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Angel's Ring
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「そんなことがあったのか…それで、俺達を引き止めたんだな。」
お婆さんの話は少し悲しいものでした。
遥か昔、まだ若かったお婆さんはお子さんを連れて、手前の山に山菜取りに来ていたそうです。
その後、この森を通りがかったということでした。
お子さんのアーネストは元気に森の中に走って行ったそうです。
お婆さんは子供の足にはついていけず、アーネストより少し遅れて歩いていたそうですが、森に入ろうとした時に、見知らぬ男性にここは出口のない森だから入ってはならん!と止められたそうです。
そんなことを言われても、アーネストのことを考えると簡単に諦めることなど出来ません。
男性をふりきって森に入ろうとしたお婆さんを、その男性は全力で引きとめたそうです。
お婆さんは絶望のあまり倒れてしまったそうです。
その後も、男性はお婆さんの傍にいていろいろと身の周りの世話をしてくれたらしく、そのおかげでおばあさんはやっと元気になられたということでした。
元気になったお婆さんは考えました。
こんな悲しいことが起こらないように、この森の番人になることを。
そして、それからの長い時を、お婆さんは森に入りこんでしまう人がいないようにずっと見張っているのだということでした。
「お可哀想に…
アーネスト君もさぞ辛かったでしょうね…」
「わしは、今でも後悔しておる。
あの時、あの子の手を離してしまったことをな…」
「辛いだろうが、それは婆さんのせいじゃないさ。
そんな物騒な森があるなんて、婆さんも知らなかったんだからな。」
「いや…わしが悪いんじゃ…」
お婆さんは俯いてそっと涙を拭っておられました。
その時、私は決めたのです!
「お婆さん!私達が行って来ます!
そして、アーネストさんを探してみます!」
「お、おい…!」
「まだそんな馬鹿なことを言っているのか。
あの森が危険な場所だということは、今も言って聞かせたじゃろう?
……それに、アーネストはきっともう生きてはおらん…」
「そんなこと行ってみなくちゃわからないじゃないですか!
それに、私達は普通の人達とは少し違うのです!」
私は、妖精によって人のいなくなった町での出来事を話しました。
「し…しかし、あそこは出口のない森じゃぞ。
万が一、アーネストが生きていて…あの子をみつけたとしても、出てこられんかったら仕方じゃないじゃないか。」
「あ……」
そう言われてしまうと、私はお婆さんに返す言葉がみつかりませんでした。
お婆さんの話は少し悲しいものでした。
遥か昔、まだ若かったお婆さんはお子さんを連れて、手前の山に山菜取りに来ていたそうです。
その後、この森を通りがかったということでした。
お子さんのアーネストは元気に森の中に走って行ったそうです。
お婆さんは子供の足にはついていけず、アーネストより少し遅れて歩いていたそうですが、森に入ろうとした時に、見知らぬ男性にここは出口のない森だから入ってはならん!と止められたそうです。
そんなことを言われても、アーネストのことを考えると簡単に諦めることなど出来ません。
男性をふりきって森に入ろうとしたお婆さんを、その男性は全力で引きとめたそうです。
お婆さんは絶望のあまり倒れてしまったそうです。
その後も、男性はお婆さんの傍にいていろいろと身の周りの世話をしてくれたらしく、そのおかげでおばあさんはやっと元気になられたということでした。
元気になったお婆さんは考えました。
こんな悲しいことが起こらないように、この森の番人になることを。
そして、それからの長い時を、お婆さんは森に入りこんでしまう人がいないようにずっと見張っているのだということでした。
「お可哀想に…
アーネスト君もさぞ辛かったでしょうね…」
「わしは、今でも後悔しておる。
あの時、あの子の手を離してしまったことをな…」
「辛いだろうが、それは婆さんのせいじゃないさ。
そんな物騒な森があるなんて、婆さんも知らなかったんだからな。」
「いや…わしが悪いんじゃ…」
お婆さんは俯いてそっと涙を拭っておられました。
その時、私は決めたのです!
「お婆さん!私達が行って来ます!
そして、アーネストさんを探してみます!」
「お、おい…!」
「まだそんな馬鹿なことを言っているのか。
あの森が危険な場所だということは、今も言って聞かせたじゃろう?
……それに、アーネストはきっともう生きてはおらん…」
「そんなこと行ってみなくちゃわからないじゃないですか!
それに、私達は普通の人達とは少し違うのです!」
私は、妖精によって人のいなくなった町での出来事を話しました。
「し…しかし、あそこは出口のない森じゃぞ。
万が一、アーネストが生きていて…あの子をみつけたとしても、出てこられんかったら仕方じゃないじゃないか。」
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そう言われてしまうと、私はお婆さんに返す言葉がみつかりませんでした。
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