂でなければ、だが。
 俺は覚悟を決めた。兄にあたる目の前の男に、小さく頭を下げる。

「じゃあ、その、お邪魔しても、いいですか」
「うん、大歓迎。じゃ、陽が沈む頃にオルネラ山側の門までおいで、迎えに来るから」



 そして陽が沈む頃。門の外でルチアーノと合流して、オルネラ山を登っていき、西側の山腹、木々が程よく開けた場所にて。
 俺とリーアがそこに立ち入る頃には、既に宴会が開かれていた。
 リーアの母と思しき巨狼がその巨体で囲いを作るようにしながら寝そべり、その内側で人化転身したリーアの兄弟姉妹たちがどんちゃん騒ぎをしている。
 俺が呆気に取られている間もなく、俺はその輪の中に引きずり込まれ。あれよあれよという間に話の輪に加わらされていた。

「いっやー、父さんもリーアも物好きだよねぇ。着ぐるみ士キグルミストに自分の力渡して? 血族にも加えて?」
「え、えっと、その、はい、なんか、すみません」

 俺の隣に座って肩を抱き、頬を赤らめながらアップルワインを傾ける気さくなこの狼人ウルフマンこそ、帰省してきたサーラだ。
 当然、彼女の種族もリーアと同じく魔狼。だがそのステータスは、並の冒険者では傷一筋すら付けられないだろう高いものだ。ほんと、なんでこんな強力な魔物が平気な顔してこんな町の近くにいるんだろう。
 恐縮しきりの俺に絡んでくるサーラを見ながら、アップルジュースを飲みつつリーアが首を傾げている。

「お姉ちゃん、もう酔っちゃった?」
「サーラ、ほどほどにしなさい。ジュリオ君困ってるじゃないか」

 ルチアーノが干し肉を噛みちぎりながらたしなめるが、サーラは気に留める様子もない。ばしばしと俺の背中を叩きながら絡み続けてくる。痛い。

「いいのいいの、こんだけいい男がアタシの叔父になったんでしょ? 歓迎しなきゃ損じゃないのよさ」
「は、はぁ……」

 その余りにも気さくな振る舞いに、俺は少々引いていた。
 別に、ウザ絡みされていることが嫌なわけではない。初対面の相手だというのにここまで親密に接してくることに、慣れていないだけだ。
 と、俺の顔を不意にじっと見つめてきたサーラが、にんまりと笑う。

「それにしても、ふーん、おばあちゃんと遜色そんしょくないくらいのステータスは持ってるんだ? ただの人間だったわりにはやるねぇ、ちゃんと鍛えてたんでしょ?」
「まぁ、はい……一応勇者をようするパーティーにはいたので……」

 俺が視線を逸らしながら頬をかくと、サーラが大げさにのけぞってこちらに爪の尖った指先を向けてきた。

「勇者! まだまだいるんだねぇ。おばあちゃんが魔王だった頃にも、何人もお城にやって来ては返り討ちにあわせてたって聞くけど」
「やっぱり、ギュードリンの『あらゆる勇者を退けた』伝説って、マジなんですね……」

 彼女の発言に、息を吐きつつコップに入れたワインを飲む俺だ。
 神魔王ギュードリンは歴史上唯一、自ら魔王の位を辞するまで、誰にも討伐されずに生き残った魔王だ。その能力の高さは歴代最強、全盛期の頃は文字通り敵なしだったらしい。
 ルチアーノがにっこり笑いながら、俺の言葉にうなずいてくる。

「そう。母さんが現役の頃はそれはそれは強くてね。どんな勇者も相手にならなかった。だからこそ、魔王の位を辞したとも言えてね」

 その発言に、ワインを飲む手を止める俺だ。
 魔物は基本的に強い者に従う。魔王がそれだけ強いなら、情勢は安定していたことだろう。俺だって、彼女の在位期間が「神魔王時代」として歴史書に載っていることくらい知っている。

「だからこそ、なんですか? 魔王が強いことって、魔物にとってはいいことじゃ」
「程々に強ければね。でも母さんは強すぎた。その時期で最高の力を持つ冒険者を束ねても倒せないくらいには、ね。それは、魔王という立場上、あんまり良くない」

 俺の言葉に肩を竦めながら、ルチアーノは苦笑を零した。
 確かに、「神魔王時代」は安定した、平和ないい時代だった。しかし冒険者にとってみれば、「魔王討伐」という最大級の栄誉を間違いなく得られない、悲しみに満ちた時代でもあった。
 別にギュードリンに挑まなかった冒険者が居なかったわけではない。いたが、彼女の圧倒的な強さに、軽くあしらわれて返されていたのだ。ある程度傷を負わせることが出来た冒険者に、ギュードリン自身が褒美を与えていたほどだ。

「あとはまぁ、おばあちゃんは優しい人だからねー。敗北した勇者を、総じて殺さずに送り返したことは知ってるんでしょ?」
「あー……らしいですよね。退位後に人間社会と友好協定を結ぶくらいですし」

 俺にもたれながら言葉を発するサーラに、そっと頷く俺だ。
 ギュードリンが人間社会と共存し、いい距離感を保ちながらやり取りを出来ている理由に、彼女の性根が関わっていることは間違いなくある。
 魔物を大事にして、人間も大事にするのが彼女だ。だから必要以上の殺戮さつりくは好まなかった。今の魔王である獄王イデオンとは対照的である。
 今の魔王は悪しき者だ。そして先代の魔王は良き者であった。これが、冒険者がこぞって魔王討伐にまい進する理由だ。

「そう。じゃ、その辺の話も含めて、『どうして私が魔王の位を継がなかったのか』も、話をしようか」

 そう言いながら、ルチアーノが俺達の方に向き直る。そうして彼は、静かな語り口で話を始めた。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」  テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。  この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。  誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。  しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。  その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。  だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。 「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」 「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」  これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語 2月28日HOTランキング9位! 3月1日HOTランキング6位! 本当にありがとうございます!

親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました

空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが日常に溶け込んだ世界――。 平凡な会社員の風間は、身に覚えのない情報流出の責任を押しつけられ、会社をクビにされてしまう。さらに、親友だと思っていた男に婚約者を奪われ、婚約も破棄。すべてが嫌になった風間は自暴自棄のまま山へ向かい、そこで人々に見捨てられた“放置ダンジョン”を見つける。 どこか自分と重なるものを感じた風間は、そのダンジョンに住み着くことを決意。ところが奥には、愛らしいモンスターたちがひっそり暮らしていた――。思いがけず彼らに懐かれた風間は、さまざまなモンスターと共にダンジョンでのスローライフを満喫していくことになる。

辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
 ブラック企業で働く社畜の辻風ハヤテは、ある日超人気ダンジョン配信者のひかるんがイレギュラーモンスターに襲われているところに遭遇する。  ひかるんに辻ヒールをして助けたハヤテは、偶然にもひかるんの配信に顔が映り込んでしまう。  ひかるんを助けた英雄であるハヤテは、辻ヒールのおじさんとして有名になってしまう。  ダンジョンから帰宅したハヤテは、後ろから謎のもふもふがついてきていることに気づく。  なんと、謎のもふもふの正体はダンジョンから出てきたモンスターだった。  もふもふは怪我をしていて、ハヤテに助けを求めてきた。  もふもふの怪我を治すと、懐いてきたので飼うことに。  モンスターをペットにしている動画を配信するハヤテ。  なんとペット動画に自分の顔が映り込んでしまう。  顔バレしたことで、世間に辻ヒールのおじさんだとバレてしまい……。  辻ヒールのおじさんがペット動画を出しているということで、またたくまに動画はバズっていくのだった。 他のサイトにも掲載 なろう日間1位 カクヨムブクマ7000  

【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立

黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」 「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」 ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。 しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。 「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。 だが、彼らは知らなかった。 ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを! 伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。 これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

処理中です...