Angel's Ring

ルカ(聖夜月ルカ)

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Angel's Ring

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「今、夕食の用意をするから、そこらでゆっくりしとくがええ。」

お婆さんはそう言い残して奥に消えて行かれました。



「なぁ、今夜はここに泊めてもらうとしてもそれからは後はどうする?
妖精のお宝は諦めるつもりか?!」

「そうですね。
だって、お婆さんのお話によると、あの森に入って出て来た者はいないそうですよ。
そんなことになったら、たとえお宝をみつけたとしても意味がないじゃないですか。」

「あんた、忘れたのか?
俺達は誰もいなくなったあの町に行っても無事だったんだぜ。
あんたは、人並みはずれた幸運の持ち主…そうだろ?
俺はその真逆だが、あんたと一緒にいたせいか、それとも悪運ってやつなのか、やっぱり飛ばされることはなかった。
つまり、俺達は特別だってことさ。
だから、きっと、俺達なら、お宝をみつけてもあの森から帰って来れる!
な、そうだろ?!」

ファビアンさんのお話を聞いていると、私もなんだかそんな気がして来ました。
あの町には、妖精達がたくさんの転送の呪文を書き散らしたということでした。
なのに飛ばされなかったということで、妖精達も驚いていたのです。
そうです。
私達は、きっとファビアンさんのおっしゃる通り、特別なのです。
言われてみればそれもそのはず…私は実際は天使なのですから…!

私はいつの間にかすっかり森に行く気分になってしまっていました。







「たいしたもんはないが、何もないよりはマシじゃろ。
さぁ、食べとくれ。」

ちょうど、お婆さんが食事の用意を運んで来て下さいました。
泊めていただく上に食事までいただくとは申し訳ないですが、私達はお婆さんのご好意に甘えることにしました。
素朴な味の野菜のスープと、炒めた豆のような料理でしたが、とても温かいものを感じました。


「ところで…おまえさん、年はいくつじゃな?」

「え…と、年ですか?」

お婆さんの突然の質問にうろたえました。
私の年齢は人間でいうと、一体いくつになるのでしょう??



「なんじゃ、男のくせに言いたくないのか…まぁ、ええ。
わしにも実は息子がおってのぅ…
生きとったら、おまえさんより少し上じゃな…
一体、どんな男になっとったんかいのう…」

お婆さんはどこか遠くをみつめるような瞳で、私とファビアンさんを交互に見られました。



「婆さんの息子は亡くなったのか?
いくつで亡くなったんだ?」

「さぁな…わからん。」

「わからん…?どういうことなんだ?」

お婆さんはぽつりぽつりと身の上話を始められました。
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