Angel's Ring

ルカ(聖夜月ルカ)

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Angel's Ring

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「……ん?
なんだ、ありゃ?」

ファビアンさんが道の前方を指差されました。
見てみると、なにやら、大きな荷物が落ちているようです。



「何でしょうね?
とにかく行ってみましょう!」

私達は、荷物の所まで走って行きました。



「おおっ?!この荷物、足があるぞ!」

「違いますよ!ファビアンさん!
荷物の下に誰かが倒れてるんですよ!大変です!早く助けないと…!」

私が荷物をどけると、その下には女性が倒れていらっしゃいました。



「うっ…」

ファビアンさんは、突然、短い声を出されました。



「大丈夫ですか!?しっかりして下さい!」

私は女性に声をかけましたが、何の反応もありません。
女性はすっかり意識を失ってらっしゃるようです。



「困りましたね…
そうだ!ファビアンさん、水を…!」

「え……?」

「水ですよ、水っ!」

「あ、あぁ、わかった!!」

いつになくファビアンさんはぼんやりされているようです。
私は、女性に水を飲ませようとしましたが、うまくいきません。
意識がないせいか、口からこぼれてしまうのです。
私は、自分の口に水を含み、口移しで飲ませることにしました。



「……ん」

どうやら、気が付かれたようです。
女性の瞳がゆっくりと開いていきました。
そして次の瞬間……



「な、な、な、何をする~~~!!」

女性の平手が私の頬を叩きました。
華奢な女性でしたが、その力は信じられない程激しいもので、私は後ろにふっ飛び、一瞬、意識が飛んだ程です。

女性は、上体を起こし、肩で息をしながら、私を睨み付けています。
何か誤解されているようです。



「あ、あの…私は…ですね。
あの…その…」

ファビアンさんは、相変わらず何もおっしゃらず、ただ呆然と私達をみつめてらっしゃいました。







私は女性に事の成り行きを話し、しばらくして、やっと女性は落ち着かれました。



「言い遅れましたが、私はディディエ、こちらはファビアンさんです。
あなた、お名前は?」

「……キャリーだ。」

綺麗な顔に似合わず、男性的な言葉遣いをされる方です。 
まだ、さっきのことを怒ってらっしゃるのでしょうか?



「荷物が重過ぎたのですね。
どちらまで行かれるのですか?
私が目的地まで荷物を運んで差し上げましょう。」

私がそう言うと、まるで返事をするかのようにキャリーさんのおなかの虫が鳴りました。
キャリーさんは、赤い顔をして俯かれました。



「あの…よろしければこれを…」

私がパンとりんごを差し出すと、キャリーさんはそれらを私の手からひったくるように奪い取り、向こうを向いて黙々と食べられていました。

 
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