Angel's Ring

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
32 / 78
Angel's Ring

しおりを挟む
宿の方にランプをお借りして町の中を一生懸命探したのですが、ファビアンさんと別れた場所にもそこ以外にもファビアンさんはいらっしゃいませんでした。
私の帰りがあまりに遅いので、しびれを切らしてどこかへ行ってしまわれたのでしょうか?
でも、ファビアンさんはお金は私に渡されてますから無一文のはず…
そんな状態ではお店にさえ入れないはずです。
では、一体どこに…?

そんなことをいろいろと考えながら歩いていると、私はいつの間にか町外れまで来ていました。
やっぱり、ファビアンさんは私を置いて一人でどこかに行かれたんだ…
そう思い、なんともいえない寂しい気持ちになっていたその時です!



「てめぇ!よくも!!」

近くの草むらがざわざわとしたと思うと、ファビアンさんが拳を振りかざして駆け出して来られたのです!



「ファビアンさん!!」

私も駆けだし、ファビアンさんを両手で思いっきり抱き締めました。



「な、な、なにをする!」

「良かった…!!
私はまた置いて行かれたのかと思って…
あぁ、良かった…!!」

「こ、こ、こら!離せ!気色悪いな…
置いて行かれたって…俺を置いていったのはおまえだろうが!」

「私がファビアンさんを置いていく?
なぜ、そんなことをするんです!
やっと仲間になっていただいた大切なファビアンさんを置いて私がどこに行くって言うんです。」

「じゃあ、なんでこんなに遅かったんだ!」

「実はですね…」

私は今日あった出来事をファビアンさんに話して聞かせました。



「じゃあ、その婆さんのおかげで宿に泊めてもらえることになったっていうのか?」

「そうなんです!
本当になにが幸いするかわかりませんね!」

「本当か…?
本当に宿に泊めてもらえるんだな?
俺の名前もちゃんと出したんだな?」

「ええ…先程もお話しした通り、お母様が息子さんを説得してくださったので…
ただし、入る時は他の泊り客にみつからないように、裏口からこっそり来てほしいとのことでした。」

「夢じゃないんだな…
屋根のある所で眠れるんだな?
ベッドの上で眠れるんだな?」

「ええ…そうです。」

ファビアンさんは目を潤ませ、その身体は小刻みに震えていました。
宿に泊まれる事に、相当、感動されているようです。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...