魔狼王(着ぐるみ)が往く!~勇者パーティーから暑苦しいと追放された着ぐるみ士の俺、世界最強のステータスに目覚めたので神獣と一緒に見返します~

八百十三

文字の大きさ
16 / 72
第2章 冒険と昇進

第16話 着ぐるみ士、昔話を聞く

しおりを挟む
「魔王の位は、基本的には生き残った魔物同士の話し合いで、誰に渡すかを決める。母さんもそのようにして、先々代魔王のユングヴァーが勇者に倒された時、協議の末で魔王位を継いだ」

 月が空に昇り、静寂がオルネラ山を包む中、ルチアーノの声だけが静かに響く。
 薪の爆ぜる音はしない。ここにいるのは狼のみ、わざわざ灯りをともさずとも全てがよく見える。
 俺? 着ぐるみを着れば何の問題もない。頭は飲み食いの邪魔になるから外しているが。

「しかし、母さんが退位する時はそうじゃなかった。魔王の補佐機関である後虎院ごこいんの全員、そして魔王である母さん自身で、誰を次の魔王に据えるかを話し合ったんだ」

 数年前のことを懐かしむように目を細めながら、彼は長く息を吐いて夜空を見上げた。
 ギュードリンが退位し、後釜にイデオンが収まったのが、今から五年前のこと。思えばその五年の間に、随分世界は殺伐としたものだ。人間と魔物が手を取り合う平和な時代から、互いが互いに刃を向ける血生臭い時代になるまで、時間はかからなかった。

「あぁ……そう言えばギュードリンの時代は、後虎院の全員が生き残ったんでしたっけ……」

 そんな風に思案にふけりながら、俺はぼんやりと吐き出した。
 魔王の直属の補佐機関である後虎院は、魔王の文字通りの側近だ。普通の魔王なら悪辣な人員で固め、冒険者たちが真っ先に首を取りに行き、魔王撃破を為す頃には一人たりとも生き残らない、配置されたら不遇とも取れる立場だ。
 それがギュードリンの治世の頃は、ギュードリン以上の穏健派が勢揃いし、時には人間の国家と外交をし、時には酒宴を催して各国の貴族を招きと、人間以上に政治にまい進。ついに一人の欠員も出すことなく、在職者全員が殺されずに済んだのである。
 異例も異例だ。異例尽くしで魔物たちも、さぞ戸惑ったことだろう。
 俺の言葉を受けて、ルチアーノが苦笑を零しながらうなずく。

「そう。まあだからと言って、他の魔物がイデオンが魔王の位に就くことを表立って批判することもないんだけどね。魔物って、基本的に強い者の言葉には従うから……それでも、『イデオン本人ではなく、ギュードリンの決定に従う』という声はあるけれど」

 彼の発言に、リーアもサーラも、さらにはもう一人同席しているリーアのすぐ上の兄ジャコモも、こくこくとうなずいていた。
 強い者の言葉に従う。イデオンが強いのは無論だが、ギュードリンの強さがそれに劣るかと言ったら、多分イデオン以外の全員が首を横に振るだろう。彼女の現状を鑑みても、彼女の影響力が未だ強いことは間違いない。
 だが、そうだとしても。ルチアーノが話を切り出す時に言った言葉と、どうしても繋がらない。

「それが、ルチアーノさんが魔王の位を継がなかったことと、どう関係するんですか? 強さで言えば、ルチアーノさんだって……」

 膝の上に置いた拳をぐっと握りながら、俺が身を乗り出す。
 すると彼は困ったように笑いながら頬を掻き、そして口を開いた。

「まあね。私を魔王に推す声は、後虎院の面々から特に強く上がった。人間と友好的だし、政治力もあるし、なにより強い。でも、母さんが言ったんだよね。『だからこそあの子は次代の魔王にはふさわしくない』って」

 その言葉に、俺は肩の力が抜ける思いがした。
 ルチアーノが、魔物として比類なき力を持っていることは、俺自身がよく分かっている。彼から譲り受けた力はほんの一部・・・・・だ。それでも俺を、名実ともに最強に至らしめている。
 加えて、オルニの人々はおろか、一流の冒険者とも親しく出来るその人柄。力を持つ者としてのオーラ、気迫。施政者として、これほど理想的な人物もいない。
 その彼が、自分の母親から「ふさわしくない」と断じられるとは。世の中は不条理だ。

「そんな……」

 思わず言葉を漏らす俺。と、隣に座っていたジャコモが、すんと鼻を鳴らしながら口を開いた。

「でもさ、ジュリオさんはどう思う? 父さんが魔王になったとしたら、人間の冒険者は喜んだかな」

 彼の言葉に、俺は僅かにうつむく。
 オルニの人々にとって、ルチアーノはよき隣人であり、友人であり、尊敬の対象のはずだ。そんな彼が魔王の座に収まったら。
 俺はゆるゆると頭を振るので精一杯だった。

「……どうでしょう。ギュードリン同様、倒せない魔王として君臨したんじゃないでしょうか。南クザーロ郡の人は特に、隣人だから、倒したくなくなりそうですし」
「だよな? この間まで飲み友達だった父さんが、いきなり人間の敵になりました、なんて話、普通なら受け入れられないだろ」

 俺の発した言葉に、ジャコモもうんうんとうなずく。
 魔王になるとはそういうことだ。いかに限られた地域では尊敬を集めていたとしても、世界全体から見たら人間の敵だ。どれだけ善人だとしても、打ち倒される宿命を背負う者だ。
 ルチアーノが力なく肩を竦めながら口を開く。

「母さんもそこを危惧きぐしたから、私を魔王には推薦しなかった。その点、イデオンは母さんの方針に反対していたし、実力も相応にあった。人類と勇者の敵である魔王には、相応しいってね」
「ねー。だからおばあちゃんの時代の後虎院だった人、ほとんど辞めちゃったんでしょ。せっかくいい時代になったのにって」

 彼の言葉にうなずきながら、言葉を重ねるのはリーアだった。
 なるほど、道理だ。せっかく生き残って職務を全うして、個人的に親しい友人も出来たであろう先代の後虎院のメンバーが、再び殺し殺されの時代になったのを悲しまないはずはない。
 イデオンにとっても穏健派な魔物を側近に据えたくはないだろうし、退陣は双方ともに願ってもない話だったのだろう。実際継続して後虎院に残っているのは、「白の賢龍」の異名を取り、元々はイデオンの上司だったオーヴェのみだ。

「それに、強硬派のガス抜きの意味合いもあったんだ。共存派の魔王が続けば、表向きは平和だけれど、内部に不満は溜まっていく。人間に敵対的な魔王と言う存在は、人間にも魔物にも、それなりにえきのあるものなんだ。共存派は我関せず、人間と適度な距離を保って生きて行けばいいしね」
「はー……」

 さらにそこに言葉を重ねるルチアーノ。それに俺はため息をつくほかない。
 実際、ルチアーノの一家はこの山の中で、人間と適度な距離を保って暮らしている。必要なら人化転身して町に降りたりもするし、逆に人間が彼らを頼って山に登ってくることもあると聞く。グラツィアーノ帝国とヤコビニ王国を行き来する商人は、決まってこの一家の力を借りるとか。
 サーラが空になった木のカップをガンガンと、傍の切り株に叩きつけながら口を開いた。

「そうそう。別に今の魔王軍がどうなろうと、あたしの気にするところじゃないしね。あたしはおばあちゃんたちと知り合いの人間が元気なら、それでいいし」
「俺も。今の魔王軍がうちの山に踏み込んで来たら、全力で叩き潰すしな」

 ジャコモも尻尾をふさりと振りつつ深い溜め息を吐く。この両名が今の魔王をどう思っているか、この態度が雄弁に語っている。

「なんて言うか、魔物も、大変なんですね……」
「ねー」

 なんとも言い難い思いに、俺が額を押さえると、すっかり他人事なリーアが同調してうなずいた。
 ルチアーノの昔話は終わって宴もたけなわ、そろそろお開きになろうか、というところでサーラが俺に唐突に絡んでくる。

「ほんとそうよ。あ、あんたほら、ランクが上がって越境できるようになったら、ギュードリン自治区来なさいよ! おばあちゃんに紹介したげるから!」
「いいねー姉ちゃん。あ、ジュリオさんさ、神獣の友達を紹介できるけど、しようか?」
「ひぇ……」

 一緒になってジャコモもくいっと親指をどこかに向けつつ笑う。どこを指しているんだ、どこを。
 この先の目的が出来そうな反面、絶対にとんでもないスケールの事態が起こることが予想できて、引きつった笑いを浮かべるしかない俺だった。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」  テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。  この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。  誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。  しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。  その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。  だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。 「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」 「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」  これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語 2月28日HOTランキング9位! 3月1日HOTランキング6位! 本当にありがとうございます!

親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました

空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが日常に溶け込んだ世界――。 平凡な会社員の風間は、身に覚えのない情報流出の責任を押しつけられ、会社をクビにされてしまう。さらに、親友だと思っていた男に婚約者を奪われ、婚約も破棄。すべてが嫌になった風間は自暴自棄のまま山へ向かい、そこで人々に見捨てられた“放置ダンジョン”を見つける。 どこか自分と重なるものを感じた風間は、そのダンジョンに住み着くことを決意。ところが奥には、愛らしいモンスターたちがひっそり暮らしていた――。思いがけず彼らに懐かれた風間は、さまざまなモンスターと共にダンジョンでのスローライフを満喫していくことになる。

辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
 ブラック企業で働く社畜の辻風ハヤテは、ある日超人気ダンジョン配信者のひかるんがイレギュラーモンスターに襲われているところに遭遇する。  ひかるんに辻ヒールをして助けたハヤテは、偶然にもひかるんの配信に顔が映り込んでしまう。  ひかるんを助けた英雄であるハヤテは、辻ヒールのおじさんとして有名になってしまう。  ダンジョンから帰宅したハヤテは、後ろから謎のもふもふがついてきていることに気づく。  なんと、謎のもふもふの正体はダンジョンから出てきたモンスターだった。  もふもふは怪我をしていて、ハヤテに助けを求めてきた。  もふもふの怪我を治すと、懐いてきたので飼うことに。  モンスターをペットにしている動画を配信するハヤテ。  なんとペット動画に自分の顔が映り込んでしまう。  顔バレしたことで、世間に辻ヒールのおじさんだとバレてしまい……。  辻ヒールのおじさんがペット動画を出しているということで、またたくまに動画はバズっていくのだった。 他のサイトにも掲載 なろう日間1位 カクヨムブクマ7000  

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立

黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」 「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」 ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。 しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。 「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。 だが、彼らは知らなかった。 ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを! 伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。 これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

処理中です...