【第1章完】ゲツアサ!~インディーズ戦隊、メジャーへの道~

阿弥陀乃トンマージ

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第1章

第11話(1)再生怪人との遭遇

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                  11

「ふははっ! 人間どもめ、今度こそ奈落の底に突き落としてやる!」

 怪人が暴れ回っている。

「そこまでだ!」

 現場に駆け付けたオレンジが声をかける。

「むっ⁉」

「あ、あいつは……シアン⁉」

 オレンジがシアンに視線を向ける。

「う、うん……以前倒したカマキリ怪人……」

 カマキリ怪人が鎌をシアンとオレンジに向けながら話す。

「ふん! 貴様らに復讐するため、地獄の底から……」

「……に似ている怪人!」

「はあっ⁉」

「おおいっ⁉」

 カマキリ怪人とオレンジがシアンの発言に戸惑う。

「え? 違うの?」

 シアンが首を傾げる。

「ち、違う! 話は最後まで聞け!」

「そ、そうだ! 怪人が話している最中に失礼だぞ!」

「な、なんで、両方から怒られているの……?」

「話遮ったんは向こうなんやけどな……ドンマイ、シアン……」

 ブラウンがシアンの左肩をポンポンと叩く。

「き、貴様らに復讐するため、地獄の底から蘇ったのだ!」

「ええっ⁉」

 カマキリ怪人の言葉にシアンが驚く。

「ふむ、再生怪人というやつか、話には何度か聞いたことがあったけど……」

 グレーが顎に手を添えて頷く。

「そ、そんなことって……」

「ふふん! 驚いたか⁉」

「そ、その場合……な、なんてお呼びすれば……?」

「い、いや……それはそっちの好きにしろ!」

「そりゃあ……カマキリ怪人(再)って言わないとあきまへんやろ」

 パープルが口を開く。

「そ、それは違う!」

「ほんなら、カマキリ怪人(笑)?」

「それも違う! そもそも()が要らん!」

「怒ってはるわ……」

「怒らせたんやろ……」

 首を傾げるパープルにブラウンが呆れた視線を向ける。

「貴様らエレクトロニックフォースを倒すために俺は再生したのだ!」

「な、なんという執念……」

「そう案ずることはないよ、オレンジ」

「え……?」

 オレンジがグレーに視線を向ける。

「再生怪人というのは大体弱いと相場が決まっているからね……」

「き、貴様! 言ってくれるな!」

「ふむ……怒っているね……」

「だから怒らせたんやろ……」

 グレーの隣でブラウンがため息交じりに呟く。

「弱いかどうかその目で確かめてみろ!」

「うわっ!」

 カマキリ怪人が両腕の鎌を振ると、鋭い斬撃が飛ぶ。シアンたちは慌てて左右に飛んでその斬撃をかわす。カマキリ怪人が笑う。

「ふふん、どうだ⁉」

 体勢を立て直したシアンが声を上げる。

「そ、そんな斬撃、前は無かったじゃん、ズルい!」

「ズ、ズルいとか言うな! そもそも貴様らだって二人だけだったはずがいつの間にか五人になっているじゃないか⁉」

「そ、それは都合上しょうがないじゃん!」

「なんだ都合って⁉」

「言い合いしている場合じゃないぞ、シアン! 倒すぞ!」

「で、でも、オレンジ……かなりパワーアップしているよ?」

「わたしたちにはこれがある! 来い!」

 オレンジが右手を空に掲げる。空からキャノン砲が降ってくる。五人はそれを受け止める。

「こ、これは……無料ダウンロードコンテンツの⁉」

「そうや! 無料ダウンロードコンテンツや!」

「無料ダウンロードコンテンツのこれがあれば頼もしいね……!」

「ちゃんと名称を言え!」

 シアン、ブラウン、グレーに対し、オレンジが注意する。

「無料DLCのこれなら……!」

「略すな、パープル! エレクトロニックキャノンだ!」

 パープルに対し、オレンジが声を上げる。

「とにかく発射だ! オレンジ、指示を!」

 グレーがオレンジに声をかける。オレンジが真ん中に立つ。

「皆、それぞれの持ち手を掴め!」

 四人が二人ずつに分かれ、キャノン砲の左右についている持ち手を掴む。

「持ったで!」

「砲口をカマキリ怪人に向けろ! 皆、反動には注意しろよ!」

「了解!」

「よし……3、2、1、『エレクトロニックキャノン』発射!」

「ぐおっ‼」

 カマキリ怪人が砲撃を食らって、後方に吹き飛ばされる。シアンが声を上げる。

「やったあ!」

「……うおおっ!」

「ええっ⁉」

 カマキリ怪人が咆哮とともに巨大化した。シアンたちが驚く。グレーが声をかける。

「慌てるな、ボクらにはあれがある! 来い!」

 グレーが声をかける。五人のすぐ側にそれぞれ物体が現れる。キックボードなど、五人専用のマシンである。五人が眩い光に包まれる。巨大化したカマキリ怪人が驚く。

「‼」

 マシンが合体し、頭部と腹部が水色で、右腕がオレンジ色、左腕が灰色、右脚が紫色、左脚が茶色の巨大ロボットになる。コックピット内でシアンが声を上げる。

「よしっ! 『エレクトロニックインパクト』、出撃だよ!」

「ウオオオッ!」

「⁉」

 カマキリ怪人が鎌を振りかざす。ブラウンが叫ぶ。

「さっきの斬撃のごっつい版が来るで!」

「接近戦に持ち込みたいところだけど、厳しそうだね……オレンジ!」

「ああ、任せろ!」

 シアンの指示を受け、オレンジが右腕を操作し、腰部に取り付けてあったライフルを右腕に持って、ライフルを発射させる。

「ウオオオオッ⁉」

 素早く正確な射撃を食らったカマキリ怪人が仰向けに倒れて爆散する。

「やったあ! 決まった! 『インパクトショット』!」

 シアンがガッツポーズを取る。パープルが右隣のオレンジに声をかける。

「練習通りに上手く行きましたな~」

「前回は銃弾を鎌で斬り落とされてしまったからな……個人的なリベンジが出来た……」

 オレンジが静かに呟き、満足そうに頷く。
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